趣味の漢詩と日本文学

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September 2, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
送孫逸人歸廬山(得帆字) 劉長卿
鑪峰絶頂楚雲寒、楚客東歸棲此(一作北)巖。
彭蠡湖邊香橘柚、潯陽郭外暗楓杉。
青山不斷三湘道、飛鳥空隨萬里帆。
常愛此中多勝事、新詩他日佇開緘。
【韻字】巌・杉・帆・緘(平声、咸韻)
【訓読文】
孫逸の廬山に帰るを送る。
鑪峰の絶頂楚雲寒く、楚客東帰して此の(一に「北」に作る)巌に棲む。

青山も断たず三湘の道、飛鳥空しく随ふ万里の帆。
常に愛づ此の中勝事多きを、新詩他日緘を開くを佇(ま)たん。
【注】大暦八(七七三)年ごろ、鄂州における作。
○孫逸人 未詳。「逸人」は、隠者。官に仕えず、隠居している人。
○廬山 江西省九江市の山。
○鑪峰 廬山の香炉峰。
○絶頂 山頂。
○楚雲 楚の地方にかかる雲。
○楚客 楚の地方からきた旅人。
○東帰 東の方へと帰って行く。
して此の(一に「北」に作る)巌に棲む。

○橘柚 みかんやゆず。
○潯陽 唐の県の名。江西省九江市。
○郭外 町のそと。
○楓杉 カエデとスギ。
○青山も断たず

○万里 遠い距離。
○此中 ここでは楚への道中にある瀟湘あたり。
○勝事 すぐれた景色。
○新詩 あらたに詠んだ詩。
○他日 いつか。
○佇 待ち望む。
○緘 封。
【訳】
孫逸が廬山に帰るのを見送る詩。
かの香鑪峰の頂きに楚雲かかりて寒ざむし、東へ帰る旅人は廬山の巌に棲むという。
彭蠡湖のあるあたりにはミカンやユズが香ぐわしく、潯陽の町のはずれにはカエデとスギの陰暗し。
青山とても三湘へ続く道をば隠さずに、飛ぶ鳥だけが君の乗る船を空しく追いかける。
君は廬山へ向かう途次、美景を多く見てゆかん、我たのしみに君の詩を寄せたる封を開く待つ。





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Last updated  September 2, 2007 06:33:08 PM
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