趣味の漢詩と日本文学

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December 22, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
登潤州萬歳樓(一作皇甫冉詩) 劉長卿
高樓獨上思依依、極浦遙山合翠微。
江客不堪頻北望、塞鴻何事又南飛。
垂山古渡寒煙積、瓜歩空洲遠樹稀。
聞道王師猶轉戰、更能談笑解重圍。
【韻字】依・微・飛・稀・囲(平声、微韻)。
潤州の万歳楼に登る(一に「皇甫冉詩」に作る)
高楼独り上れば思ひ依依たり、極浦の遥かなる山翠微に合ふ。
江客頻りに北望するに堪えず、塞鴻何事ぞ又南飛する。

聞道王師猶ほ転戦し、更に談笑を能くして重囲を解くと。
【注】
○潤州 江蘇省鎮江市。
○万歳楼 江蘇省鎮江市の西南隅の旧城の上にあった。
○高楼 たかどの。
○依依 思い慕うようす。
○極浦 はるか遠くまで続く海岸。
○翠微 青い山にかかるもや。
○江客 川沿いの地の旅人。
○塞鴻 北方の国境のほうの大型の雁。
○何事 どうして。

○古渡 古い渡し場。
○寒煙 寒々としたもや。
○瓜歩 江蘇省六合県の東南にあり。南は長江に臨む。
○聞道 きくところによれば。
○王師 帝王の軍隊。

○談笑 笑顔で話す。
○重囲 何重もの包囲網。
【訳】
潤州の万歳楼に登って詠んだ詩。
高楼独り上りきて抱く思いは懐かしさ、遠い海岸その果ての山にぞ青きもやかかる。
川辺の旅人北のかた望むにたえぬ悲しさよ、辺塞の地の大鳥はいかなるゆえに南飛する。
垂山古びた渡し場に寒々もやがたちこめて、瓜歩の中洲にひとけ無く遠くの木々の葉もまばら。
うわさによれば帝王の師団いま猶転戦し、更にすぐれた談笑で敵の包囲を解きたもう。





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Last updated  December 22, 2007 01:36:40 PM
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