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「楽しさ」を意識し… New! かめおか ゆみこさん

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森の声

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2007.01.23
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カテゴリ: カテゴリ未分類
昨日は

ということで終わりました。

今日は、その中の“表現”についてちょっと触れてみます。

19日のブログに



ということを書きました。

この、“求めたものに形を与える行為”こそが、芸術としての“表現”ということなのです。
ただし、芸術は必ず表現を必要としますが、表現されたものが全て芸術というわけではありません。

誰でも分かるように、お腹がすいた時に“お腹がすいた”と表現するのも、嬉しい時に“嬉しい”と表現するのもそれだけでは芸術ではないのです。

でも、これが芸術への入り口であることを多くの人は気付きません。


嬉しい時には“うれしい”と言い、悲しい時には“悲しい”と言う延長に芸術が存在しているということです。

それは、人間は自分を表現する行為を通して自分と向き合い、対話する能力を育て、しいては何らかの“追求”が可能になるからなのです。

哲学のような内面的な活動でさえ、言葉化するという表現に頼らないことには追求出来ません。
武道家は実際にからだで試してみる(表現する)ことで追求します。
科学者は実際に作ってみる、試してみるという表現方法で研究を追求していきます。

でも、日本人はその“表現”が苦手です。
特に、“自分自答”するような表現は得意ですが、人に向けた表現が苦手です。
実際、嬉しい時に嬉しいと言い、苦しい時に苦しいと言うことすらなかなかできない人がいっぱいいるのです。
なぜなら、そういう表現を“はしたない”と感じる感性が日本人には強くあるからです。

そのため、中世の頃からそのような“表現”を生業とする人たちは社会の中で最下層の人たちか、アウトローの人たちばかりでした。

特に、アウトローの人たちは社会の枠に支えられていなかったので、表現という手段なしには生きていけなかったのです。

そして、多くの日本人は自分たちが表現出来ないものを自由に表現する人たちを見て笑い、共感することで、自分の中の表現欲求を満たしていたのです。

日本にも“職業カースト”があったのです。

そのため、自分で表現が出来ない人々は、それを専門にする人たちの表現を贔屓(ひいき)することで自分の表現に代えていました。
日本の芸術は庶民が実際に行うのではなく、この贔屓によって支えられていたのです。

浮世絵も、ものすごく流行していたようですが、自分で作ったりはしませんでした。
歌舞伎も落語も人気があったようですが、それらも自分たちでやるものではありませんでした。


ただし、社会の下層にいる職人や農民は芸能ととともに生きていました。それしか楽しみがなかったからです。
つまり、日本の社会では、“表現する”と言うことはあまり高尚なこととは考えられていなかったわけです。

そして、この文化はしっかりと現代にまで受け継がれています。
いわゆるオタク文化も、アニメ文化、ブランド文化も同じです。

“オタク”と呼ばれる人たちは“集めること”(贔屓すること)で、それを自分の表現に代えているのです。
(ですから、日本は昔からオタク文化だったということです。)

でも、実際にはそれは表現ではありません。それは一つの執着の形なのです。
自分では表現出来ないことを何かに執着することで代弁してもらっているのです。

ですから、その事に関してどんなに詳しくなっても自己との対話も深まらないし、芸術にも、精神的な成長にもつながらないのです。

ただ、そのオタク的な収集物、知識を積極的に他の人にも伝えようとする時にはそれは表現に変化します。

でも、テレビなどでオタクの生態を見ていると、それが出来ないような人が“オタク”にはまってしまうように感じるのです。

ということで、また明日に続きます。
以下は宮沢賢治の「農民芸術概論綱要」( 全文はここで。 )からの抜粋です。

先日から私が書いてきたこととつながっているのでここでご紹介します。

****************************
「農民芸術概論綱要」  宮沢賢治

農民芸術の分野

……どんな工合にそれが分類され得るか……

声に曲調節奏あれば声楽をなし 音が然れば器楽をなす
語まことの表現あれば散文をなし 節奏あれば詩歌となる
行動まことの表情あれば演劇をなし 節奏あれば舞踊となる
光象写機に表現すれば静と動との 芸術写真をつくる
光象手描を成ずれば絵画を作り 塑材によれば彫刻となる
複合により劇と歌劇と 有声活動写真をつくる
準志は多く香味と触を伴へり
声語準志に基けば 演説 論文 教説をなす
光象生活準志によりて 建築及衣服をなす
光象各異の準志によりて 諸多の工芸美術をつくる
光象生産準志に合し 園芸営林土地設計を産む
香味光触生活準志に表現あれば 料理と生産とを生ず
行動準志と結合すれば 労働競技体操となる





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Last updated  2007.01.24 05:46:00
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