趣味の漢詩と日本文学

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September 27, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
三月三日李明府後亭泛舟(一作皇甫冉詩) 劉長卿
江南風景復如何、聞道新亭更欲過。
處處▼(「糸」のみぎに「刃」。ジン)蘭春浦■(「碌」の「石」を「シ」に換えた字。ロク)、萋萋籍草遠山多。
壺觴須就陶彭澤、時俗猶傳晉永和。
更待持橈徐轉去、微風落日水増波。
【韻字】何・過・多・和・波(平声、歌韻)。
【訓読文】
三月三日李明府の後亭に舟を泛ぶ。(一に「皇甫冉詩」に作る) 劉長卿
江南風景復(また)如何(いかん)、聞道(きくならく)新亭更に過ぎらんと欲すると。

壺觴須らく就くべし陶彭沢、時俗猶ほ伝ふ晋の永和。
更に待つ橈を持ちて徐ろに転じ去り、微風落日水波を増すを。
【注】
○三月三日 上巳。みそぎをして不祥をはらう習慣があった。
○李明府 「明府」は、県令。
○泛 浮かべる。
○江南 長江下流の南方。
○風景 けしき。ながめ。
○如何 いかん。どうであろうか。
○聞道 きくならく。聞くところによれば。
○新亭 新築のあずまや。

○処処 あちらこちら。
○▼(「糸」のみぎに「刃」。ジン) つづる。
○春浦 春の水辺。
○■(「緑」の「糸」をサンズイに換えた字。ロク) 清らか。
○萋萋 草が生い茂るようす。

○壺觴 酒つぼと杯。陶淵明《帰去来辞》「壺觴を引きて以て自ら酌む」。
○陶彭沢 陶淵明。彭沢の令をつとめた。
○時俗 世人。俗世間。
○晋永和 東晋の穆帝の年号(三四五……三五七年)。永和九年三月三日、王羲之が四十一人の名士を蘭亭(浙江省紹興市の西南)に招き、おのおのに詩を作らせた。その序が蘭亭集序。
○橈 舟を進めるかい。
○徐 ゆっくりと。
○転 向きを変える。
○微風 そよ風。
○落日 夕日。
【訳】
三月三日に県令李氏の屋敷の後方の亭のところで舟を泛べて遊んだ時の詩。
江南風景いかならん、新たに築きし亭にまた立ち寄らんとするとかや。
春の水辺のあちこちに蘭草とりて花輪なし、生い茂る草ふみしだきあなたの山を眺めやる。
陶淵明を気取りつつ壺の酒をば汲みながら、世人の評判いまもなお蘭亭の遊びもてはやす。
そよ風吹いて日が沈み川の波立ち水の増すその頃待ちて櫂をとり舟めぐらしていざ去らん。

第2筆
    三月三日義與李明府後亭泛舟(一作劉長卿詩) 皇甫冉
江南煙景復如何,聞道新亭更可過。處處藝蘭春浦緑,萋萋藉草遠山多。
壺觴須就陶彭澤,時(一作風)俗猶傳晉永和。更使輕橈徐轉去,微風落日水増波。
[頁]卷,冊....[2795]249,8





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Last updated  October 4, 2007 07:01:56 PM
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