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「楽しさ」を意識し… New! かめおか ゆみこさん

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森の声

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2012.05.25
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カテゴリ: カテゴリ未分類
私は「芸術的である」ということと「創造的である」ということを分けていません。いわゆる「芸術」と呼ばれているような絵画や音楽の分野でも、「芸術もどき」のものはいっぱい存在するし、一見芸術とは無関係なような分野でも「芸術的な仕事」は存在しているからです。

R.シュタイナーは「教育芸術」という言葉を使いました。「芸術教育」ではありません。「芸術のような教育」ということです。

宮沢賢治は農業を芸術にしようとしました。

ですから、「芸術的である」ということと、社会的ジャンルとしての「芸術」は異なるのです。

そして私が重要視しているのは「芸術的であること」の方です。幼い子どもは「芸術」には興味ありませんが、毎日芸術的に活動をしています。

その「芸術的である」ということは「創造的である」ということです。

幼い子どもには「無から有を創り出す能力」があります。それは「信じる力」と、「発見する能力」と、「イメージする能力」と、「楽しむ能力」を持っているからです。

でも、大人はその逆の能力を持っています。「有を無に帰する能力」です。それは、信じず、発見しようとせず、イメージせず、楽しまないからです。

大人はすでに知っていること、出来ること、持っているものを組み合わせて対応するだけで、無から有を創り出すようなことはしません。それは単なる作業であり、お仕事です。でも、だから楽しむことが出来ないのです。



太極拳の動きは決まっています。ですから毎日太極拳をやっている人は毎日同じ動きを繰り返すことになります。でも、その同じ動きの繰り返しでも創造的に動くことが出来る人と、単なる作業のように動く人がいます。

この両者の違いは感覚的な違いなので機械で測ることは出来ません。この違いをマニュアル化することも出来ません。そして、創造的に動くことが出来る人が見れば、この両者の動きは全く異なる動きに見えますが、創造的に動くことが出来ない人にはその違いは見えません。

その違いは触れてみれば分かりやすいですが、見ているだけではなかなか分かりません。私の先生もよく触れさせました。

簡単に言うと、作業的に動いているだけの時には表面だけが動き、中は止まっているのです。でも、創造的に動いている時には内側が動き、外側は結果として動いているだけです。

腕一本動かすだけでも、「作業的動き」と、「創造的な動き」の両方が可能なのです。作業的に動かしているだけの腕は単なる「物」ですが、創造的に動かしている腕には「生命」がこもっています。

鉛筆や筆で一本の線を引くだけの時でもこの違いは現れます。作業的にひかれた線は記号のようであり、創造的にひかれた線は生き物のようです。

森光子主演の『放浪記』(ほうろうき)という舞台は2000回以上も上演されました。当然のことながら森光子は2000回同じ役をやり、同じセリフを言い、同じ動きをしました。でも、2000回も続いているということは毎回初演のように演じることが出来ていたということでもあります。

なぜなら、同じ作業の繰り返しになったとたん舞台は色あせ、退屈になり、お客が来なくなり、2000回も続くわけがないからです。

リピーターもいっぱいいたでしょう。そのような人は毎回同じ芝居を見るのです。でも、毎回感動するのです。だからリピーターになるのです。

名画と呼ばれるものも同じです。毎日見ても見あきないのが名画なのです。

それが創造的であるということであり、同時に芸術的であるということなのです。



大人の目には子どもは毎日「同じこと」を繰り返しているように見えますが、子どもは毎日「新しいこと」をやっているのです。新しいことだから毎日楽しいのです。そこに気づかないと子どもの心を感じることは出来ません。

大人も毎日を「新しい日」として迎えることが出来るようになれば、毎日が楽しくなるのです。昨日の繰り返しだと思うから退屈するのです。

でも、この違いを理解し、実際に創造的に動くのは非常に困難です。

私も意識していれば出来ますが、意識していなければ出来ません。それが、子どものようにいつでも無意識にできるようになったら達人です。

偉大な芸術家でも、年を取ってくると次第に慣れが働き、「創作」が「作業」になってしまい、作品が退屈になってしまうことも多いのです。





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Last updated  2012.05.25 08:49:08
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