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「楽しさ」を意識し… New! かめおか ゆみこさん

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森の声

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2008.06.04
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カテゴリ: カテゴリ未分類
昨日は、“表現とは能動的な意志の発露”だと書きました。


つまり、 “表現”は“模倣”から始まるのです。 ここで多くの人が勘違いしています。模倣には個性がありません。そして、個性がないのは表現ではないと考えている人がいるようなのです。
最近、“自分らしさ”とか、“個性”いう考え方が好きな人が増えてきましたが、でも、そのようなものは結果として現れるものであって、大人が意図的に作り出すものではありません。

“自分らしさ”とか、“個性”というものは子どもたちが生き生きと成長していく過程で自分の素質に合わせて自然に現れてくるものなのです。 だって、人間は生まれた時から一人一人違うのですからそれは当然なのです。わざわざ、大人が“個性を育てよう”と頑張るようなものではないのです。
大人はただその違いを肯定的に受けいれていればいいのです。 そうすれば自然と個性豊かな子どもたちが育つのです。

時々、以下のような相談を受けることがあります。
3,4才頃までは自由に素敵な絵を描いていたのに最近友達の真似をしたり、お人形のような絵ばかり描くようになってしまって絵が急につまんなくなってしまったのです。“上手に描けない”といって泣くこともあります。それで、“もっと自由に描いていいのよ”と言うのですが、そういう時はどうしたらいいのでしょうか。


“わたし、絵が下手だからママ描いて”と自分で描かなくなってしまいました。
というような話しもよく聞きます。

まず、友達の真似を始めるのは社会性の目覚めに伴う正常な発達です。ですから、この時期の子どもたちにとって模倣は能動的な意志に伴うちゃんとした表現なんです。

ただし、気質によってその真似の仕方に個人差があります。多血は積極的に友達の真似をしたがり、胆汁はそれとなくかっこいい子や先生の真似をしたがり、憂鬱は裏でこっそり友達の真似をしようと努力し、粘液はそういう子どもたちを見ることで無理をしないで出来る範囲で真似をします。

子どもの模倣を、自信がない大人が人の真似をしてごまかすのと同じレベルで解釈してはいけないのです。

でも、確かに2,3才の頃には巨匠のような絵を描いていたのに、その時期を過ぎると次第に絵は常識的になり、つまらなくなっていきます。それは親としては寂しいことかも知れません。

でも、安心してください。それが正常なんです。なぜなら思春期前の子どもは模倣によってその“常識”を身につけている時期だからです。“自分らしさ”や“個”に目覚め、それを大切にしたいと思うようになるのは思春期が来てからなのです。
これは、絵だけでなく子どもの表現全般に言えることです。
だから、子どもの表現に無理に個性を求めてはいけないのです。それは“大人の趣味”なのです。
また、模倣という方法を“画一的”といって否定してはいけないのです。

子どもたちは模倣によって他者を取り入れているのです。そして、その他者の複合体として“自分”というものを創り上げていくのです。 他者との関わりがなければ“自分”というものは生まれないのです。
ですから、思春期前の子どもたちには模倣の対象となるような仲間や大人や、また、その模倣のきっかけとなるような様々な体験が絶対的に必要なのです。 “豊かな自分”が育つためには、“豊かな模倣”が必要だということです。


でも、今学校にも、家庭にも、地域にも、子どもたちが積極的に模倣出来る環境がありません。そして、ただ受け身的に教えてもらうばかりです。

言葉は模倣で覚えます。ですから、言葉を模倣出来ない子は言葉で自分を表現することができません。それと全く同じことが他の表現や学習の場でも起きているのです。
つまり、模倣ができない子は学習能力も低く、また表現も上手に出来ないということです。

表現が他者に通じるためにはその他者から学んだ感覚が絶対的に必要なのですから、それは当然のことです。

但し、 模倣に正解を作らないでください。 同じものを見て模倣しても、A君の模倣と、B君の模倣は同じではありません。実はそれが“個性”なんです。ですから、思春期前の子どもにおいて個性を大切にすると言うことは一人一人自由に描かせるということではないのです。

自由に描いたり作ったりすることで子どもは自分が模倣したことを使いこなす能力を育てることが出来るからです。 模倣で学んだ知識や技術や感覚を自分独自のものにするためには、このような自由な活動も絶対に必要なのです。それが、思春期以降の“個性”につながっていくのです。でも、子ども時代におけるその基礎は模倣だということです。

どうしてこういうことが言えるのかというと、子どもたちを見ていて模倣能力が低い子は学習能力も、表現能力も低いことをいつも感じているからなのです。
模倣がうまく出来ない子は自由に描くことも、表現することもできないのです。

そして今、この模倣が出来ない子どもたちがものすごく増えてきています。
手本を見せても、見本を見せても真似が出来ないのです。
それで、すぐに教えてもらいたがります。教えてもらわないと出来ないのです。
でも、それでは自立出来ませんよね。





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Last updated  2008.06.04 08:39:48
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