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前回、取得時効の記事を書きました。今回は、その際にも登場した「時効の援用」について簡単にお話したいと思います。 「時効の援用」とは、時効が完成したことによって利益を受ける者が、その利益を享受する意思を相手方に表示することです。例えば、借金の返済義務がなくなる債務者が、貸主である債権者に対して「時効が成立したので支払いません」と主張すること等を指します。時効期間が経過しても、自動的に権利が消滅したり取得できたりするわけではありません。これは、時効の利益を受けるかどうかを当事者の意思に委ねるためです。したがって、時効の効果を確定させるためには、この「援用」という手続きが不可欠となります。援用の方法に決まった形式はありませんが、後々のトラブルを避けるため、「言った、言わない」の争いを防ぐ証拠として、配達証明付きの内容証明郵便で「時効援用通知書」を送付するのが最も確実な方法です。 さて、今回は「時効の援用」についてお話しました。時効が成立しても、「はーい、自分、時効を援用しま~す」って意思表示しないと利益を得る事ができないんですね。ちなみに、時効期間が経過した後に、債務の存在を認めるような行為(例:借金の一部を返済する、支払猶予を申し出る)をしちゃうと、時効の利益を放棄したとみなされ、時効の援用ができなくなる可能性があります。気を付けましょう。
2025.09.28
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皆さん、取得時効って聞いた事ないでしょうか?民法162条にその規定があります。今回は、「取得時効」について簡単にお話したいと思います。 取得時効とは、他人の物であっても、「①所有の意思をもって」「②平穏かつ公然と」「③一定期間占有を続けること」で、その所有権などの権利を取得できる制度です。 ①所有の意思をもった占有であること: 所有者として振る舞う意思(自主占有)が必要です。 ②平穏かつ公然の占有であること: 暴行や脅迫によらず、占有を隠していないことが求められます。 ③一定期間の占有が継続すること: 時効期間は、占有を開始した時の状況によって異なります。自分のものだと信じ、そう信じることに過失がなかった場合(善意無過失)の場合、10年。他人のものだと知っていた(悪意)か、知らないことに過失があった場合の場合、20年で「取得時効」が成立します。 さて、今回は「取得時効」についてお話しました。典型例としては、隣地との境界を誤って長年使用していたケースなどがあります。ちなみに、時効期間が経過しても自動的に所有権が移るわけではありません。時効による利益を受ける者が「時効の援用」という意思表示をすることで、正式に権利を取得できるとです。
2025.09.27
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相続の際、超重要なのは、故人の借金の有無です。借金があるのか?あるならどのくらいか?分からないと怖いですよね。今回は、故人の借金調査について簡単にお話したいと思います。 相続財産の調査において、故人が隠していることの多い借金の発見は特に難しい問題です。まずは故人の部屋などを確認し、ローンの契約書や利用明細、督促状といった書類がないか探してみましょう。より確実に調査するには、JICC(日本信用情報機構)やCICといった個人信用情報機関に、故人の信用情報を開示請求する方法が有効です。これにより、金融機関や消費者金融からの借入状況などを網羅的に把握できます。調査の結果、プラスの財産よりも明らかに借金が多いことが判明した場合は、「相続放棄」を検討する必要があります。相続放棄は、原則として相続の開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所への申立てが必要なため、速やかな調査と判断が重要です。 さて、今回は故人の借金調査についてお話しました。本人が遺言書や財産目録を作成していない場合、財産調査において借金の部分は超重要です。その大きさによっては3ヶ月以内に相続放棄や限定承認(プラスの財産の範囲内でマイナスの財産も引継ぐ)を選択しないといけないからです。ちなみに、法定相続人や遺言執行者などが開示請求する場合、本人確認書類のほか、法定相続人であることを証明する書類(法定相続情報一覧図の写しなど)が必要となります。
2025.09.23
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相続の際、被相続人(故人)の財産ですが、多くの場合、預金として銀行にあるって事は想像できますよね。ただ、株などの有価証券がどのくらいなのか?財産目録が無い場合、調べないといけません。今回は、預貯金・有価証券の調査方法について簡単にお話したいと思います。 故人が遺した預貯金の調査は、まず預金通帳を探すことから始めます。通帳を基に、取引のあった金融機関の窓口で「預金残高証明書」の発行を申請すれば、相続開始時点での正確な資産額を把握できます。もし通帳が見当たらなくても、クレジットカードの利用明細や通販の支払い履歴などが、引き落とし口座を特定する手がかりになる可能性があります。心当たりのある金融機関に直接、口座の有無を照会することも有効です。また、株式や投資信託などの有価証券を保有していた場合は、取引のあった証券会社や金融機関に連絡を取り、資産価値を証明する「評価証明書」の交付を依頼しましょう。「証券会社が分からん」って場合、郵便物で「取引残高報告書」や「配当金の支払通知書」などで確認できます。 さて、今回は預貯金や有価証券の調査方法についてお話しました。被相続人の財産がどのくらいあったのか?正確に把握しなければなりません。預金のみならず、有価証券の残高も証券会社に証明書を発行してもらわないといけないんですね。ちなみに、証券会社が不明で、故人の遺品から手がかりが見つからない場合、証券保管振替機構(通称「ほふり」)に登録済加入者情報の開示請求を行うことで、故人が口座を開設していた証券会社や信託銀行などを調べることができます。
2025.09.22
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相続の際、被相続人(故人)の財産の内、不動産があるってケースありませんでしょうか?自宅等は分かりやすいですが、その他の不動産って何がどのくらいあるのか、知っておかないとわかんないですよね。今回は、相続の際の不動産の調査方法について簡単にお話したいと思います。 被相続人が所有していた不動産の相続調査では、まず物件の特定とその評価額の把握が不可欠です。調査の第一歩として、故人の自宅から「権利書」や「固定資産税の納付書」といった関連書類を探します。特に固定資産税の納付書を手がかりに、市区町村役場で「名寄帳」を請求すれば、所有不動産の全体像を明らかにできます。物件が特定できたら、法務局で権利関係が記された「登記事項証明書」を取得します。次に、市区町村役場で「固定資産評価証明書」を入手し、不動産の価値の目安を確認します。 さて、今回は相続の際の不動産調査についてお話しました。何をどのくらい持っているのか?あらかじめ遺言書等で分かっていると調査もスムーズですね。そういったものが無いと、役場での調査等が必須となり、相続人の負担となります。慣れない作業は専門家に相談する事も選択肢です。ちなみに、これらの手続きを自身で行う際は、相続人であることを証明するための戸籍謄本や身分証明書が必要となります。何度も役場に通う事の無いよう忘れずに準備ですね。
2025.09.21
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相続の際、被相続人(故人)の財産がどれだけあるか分からないと分配のしようが無いですよね。そこで必要となるのが、財産目録です。今回は、財産目録に何を記載するのかについて簡単にお話したいと思います。 財産目録には、被相続人が所有していた土地や建物などの不動産の評価額、預貯金の額、株式や債券などの有価証券の額のほか、自動車や絵画・宝飾品などの動産の評価額などを記載していきます。そういった「プラスの財産」だけでなく、借金や税金、未払の治療費などの「マイナスの財産」もきちんと調べて、記載しておく必要があります。たとえ被相続人が遺言書を書いてくれている場合でも、財産目録が用意されていない場合は、やはり財産をきちんと調べて、財産目録を作成するようにしましょう。なお、財産目録は法律で作成を義務付けられている訳ではありません。しかし、遺産分割協議や相続税対策などの場面では、財産目録の有無によって、手続きの進行や結果に大きな差が出ることがあります。 さて、今回は財産目録についてお話しました。遺言書で財産目録と共に分配方法も記載されていると相続人の労力は激減します。やはり遺言書は作成しておくに越した事はありませんね。ちなみに「財産目録」、書式についての決まりがある訳ではないので、相続人全員が分かりやすいようにまとめておけばいいかなぁと思います。
2025.09.20
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一般危急時遺言などの特別な方式の遺言、証人が必要となります。その証人はどんな人がなるとでしょうか?今回は、特別な方式の遺言の証人について簡単にお話したいと思います。 一般危急時遺言を作成するには、3人以上の証人の立ち会いが必要です。そして、誰でも証人になれるわけではなく、法律で定められた欠格事由に該当しないことが求められます。具体的には、民法第974条に「次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。」と記載があり、 1.未成年者 2.推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族 3.公証人の配偶者、4親等内の親族、書記及び使用人は、証人になる事ができません。これらは「その他の特別方式の遺言」にも適用されますつまり、遺言の内容によって直接的な利益を得る可能性のある人や、遺言者に近い親族は、証人から除外されるんですねぇ。 さて、今回は特別な方式の遺言の証人についてお話しました。このように証人に厳しい条件が課せられているのには、遺言者本人が自分で書くわけではなく、証人の1人が遺言者の口述を筆記するという特殊な形式をとるためなんですね。ちなみに、一般危急時遺言の証人を選ぶ際には、親族以外の第三者に依頼するのが一般的です。司法書士や行政書士といった専門家が証人になることもあります。
2025.09.15
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前回は、特別な方式の遺言として「一般危急時遺言」について記事を書きました。今回は、それ以外の特別な方式の遺言について簡単にお話したいと思います。 特別な方式の遺言として、「一般危急時遺言」以外に、以下3つあります。まず、「難船危急時遺言」。これは、船舶の遭難などで死の危険が目前に迫っている場合に作成できる遺言です。証人2人以上の立会いのもと、遺言者が口頭で遺言の趣旨を伝え、証人の1人がそれを筆記し、各証人が署名・押印します。飛行機が遭難した場合も含まれると解されています。次に「一般隔絶地遺言」。これは、伝染病による隔離や服役中など、交通が遮断された場所にいる人が作成する遺言です。この場合、死亡の危急は要件とされていません。作成には警察官1人と証人1人の立会いが必要で、遺言者、筆者、立会人、証人全員の署名押印が求められます。最後に「船舶隔絶地遺言」これは、長期間の航海などで陸地から離れた船舶内にいる人が作成する遺言です。こちらも死亡の危急は問いません。船長または事務員1人と証人2人以上の立会いのもとで作成し、関係者全員の署名押印が必要です。 さて、今回は「一般危急時遺言」以外の特別な方式の遺言についてお話しました。いずれも通常の方式で遺言を作成できない特殊な状況下で認められる「特別な方式の遺言」です。ちなみに、これらの特別な方式の遺言は、遺言者が通常の方式で遺言できる状態になってから6ヶ月間生存した場合は、その効力を失います。「通常の遺言ができるんだったら、そうしてね」って事です。
2025.09.14
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通常は、自筆証書遺言や公正証書遺言などで遺言書を作成します。でも病気や事故などで急に死が迫った時、「あ~遺言書作っとらんやった~」って言っても後のカーニバルですよね。今回は、そんな時作成する遺言について簡単にお話したいと思います。 病気やその他の理由で死亡の危急に迫られた人が作成できる、特別な方式の遺言として「一般危急時遺言」という特別な方式の遺言があります。通常の遺言方式が取れない緊急時に認められている遺言です。作成には、3人以上の証人の立ち会いのもと、遺言者が証人の1人に遺言の趣旨を口頭で伝え、それを筆記してもらう必要があります。筆記された内容は、遺言者と他の証人に読み聞かせ、または閲覧させて確認を取った後、証人全員が署名押印することで遺言が成立します。ただし、この遺言は、作成から20日以内に家庭裁判所に請求して確認を得なければ効力を生じません。また、遺言者が回復し、通常の方式で遺言ができる状態になってから6ヶ月間生存した場合、この遺言は無効になります。 さて今回は、「一般危急時遺言」についてお話しました。利用されるケースは滅多に無く、あまり知られてはいませんが、知っておくと万が一に備える事ができるかもですね。ただ、こういった方式を取らなくて良い様に、元気なうちから遺言書を作成しておく事をお勧めします。ちなみに、遺言書は15歳以上であれば誰でも作成は可能です。これは、法律上、15歳になれば「意思能力」が備わっていると判断される為です。
2025.09.13
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前回、株式会社と合同会社の違いについて記事を書きました。今回は、両者の設立費用について簡単にお話したいと思います。 株式会社と合同会社の設立にかかる法定費用を比較すると、合同会社の方が大幅に安く抑えられます。費用の大きな違いは、「登録免許税」と「定款認証手数料」の2点です。まず、登録免許税ですが、これは会社を登記する際に納める税金です。株式会社の最低税額が15万円であるのに対し、合同会社は6万円です。どちらも資本金の額の0.7%ですが、最低額が異なるため大きな差が生まれます。次に定款認証手数料です。定款は会社のルールを定めた重要な書類で、株式会社の場合は公証役場で認証を受ける必要があります。これに資本金の額に応じて3万円から5万円の手数料がかかります。一方、合同会社はこの定款認証が不要なため、手数料はかかりません。 さて今回は、株式会社と合同会社の設立費用についてお話しました。自分ですべて手続きを行った場合、最終的に株式会社は約22万円以上かかるのに対し、合同会社は約10万円で設立可能なんですね~。また上記費用に加えて、定款を紙で作成した場合は、株式会社・合同会社ともに4万円の収入印紙代が必要です。が、電子定款を利用すればこの費用は不要になります。ちなみに、電子定款には、ICカードリーダーや電子署名ソフト等が必要となります。弊所では、「セコムパスポート for G-ID行政書士電子署名」にて電子定款作成が可能となっております。行政書士の先生で「電子署名だけやってくれん?」とのご依頼も喜んでお受け致します。
2025.09.07
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最近は会社を立ち上げるハードルも下がって、法人を設立される方も増えてきました。その際、株式会社にするか、合同会社にするかを選択しなければなりません。今回は、株式会社と合同会社の違いについて簡単にお話したいと思います。 株式会社と合同会社は、どちらも法人格を持つ会社形態ですが、その仕組みや特徴にはいくつかの違いがあります。最も大きな違いは「所有と経営」の関係です。株式会社では、出資者(株主)と経営者(取締役)が分離されており、株主は出資額に応じて議決権を持ちます。 一方、合同会社は出資者(社員)と経営者が同一であり、原則として出資者全員が経営に携わります。このため、合同会社は意思決定が迅速に行えるという利点があります。また、設立費用は合同会社の方が安く抑えられます。株式会社の設立には最低でも15万円の登録免許税と定款の認証手数料がかかりますが、合同会社は登録免許税が最低6万円で、定款認証も不要です。それと、株式会社には役員の任期があり、再任手続きや登記費用が発生しますが、合同会社には役員の任期がないため、これらのコストがかかりません。株式会社に義務付けられている決算公告も、合同会社では不要です。そして、株式会社の利益配分は出資比率に応じて決まりますが、合同会社では定款で自由に利益配分を決められます。 さて、今回は株式会社と合同会社の違いについてお話しました。一般的に、株式会社の方が社会的信用度が高いとされてて、資金調達や人材採用の面で有利になる場合があるんですね~。ちなみに、合同会社は比較的小さな会社で、株式会社は大企業というイメージはありますが、Appleやアマゾン、Googleの日本法人は、合同会社です。米国企業は、効率重視って事と、上記3社だと信用度は問題ないって事ですかね~。
2025.09.06
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