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2004.02.07
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カテゴリ: お薦め本
♪ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団・・・

大正、昭和と活躍した作家です

少年向けの探偵小説を書いているだけと思ったら大間違い
やはり彼の書きたかったのは人の「異常心理」と
その背景にある1920年代の「東京」

『屋根裏の散歩者』という短編があります
ここでの主人公は特になんの趣味もなく、仕事にも遊びにも飽き
ただブラブラと仕送りで生活できる「高等遊民」と呼ばれた人


簡単に言ってしまえば覗きの話なんですが
実はこの時代背景に重要な部分があります
それがカフェーと下宿屋(原文のまま)

カフェーは現在のカフェ(喫茶店)とは違い、サロン化した溜まり場
当時のモダン都市「東京」を象徴する場
とくに何もすることのない人達が、時間つぶしにネタ探しに集まる
主人公はここで明智小五郎と出会い「犯罪」に興味を持ち始めます

下宿屋はその頃、東京への人口流入に合わせ
建てられた始めたアパートメント
今でいうとワンルームマンションのようなもの
単身者の短期居住タイプ

なんてのとは違います

この話の前提には、完全なプライバシーが保たれた部屋が必要になります
今では当たり前ですが、壁で仕切られた部屋、鍵がかかるドア
中の行動は他の誰にも知られることがない・・・
他人の視線から逃れ、二面性を作り出す


主人公はそもそも外見的な関わりしかない周りの住人には
興味を持っていなかったわけです
ところが、たまたま押入の天井に見つけた隙間から
屋根裏を徘徊し
彼らが普段見せない裏の面を見るようになるわけです
その後の話は実際に読んでいただければわかりますが
この小説が発表されたと同じ1925年(大正14年)
震災復興と人口増加に合わせた新しいライフスタイルをめざして
RC造(鉄筋コンクリート造)の最初の同潤会アパートが青山に建ちます

ちょうどこのあたりが、都市の生活様式の転換期になります

そういえば、未だにプライバシーにあたる日本語はありませんね
ここらへんも日本人のプライバシー感を表してますね

実は以前に紹介している二笑亭
http://plaza.rakuten.co.jp/nagoo/diaryold/20031021/
http://plaza.rakuten.co.jp/nagoo/diaryold/20031024/
赤木城吉が発狂し二笑亭を建て始めるのも(大正14年)
そして檜板の節を抜き、ガラスをはめ込んだのぞき窓
なぜか重なってきますね・・・

「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」乱歩

パルコ出版の絶版で手に入らなかった 「乱歩と東京」 松山巌
は、ちくま学芸文庫から文庫化されています
『屋根裏の散歩者』は 「江戸川乱歩傑作選」 新潮文庫に収録されています
ここには他にも『人間椅子』『D坂の殺人事件』『鏡地獄』『芋虫』など
名作ばかり ぜひ一度お読み下さい

-追加情報-
「定本-二笑亭綺譚」 ちくま文庫-式場隆三郎
こちらは以前にも紹介しましたがすでに廃刊になっています
古本屋でお探し下さい

現在発売中の雑誌「東京人」
http://www.toshishuppan.co.jp/tokyojin.html
今日になったら最新号に変わってました(笑)

特集-東京からなくなったもの-消えた街角、思い出の風景
なくなってしまった名建築、映画館、喫茶店e.t.c.
写真も豊富でお薦めです
ぜひ、立ち読みでもいかが?

nagoo 本館
http://www1.odn.ne.jp/nagoo/index.html






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Last updated  2004.08.09 01:29:14
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