森へ行こう(心とからだと子育てと)

森へ行こう(心とからだと子育てと)

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

「楽しさ」を意識し… New! かめおか ゆみこさん

Profile

森の声

森の声

2008.07.16
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
17日の「表現共育クラス」の体験ワークの募集は締め切りました。
明日体験して頂いて9月以降参加可能かどうかをあらためてお聞きします。

予想以上に反響が大きかったので、しばらくの間新しい募集はしないと思います。
ご了承下さい。

**************************

人間には「共感覚」という不思議な感覚があります。この感覚が異常に敏感な人の場合では色を見たら音が聞こえたり、数字を見たら色が見えたりということが起こります。
つまり、一つの感覚に対する刺激が他の感覚への刺激になってしまうのです。
鳥の声が色に見えてしまうというようなことです。

ここまで来ると異常ですが、でも普通の私達でも多少はその共感覚を感じています。ザラザラしたものを見ると、何となく触覚的にもザラザラしたものを感じます。


これは子どもに聞いてみると面白いですよ。結構はっきりと答えてくれます。
○は何色、△は何色と聞いてみても面白いです。

以下の図は「ブーバーとキキ」というその共感覚の簡単な実験に使われるものです。(私が描いたのでちょっと印象が違ってしまっていますけど)

ブーバーとキキ

この図を世界中の人に見せて“この二つはそれぞれ別々のキャラクターです。そして、名前は一方がブーバーで一方がキキです。さて、どちらがブーバーでどちらがキキだと思いますか”と聞くと、9割の人が丸っこい方をブーバーと答え、とんがった方をキキと答えたそうです。

私もしょっちゅうワークでこの図を見せて聞いていますが、ほとんどの人が同じように答えます。
でも、これって不思議でしょ。だって形だけから名前を類推出来てしまうんですから。

どうしてこんなことが起きるのかというと全ての感覚はからだの中でつながっているからです。

“キキ”という名前を声に出そうとする時、喉の奥を緊張させます。そして鋭く短い音を連続させます。その感覚がからだの中に尖った印象を引き起こすのです。

“ブーバー”という名前を声に出そうとする時には喉をゆるめて唇を閉じて空気で風船のように膨らませてからゆっくり吐き出します。口の中がふくらんだ風船から空気が抜けていくような状態になるのです。
そういう感覚が視覚的な図から音を連想させるのです。また、その逆もあります。

このように人間は言葉や音をからだ全体の感覚で聴いているのです。色や形も同じです。


“あ-お-”とゆっくり声に出してみて下さい。そして青い色を思い浮かべてみて下さい。そこに違和感はないはずです。
でも、“あーおー”といいながら赤い色を思い浮かべてみて下さい。どうですか、違和感を感じませんか。
私はかなりの違和感を感じます。

つまり、言葉というものはデタラメに作られたのではなく、その事物の身体的な印象をもとに感覚的に生まれてきたのです。シュタイナー教育におけるオイリュトミーという身体芸術ではそこをつなげて表現します。

例えば、“て”という言葉が最初につく言葉

などは舌が口蓋にしっかりとくっつく印象とつながっています。

“く”という音は喉がつまる感じです。
“くるしい”時には喉がつまっているのです。ですから苦しい時には、“く”という音が出しやすいのです。逆に“しあわせ”とか“うれしい”という声は出しにくくなります。

じゃあ、外人はどうなんだ、と思われる方もいらっしゃるでしょうね。
日本語では“あお”でも、英語では“ブルー”ですからね。

結論から言うと“あお”と“ブルー”は同じではありません。日本人にとっての青と英語を使う人たちにとってのブルーでは印象が違うのです。
色的には同じでも、その色に対する印象が違うのです。

言葉が違えば印象が違うのです。ですから、言葉というものは厳密には翻訳不可能なんです。

“こんばんわ”と、“おばんです”は訳せば同じですが、印象はまったく違います。“バカ”と“アホ”も全然違います。実際、相手の反応も違います。そして私達は言葉をその“意味”ではなく、からだの感覚とつながった印象で使っているのです。ですから、状況に合わせて自在に使い分けることが出来るのです。

言葉というものはからだの“印象”を音声化したものなんです。文字はその印象を形に現したものです。(但し、抽象的な言葉、観念的な言葉に関してはその限りではありません。“人類”という言葉はからだの印象とはつながっていません。)

実際、ブーバーのBはブーバーの形に似ています。キキのKはキキの形に似ています。

“しあわせ”と“ハッピー”も同じではありません。“おはようございます”と“グッドモーニング”も同じではありません。
これをジェスチャーを入れて表現してみれば両者が全く別物であることがすぐに分かります。
その“おはようございます”を印象的に“グッドモーニング”に近づけるためには、“ございます”を取って“おはよう”だけにします。
“さようなら”を“グッバイ”に近づけるためには“う”を取って、“さよなら”にします。つまり、言葉を変えないと同じ印象にはならないのです。

この“印象”が“言葉のイメージ”とつながっています。
言葉はイメージの固まりなんです。だから、言葉を伝えることが心を伝えることにもつながるのです。
まただから、言葉育ては感覚育てとつながっているのです。そして、イメージ能力ともつながってきます。言葉を使うのが上手な人はイメージのコントロールも上手なんです。
だから子どもたちにもっともっと言葉を伝えてあげて欲しいのです。

ただし、印象とつながらない言葉はオウムやロボットの言葉と同じです。そして、印象とつながった言葉は生活体験の中でしか学ぶことが出来ません。
木に触れ、登り、匂いをかぎ、その下で遊ぶことで“木”という言葉と“木の印象”がつながり、言葉に生命が吹き込まれるのです。

印象とつながっていない言葉はただの“記号”に過ぎません。記号では自分の心を表現することが出来ません。そんな言葉いくらいっぱい知っていても使えません。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008.07.16 13:15:16
コメント(15) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:「言葉とイメージ」(07/16)  
モアイ2463  さん
朝からすばらしい話を読みました。

ありがとうございます。

(2008.07.16 08:28:56)

おもしろーい!!  
kurari さん
とーっても面白い!です。
そうだったのですねー。いま、娘が英語でフォニックスをやって言葉遊びをしてるんですが、言葉とイメージのつながりなどもあわせて、私も一緒に楽しんでいます。
そういえば、私は子どもの頃、英語系は苦手でしたけど(こういう風に遊べなかったので)日本語のことばあそびが大好きで、言葉で遊んでいるといつまでも遊び続けられて、大きくなったら『日本語を研究する人になりたい』と思った夢を思い出しました。それで、文系(国文)を目指して勉強してるうち、あんまり学校の勉強は面白くなくて、ごくフツーの進路を経て、すっかり夢も忘れてしまったのですが・・・。子どもが生れて、赤ちゃん時代から言葉の面白さをまた思い出させてもらうようになりました。
娘が帰ってきたら、ブーバーとキキ&ドレミファ・・・早速やってみよう!っと。 (2008.07.16 08:41:36)

Re:おもしろーい!!(07/16)  
森の声  さん
kurariさん
>とーっても面白い!です。
>そうだったのですねー。いま、娘が英語でフォニックスをやって言葉遊びをしてるんですが、言葉とイメージのつながりなどもあわせて、私も一緒に楽しんでいます。

私は中学の頃英語を話していると感覚や人格までも変わってくるような気がしていました。

実際、からだや感覚を変えないとネイティブのような英語の発音は出来ないのです。 (2008.07.16 08:45:26)

Re[1]:「言葉とイメージ」(07/16)  
森の声  さん
モアイ2463さん
>朝からすばらしい話を読みました。

>ありがとうございます。
-----
言葉は面白いですよ。

ちなみに昨日の新聞に言語学者の大野晋さんの訃報が出ていましたね。

若い頃彼の本を何冊か読んだことを記憶しています。
(2008.07.16 08:47:10)

Re:「言葉とイメージ」(07/16)  
kie.  さん
面白いですね~
以前カウンセラーのセミナーを受けた時にひとつの言葉から何かを連想していく、というのをやったのですが(15年くらい前なのでうろ覚えですが…)それぞれ答えが違ってて、「人間はみんな違うんだよ」ということを経験するというものでした。
これは本で読んだのではなくその場で経験したので今もよく覚えています。
そのワークと合わせて、そのブーバーとキキをやるともっと面白いでしょうね
同じ部分があり、違う部分がある、ということ。とても大事なことだと思います。

本当に言葉って面白いです。本を読むのでも、英語の本の翻訳されたもののみを読むのではなく、英語版を読むともっと頭に入ってきて言葉の面白さに魅了されます。英語版をネイティブで読む人より楽しめる気がします(英語力の関係で英語版はほとんど読んでいませんが…) (2008.07.16 09:28:34)

Re:「言葉とイメージ」(07/16)  
saeko★@ログアウト中 さん
とても興味深く読ませていただきました。
何の話からそうなったのか忘れましたが、友達の旦那さんが「数字が色で見える」と言われているのを聴いて、面白いなぁと思っていたのです。

ブーバーとキキ、そして、ドレミファ…子供に聞いて、一緒に楽しもうと思います♪
ありがとうございます。 (2008.07.16 09:29:14)

Re:「言葉とイメージ」(07/16)  
ダージリン さん
「例えば喉が渇いて渇いてたまらない人にとっての「水」と、いくらでも水があるし、雨ばかり降っていてどうしようもないと思っている人の「水」とでは、同じ水でも「水」の存在感が違います。
(略)
水など自分にとってどうでもいいと思えるような生活をしている人の「水」は、その水が心の中で強く生きて働いてはいません。そういうことが概念に取っての基本的な問題なのです。
(略)
ですからある人が、例えば「きっと良くなる」というときと、別な人が「きっと良くなる」と言うときとでは、違った力が感じられるのです。」

シュタイナーの治療教育 教育の確信を考える/高橋巌(角川書店)より引用


同じような言葉を使っていても、伝わる物が違う・・・これは自分の体感からも感じていました。
子どもをしっかり育てて行こうと思えば思うほど、まず親である自分なんだな、って思います。 (2008.07.16 10:34:13)

訂正です  
ダージリン さん
>シュタイナーの治療教育 教育の確信を考える

すみません。
確信 ではなく「核心」です。 (2008.07.16 10:36:45)

そう言われてみれば  
rei_m さん
○は黄色っぽい感じ、三角は赤っぽい感じがします。 (2008.07.16 14:11:04)

Re[1]:「言葉とイメージ」(07/16)  
森の声  さん
kie.さん

>本当に言葉って面白いです。本を読むのでも、英語の本の翻訳されたもののみを読むのではなく、英語版を読むともっと頭に入ってきて言葉の面白さに魅了されます。
-----
同じ話しでも英語で読むのと日本語で読むのとでは全然違うのですよね。

The rain in Spain stays mainly in the plain.
(マイフェアレディーより)

は日本語にしたら意味がないですよね。
(2008.07.16 21:17:02)

Re[1]:「言葉とイメージ」(07/16)  
森の声  さん
saeko★@ログアウト中さん

>ブーバーとキキ、そして、ドレミファ…子供に聞いて、一緒に楽しもうと思います♪
>ありがとうございます。
-----
うちも昔子どもたちと遊びました。
(2008.07.16 21:18:09)

Re[1]:「言葉とイメージ」(07/16)  
森の声  さん
ダージリンさん

>同じような言葉を使っていても、伝わる物が違う・・・これは自分の体感からも感じていました。
>子どもをしっかり育てて行こうと思えば思うほど、まず親である自分なんだな、って思います。
-----
ですからマニアルに依存していると逆効果になってしまうのです。
(2008.07.16 21:32:10)

Re:そう言われてみれば(07/16)  
森の声  さん
rei_mさん
>○は黄色っぽい感じ、三角は赤っぽい感じがします。
-----
これは人によって違うかも知れません。でも、自分の中に色と形とつなげる何かがあるのは確かなようです。 (2008.07.16 21:33:19)

Re[2]:「言葉とイメージ」(07/16)  
ダージリン さん
森の声さん
>ですからマニアルに依存していると逆効果になってしまうのです。

シュタイナー教育に限らず、何かを「いいな」と思ったときに、その理論(世界)に極端に意識が向き過ぎているときは、ちょっと危ういような気がします。
危うい、は言い過ぎかもしれませんね。「脆い」かな?

どんなに素敵な言葉を選んでも、自分自身の魂からの言葉じゃなければ逆効果なんですね...。
マニュアルに沿っただけの言葉掛けは、子どもが戸惑うばかりかも知れないと思います。
以前、私のコメントにお返事頂いたように、「知識の感覚化」まで行って、言葉も本物になるのかもしれませんね。


結婚して家を出るまでに、両親といろんな会話をして来たわけですが、(ちょっとここには誤解を招きそうで書けませんが)お金の問題や、結婚生活のことなど、まともに受け止めたらルーズで自分勝手な人間になるかも知れない大甘なことを言われてました(苦笑)

でも、両親とも結婚生活にネガティブさを感じていなかったから、大甘な言葉はきっと嘘じゃなかったんだろうと、今となっては思います。
これが、仲良しを取り繕ってる両親に言われた言葉だったら、今頃私は・・・?
(いつも話が長くなってすみません。)


(2008.07.17 16:49:20)

Re[3]:「言葉とイメージ」(07/16)  
森の声  さん
ダージリンさん
>シュタイナー教育に限らず、何かを「いいな」と思ったときに、その理論(世界)に極端に意識が向き過ぎているときは、ちょっと危ういような気がします。
>危うい、は言い過ぎかもしれませんね。「脆い」かな?

私は、何かを学ぶ時にはその方法を覚えるのではなく、その考えが立っている視点を探ります。

そして、視点がつかめたら後は忘れます。視点が分かっていれば自分で考えることが出来るからです。

シュタイナー教育を学ぶということはシュタイナー教育の方法を学ぶということではありません。これはどんな場合でも同じでしょうけどね。

シュタイナー教育が生まれてきた視点を学ぶのです。
そうすると全体が見えてきます。
どんなことでもこの全体が見える位置に立つことが大切なんですよね。 (2008.07.18 06:51:44)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: