趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

May 6, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
謫官後臥病官舍簡賀蘭侍郎(一作貶睦州祖庸見贈) 劉長卿
青春衣繍共稱(一作刺繍服正相)宜、白首垂(一作髮如)絲恨不遺。
江上幾回今夜月、鏡中無復少年時。
生還北闕誰相(一作將、一作能)引、老向南邦衆所悲。
歳歳任他芳草緑、長沙未有定歸期。
【韻字】宜・遺・時・悲・期(支韻)。
【訓読文】
謫官の後病に臥し官舍にて賀蘭侍郎に簡す(一に「貶睦州祖庸見贈」に作る)。
青春繍を衣(き)て共に(一に「刺繍服正相」に作る)宜に称(かな)ひ、白首糸を垂れて(一に「髪如」に作る)恨み遺(のこ)らず。

生きて北闕に還るも誰か相(一に「将」に作り、一に「能」に作る)引かん、老いて南邦に向かへば衆の悲しぶ所。
歳歳任他(さもあらばあれ)芳草緑に、長沙未だ帰期を定むること有らず。
【注】
○謫官 官位をおとして地方へ流される。
○臥病 病気で寝込む。
○官舍 官吏の住居として政府からあてがわれた住居。
○賀蘭侍郎
○青春 年が若くて元気な時代。
○衣繍 錦を着る。出世して立派な衣服を着る。
○白首 白髪頭。
○垂糸 白髪を垂らす。

○幾回 何度のぼったことか。
○鏡中 鏡のなか。
○復 もどる。
○少年 若者。
○北闕 宮城。都の北にあったのでいう。

○南邦 南方。
○衆所悲 民衆に悲しまれる。
○歳歳 毎年。
○任他(さもあらばあれ) どうなろうと、ままよ。
○芳草 香りよい草。
○長沙 湖南省長沙市。
○帰期 故郷に帰る時期。
【訳】
左遷されてのち、病気で寝込み、官舍で賀蘭侍郎に贈った詩。
若い時分は錦来て意気揚々としたゆえに、年老いたいま白髪をたれても悔いは残るまい。
川のほとりを照らす月、幾たび空をめぐりしや、鏡のぞけば老けた顔、わかい時にはもどりゃせぬ。
生きて都に還るとも誰がひいきにしてくれよう、老いて南へ行くこたび民が別れを悲しめり。
毎年成り行き任せにて草生い茂る春迎え、長沙にありて故郷へ帰る時期まだ定まらぬ。





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Last updated  May 6, 2007 04:22:38 PM
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