趣味の漢詩と日本文学

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September 1, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
温湯客舍 劉長卿
冬狩温泉歳欲闌、宮城佳氣晩宜看。
湯熏仗裏千旗暖、雪照山邊萬井寒。
君門獻賦誰相達、客舍無錢輒自安。
且喜禮■(「門」のなかに「韋」。イ)秦鏡在、還(一作盡)將妍醜付(一作赴)春官。
【韻字】闌・看・寒・安(平声、寒韻)。
【訓読文】
温湯の客舍
冬狩温泉歳闌(ふ)けんと欲し、宮城の佳気晩看るに宜し。

君門賦を献ずるに誰か相達せん、客舍銭無くして輒(すなはち)自から安んず。
且(しばらく)喜ぶ礼■(「門」のなかに「韋」。イ)に秦鏡在り、還つて(一に「尽」に作る)妍醜を将(も)つて春官に付するを(一に「赴」に作る)。
【注】天宝四(七四五)年冬、驪山における作。
○温湯 温泉。七二三年、驪山に温泉宮が置かれた。天宝六年、華清宮と改めた。
○客舍 旅館。宿屋。
○冬狩 君主が冬季に行う猟。
○闌 終わりに近づく。
○宮城 天子のおられる宮殿。
○佳気 めでたい気。
○熏 ふすべる。煙を立たせる。
○仗 天子や宮殿の護衛。

○献賦 賦を献上する。司馬相如は賦を献上しつづけていたが、長年の間、評価されなかった。
○相 対象があることを示す。
○達 届ける。
○輒 いつでも。
○且 とりあえず。喜

○秦鏡 秦の咸陽宮に在った鏡で、人の善悪美醜を映したという。
○妍醜 美醜。ここでは科挙に課せられる賦の出来栄えの善し悪しをいうのであろう。
○春官 礼部の異名。
【訳】
温泉宮のそばの宿屋にて詠んだ詩。
天子は冬に狩りをして温泉地にぞ歳暮るる、温泉宮のめでたき気、夕暮れことに美しき。
衛兵武器を捧げ持ち、湯気の向こうに建てる旗、山のあたりは雪景色、肌に感ずる寒さかな。
天子に賦をば献ぜんと思えど誰が届けよう、金も無ければのんびりと宿に落ち着き外も出ず。
まあとりあえず嬉しきは礼部の審査曇り無く、そのできばえの善し悪しに応じた役目を配するを。





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Last updated  September 2, 2007 07:44:34 AM
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