趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

January 1, 2011
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カテゴリ: 国漢文
【本文】桂のみこの御もとに嘉種がきたりけるを、母宮すむ所ききつけて門をささせたまうければ、夜一夜たちわづらひてかへるとて、「かくきこへたまへ」とて、門のはざまよりいひいれける、

こよひこそ涙のかはにいりちどりなきてかへると君はしらずや

【注】
・桂のみこ=宇多天皇の皇女、孚子内親王。
・嘉種=源嘉種。清和天皇の孫、源長猷(ながかず)の子。官は正五位下、美作の守。
・たちわづらふ=立ち続けてくたびれる。
・いひいる=外から内にいる者に向かっていう。取り次ぎの者に内へ伝えさせる。

【訳】桂の皇女のおところに、源嘉種がやって来たのを、母宮さまがお住まいのお部屋のかたが聞きつけて、門を閉めさせなさったので、一晩中屋敷の外に立って開けてくれるのを待つのにも疲れて帰るというので、「このように申し上げてくだされ」と言って、門の隙間から伝言させた歌、

今夜は、自分が流した涙の川にはいってしまった千鳥のような我が身ですよ。私が閉め出されて泣きながら帰るとあなたはご存知ないのだろうか。








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Last updated  January 1, 2011 04:53:38 PM
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