趣味の漢詩と日本文学

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September 25, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
賦得(一作皇甫冉詩、題作春思) 劉長卿
鶯啼燕語報新年、馬邑龍堆路幾千。家住層城臨漢苑、心隨明月到胡天。
機中錦字論長恨、樓上花枝笑獨眠。為問元戎竇車騎、何時返旆勒燕然。
【韻字】年・千・天・眠・然(平声、先韻)。
【訓読文】
賦し得たり。(一に「皇甫冉詩」に作り、題は「春思」に作る)
鴬啼燕語新年を報じ、馬邑龍堆路幾千。
家は層城に住んで漢苑に臨み、心は明月に随つて胡天に到る。
機中の錦字長恨を論じ、楼上の花枝独り眠るを笑ふ。

【注】
○馬邑 山西省朔県。
○龍堆 砂漠の名。
○層城 宮城。
○錦字 前秦の秦州の刺史竇滔が流沙に左遷された時、妻の蘇氏が錦を織り廻文に思いをつづって届けた。
○元戎 総指揮官。
○竇車騎 後漢の竇憲。大いに匈奴を破り、燕然山に登り、石に刻み功を紀して還り、大将軍に拝せられた。(紀元?……九二年)。「車騎」は、将軍の名。
○燕然 モンゴルの杭愛山。後漢の永元元年に竇憲が北単于を破り、ここに登って戦功を記録した。
【訳】
ふと、できあがった詩。
鴬燕きたり鳴き新たな年を報じたり、野越え山越え幾千里。

はたを織りつつ織り込むは夫にあてるこの思い、たかどの近く咲く花はさびしき独り寝わらうよう。
わたしの代わりにきいとくれ、夫の上司の将軍に、いつになったら勝利して夫かえしてくれるやら。


【参考】『全唐詩』
    春思(一作劉長卿詩) 皇甫冉
鶯啼燕語報新年、馬邑龍堆路幾千。家住秦城鄰漢苑、心隨明月到胡天。







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Last updated  September 25, 2007 08:43:47 AM
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