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森の声

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2012.05.28
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カテゴリ: カテゴリ未分類
今日の文章は「横浜自然育児の会」の会報のために書いたものですが、亮月さんさんからのコメントとも関係していると思われるので、ここでもご紹介させていただきます。

「トロル」とは毎月やっている外遊びの会のことです。

************************

 5月のトロルは「色水遊び」でした。食紅で作った「赤・青・黄」の三色の色水を混ぜて「自分の色」を作って遊ぶ遊びです。ちなみに食紅を使う理由は、小さい子は色水を時々飲んでしまう子がいるのと、混色がきれいだからです。

 その「色水遊び」をすると、3才前後の小さい子のほとんどが全ての色を混ぜてしまい、茶色か黒っぽい色になってしまいます。そのため、いっぱい色水を作っても全部同じ色になってしまいます。計画的にきれいな色を作ることが出来るのは年長さんぐらいからのような気がします。

 それでお母さんとしては、「そんなに全部は混ぜないの」とか「もうそこでやめよう」とか言って、きれいな状態の色水を作らせようとします。でも私は「好きにやらせてあげて」と言います。なぜなら、全部の色を混ぜてしまう状態の子はまだ「きれいな色」には興味がないからです。興味がないことを求められればそれは強制になるし、楽しくないし、またその体験から学ぶことも出来なくなるでしょう。

 子どもだけでなく大人もそうなのですが、人間は興味があることをやっている時にしか発見もないし、学ぶことも出来ないのです。

 実は、その年齢の子どもたちが興味あるのは結果としての「きれいな色」ではなく、過程における「色を混ぜること」や「色が変化すること」の方なのです。もっと小さい子の場合は単なる水遊びですが、それもまたそれを楽しむことが出来る子どもにとっては大切な遊びです。
 大人がどんなに大事なことだと思っても、子どもがそれを能動的に楽しむことがなければそれは子どもにとっては無用なものであり、そこから何も学ぶことはできないのです。むしろ、「押しつけられた」という否定的な記憶しか残りません。



 幼い子どもの心とからだの内側はものすごい勢いで変化しています。そのため、子どもの心とからだはその「変化」と共鳴するようなものに強く惹かれます。逆に、年を取ってくると心とからだの内側が変化しなくなります。だから「変化しないもの」と共鳴しやすくなり、「変化しないもの」に惹かれるようになります。人間は自分の「内側」と共鳴するものを「外側」にも求めるのです。ですから、その人がどのようなものを求め、どのようなものを楽しんでいるのかということを知れば、その人の心とからだの中の状態を知ることが出来ます。

 ただ、年を取ってきて「変化しないもの」に惹かれるようになったとしても、その人の意識が単に「保守的な生活」や、「保守的な考え方」に固執するようになるのか、もしくは「普遍的真理」に向かうのかは、その人の生き方の問題です。

 小さい時にはグチャグチャやっていた子でも、年中さん、年長さんぐらいになるとちゃんと色を作るようになります。それは、偶然による変化を楽しむことから、能動的、意図的に変化を創り出すことの方を楽しむようになるからです。ただしそれは、それ以前にグチャグチャ遊びを体験していた子の場合です。グチャグチャ遊びを体験したことがないまま、年長さんや小学生になった子に色水遊びをさせると、年長さんや小学生でもグチャグチャ始めるか、知識に従って色を作るだけです。そして、なかなか能動的、意図的に変化を創り出す段階に移行しません。

一般的にそのような子どもたちは、ただ大騒ぎをするか、すぐに飽きてしまいます。なぜならまだ「能動的意志」が目覚めていないからです。

 「能動的意志」というものは自由意思に基づく、自由な行動によって目覚めるため、それを簡単に目覚めさせることが出来るのは、知識や常識にとらわれる以前の子どもたちだけなのです。知識や常識を気にするようになってしまってからでは自由に活動することが出来なくなってしまうため、能動的意志を目覚めさせるのが困難になってしまうのです。

 ちなみに、大人になってからでも自我の働きによってそれを目覚めさせることは可能ですが、実際にはかなり困難です。子どものように「楽しみながら」というわけにはいきません。なぜなら、知識や常識によって固まってしまった自分を壊さなければならないからです。そのため「修行」が必要になります。

 グチャグチャにはそういう意味があり、だからこそ必要な体験でもあるのです。でも、知識や常識に捉われない状態での活動ですから、必然的に知識や常識に縛られている大人が好まないような結果になります。それで大人はそのような活動を止めようとしたり、丁寧に教えようとするのですが、その結果子どもは「自由」を体験できなくなり、能動的意志に目覚めることが困難になってしまうのです。

 そんな時は子どもの行為を止めたり、指導したりするのではなく、子どものそばでお母さんが色作りをして楽しんでください。そうすると、そのお母さんの活動が目標になって、子どもの能動的意志が目覚めやすくなるのです。実は、能動的な意志が目覚めるためには自由意思に基づく体験だけでなく「お手本」や「目標」も必要なのです。

 昔、子どもたちが異年齢の群れで遊んでいた頃には年上のお兄ちゃんやお姉ちゃんがその「お手本」や「目標」になっていましたが、一般的に今では「お母さん」しかその役割をこなせる人がいないのです。

 このようなことは「色水遊び」だけでなく、子どもの活動全般に言うことが出来ます。子どもに伝えたいことがあったら、言葉で指導するのではなく、お母さんが楽しくお手本を見せるのです。「仲良く遊びなさい」と叱るのではなく、お母さんが仲間と仲良く遊んでいる姿を見せ、実際に我が子とも仲良く遊ぶのです。

 子どもは見て学び、体験して学ぶ生き物です。言葉で説明しても学ぶことは出来ません。その扉が一番大きく開いているのがグチャグチャやっている時期なのです。





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Last updated  2012.05.28 05:32:37
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子供の気持ちに共感すること  
マシュマロ さん
本当にそう思います。
子供にとっての「自由」というものは、大人にとっては「わがまま」とか「無計画」とか「何も考えてない」ように見えるんでしょうね。それで、そんなことやってたら秩序も常識も何もない人間に育ってしまうって思うのでしょうね。

私は、小さい子供達のこのグチャグチャした様子、すごく好きなんです。ちゃんと観察すると、ちゃんと目的っていうか、「そこから何を学ぼうとしているのか」見えてきますよね。何も学ぼうとしないでとにかくグチャグチャやりたいんだ!って時もあると思いますが(笑)それでも良いと思います。
何を知りたくて、そのグチャグチャと訳の分からない(笑)事をしているのかな?って観察して、子供の今感じている感覚を共有しようとしていくと、だんだんそこらへんの感覚が親の私も研ぎ澄まされてきたような感じがしています。そして、子供はそばにいる大人に共感されると、喜びますよね。グチャグチャと秩序も何もあったもんではないような事をしているのに、人間が誰かと思いを共有して共感するが、喜びであるって知っているって、すごいなあと思います。
グチャグチャにたくさんママが共感してあげていると、自然とグチャグチャから、変化していきますよね。それを目の当たりにすると、感動します。 (2012.05.28 14:41:26)

re;「能動的意志を育てる」(子どもとの関わり方)  
まっちーオンマ さん
うーん、納得です。なるほど、色を全部混ぜる時期ありますねーー。カラー小麦粘土を買ってあげても真っ青のケーキを作ったり、最後には全部ぐちゃぐちゃにして黒っぽいかたまりになって、おしまい、、。最近(6歳で)やっとてんとう虫やかわいいものを作るようになりました。子どもの遊び方の変化、見ているとおもしろいですね・・・。 (2012.05.28 15:41:06)

完成度を求める大人への違和感  
マーチ さん
初めての幼稚園の運動会であまりの完成度の高さに違和感を感じました。

ダンスも衣装も太鼓もかけっこも本当にすばらしいのです。
きっと何度も練習して、先生がつきっきりで教えたのだろうとありがたくも思いましたが、、、、
何ていえばいいか、分からない違和感がありました。

お友達のお母さんは、「小学校の運動会は完成度が低いのよ」と言っていました。

私は幼稚園や小学校の運動会は少しくらい失敗やぐちゃぐちゃがあってもいいと思うのですが、皆さん完成されたshowを期待しているのだなとなんだか違和感を感じました。

森の声さんはどう思われますか? (2012.05.29 23:49:02)

Re:子供の気持ちに共感すること(05/28)  
森の声  さん
マシュマロさん

>私は、小さい子供達のこのグチャグチャした様子、すごく好きなんです。ちゃんと観察すると、ちゃんと目的っていうか、「そこから何を学ぼうとしているのか」見えてきますよね。

そう、大人は特別なことをしなくてもただ共感して、その子どもの様子を楽しんでいるだけで、子どもは色々なことを学んでしまうのです。

それが子どもの魔法です。 (2012.05.30 12:13:49)

Re:re;「能動的意志を育てる」(子どもとの関わり方)(05/28)  
森の声  さん
まっちーオンマさん
>うーん、納得です。なるほど、色を全部混ぜる時期ありますねーー。カラー小麦粘土を買ってあげても真っ青のケーキを作ったり、最後には全部ぐちゃぐちゃにして黒っぽいかたまりになって、おしまい、、。最近(6歳で)やっとてんとう虫やかわいいものを作るようになりました。

でも、以前の「ぐちゃぐちゃ」はその感性の中にちゃんと生きているのですよね。
(2012.05.30 12:14:53)

Re:完成度を求める大人への違和感(05/28)  
森の声  さん
マーチさん

>森の声さんはどう思われますか?
-----
本文の方に書かせていただきました。 (2012.05.30 13:13:08)

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