趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

January 1, 2011
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カテゴリ: 国漢文
【本文】同じ中納言、かの殿の寝殿の前にすこし遠くたてりける桜を、ちかくほり植へたまひけるが、かれざまにみえければ、

やどちかく移してうへしかひもなくまちどほにのみ見ゆる花かな

とよみたりける。

【注】
・同じ中納言=藤原兼輔。閑院左大臣藤原冬嗣(ふゆつぐ)の曽孫、利基(としもと)の子。平安前期の歌人。三十六歌仙の一人。『百人一首』の「みかの原わきて流るるいづみ川……」の歌で知られる。従三位中納言となり、賀茂川の堤近くに邸宅を構えていたため、堤中納言と呼ばれた。(877……933年)
・寝殿=貴族の屋敷である寝殿造りの南面中央に位置する正殿。
【訳】同じ中納言が、例のお屋敷の母屋の前に、すこし離れて立っていた桜を、ちかくに地面を掘ってお植えになったが、枯れそうな様子に見えたので、

屋敷の近くに移植した甲斐もなく、花が咲くのが待ち遠しく思われるほど、すぐには咲きそうにもない様子にばかり見える桜だなあ。

と歌を作ったとさ。








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Last updated  January 1, 2011 08:23:29 AM
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