趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

May 5, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
戲題贈二小男 劉長卿
異郷流落頻生子、幾許悲歡併在身。
欲並老容羞白髮、毎看兒戲憶青春。
未知門戸誰堪主、且免琴書別與人。
何幸暮年方有後、舉家相對卻霑巾。
【韻字】身・春・人・巾(平声、真韻)。
【訓読文】
戯れに題して二小男に贈る。
異郷に流落して頻りに子を生み、幾許(いくばく)の悲歓併せて身に在らん。

未だ知らず門戸誰か主たるに堪えん、且く免る琴書別れて人に与ふるを。
何なる幸にしてか暮年方に後有る、家を挙げて相対し卻つて巾を霑す。
【注】
戲題贈二小男 劉長卿
○異郷 故郷を離れた土地。
○流落 落ちぶれてさすらう。
○幾許 どれほど。いくつ。
○悲歓 かなしみとよろこび。
○老容 老いた容貌。
○児戯 こどもの遊び。
○憶青春 若かった時分のことを思い出す。

○且 とりあえず。ひとまず。
○琴書 琴と書物。教養として身につけるべきもの。
○何幸 どういう幸運によってか。
○暮年 晩年。
○後 後継者。跡取り。

○卻 あべこべに。
○霑巾 てぬぐいをぬらす。
【訳】
戯れに作って二人の男児に与えた詩。
故郷はなれて子が生まれ、歓び悲しみいかほどか。
そばに寄ろうと思えども白髪頭がはずかしや、子らの遊ぶを見るたびに若かりしころ思いだす。
将来自分がこの家の主人になるとはまだ知らず、まあとりあえず琴も書も他人にやるはまぬかれた。
いかなる幸運めぐってか、年老いてから子ができた、うちじゅうみんな赤ん坊の顔見て涙流したなあ。





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Last updated  May 5, 2007 04:24:48 PM
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