趣味の漢詩と日本文学

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April 30, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
送柳使君赴袁州 劉長卿
宜陽出守新恩至、京口因家始願違。
五柳閉門高士去、三苗按節遠人歸。
月明江路聞猿斷、花暗山城見吏稀。
惟有郡(一作舊)齋窗裏岫、朝朝空對謝玄暉。
【韻字】至・違・帰・稀・暉(平声、微韻)。
【訓読文】
柳使君の袁州に赴くを送る。
宜陽守に出でて新恩至り、京口家に因つて始願違(たが)ふ。

月明江路猿を聞くこと断え、花暗山城吏を見ること稀なり。
惟だ郡(一に「旧」に作る)斎の窓裏の岫有つて、朝朝空しく対す謝玄暉。
【注】
○柳使君 柳渾。字は夷曠。襄陽の人。貞元の初め官は宰相に至った。
○袁州 唐の江南道に属す。治所は今の江西省宜春県。
○宜陽 江西省宜春県。
○出守 中央から出て太守となる。
○新恩 ここでは新たに袁州の太守に任ぜられたこと。
○京口 江蘇省鎮江市。
○五柳 陶淵明は自宅の庭に五本の柳を植え五柳先生と称した。
○高士 高潔な人士。

○按節 車馬をゆっくり走らせる。ゆったり巡視するをいう。
○遠人 都から遠く離れた未開の地の土民。
○江路 舟で行く川の道すじ。
○山城 山間の町。
○郡斎 郡府の書斎。

○謝玄暉 謝■(チョウ)。南斉の大詩人。字は玄暉。
【訳】
柳使君が袁州に赴任するのを見送る。
宜陽の刺史を拝命しこのたび君は旅にでる、京口に家構えたが離れるつらさ宮仕え。
五本の柳うえた庭、門を閉めきり君は去り、三苗の地を巡視して野蛮な民をてなづける。
月の明るい船旅に猿の鳴き声しなくなり、花に夕闇せまりきて役人たちも影まばら。
役所の窓から望む山、毎朝空しく君は見ん。





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Last updated  May 3, 2007 04:01:20 PM
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