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さて先日のことですが、当院ではエレックス社のYAG/SLTレーザー機械、タンゴネオを新規導入しました。 これは白内障の術後に一定の確率で発生して視力低下を引き起こす後発白内障(こうはつはくないしょう)に対して後嚢(こうのう:水晶体の袋の後ろ側の部分)切開術を施行するためのYAG(やぐ)レーザーと、緑内障の眼圧を下げる効果のあるSLT(えすえるてぃー)レーザーの2つがニコイチで1つに収まったスタイリッシュなマシンです。 自分は以前からエレックス社の製品が大好きなのですが、その理由は筐体がコンパクトで同時にデザインがとても美しいからです。大切な患者様を常に最高の笑顔でお迎えしたいですし、そのためにもまずはスタッフの我々自身が快適でリラックスした環境下で仕事を継続出来ることが大切だと考えています。 さてそれではマシンの実際を見ていきましょう。 旧型機種に比べて、操作画面が大型化されてより快適になりました。また顕微鏡の性能が上がって非常に見やすくなりました。 機能面で言うと、旧機種ではピントを後ろ側にしかずらせなかったのが、 新機種ではピントを前側にもずらせるようになりました。これは大きな進化です。 具体的なメリットを言うと、白内障術後に前嚢収縮(ぜんのうしゅうしゅく:水晶体前面の袋が収縮してくること)と言うものが発生して視力低下や視界が狭くなったりと言う合併症が起こることが稀にあるのですが、そういう時にピントを前にずらせると、より安全に前嚢切開と言うレーザー治療が出来るのです。 またレーザー自体のパワーも上がっていて、それもとても快適に感じました。「切れ味良いねー。」と思いました。当院ではメインテナンスをしながら旧機種は開院以来16年間使い続けていただけに、より新機種の素晴らしさが滲みたのかもしれません。(笑) ディーラーの吉田メディカル様、製造発売元のエレックス社様、本当に有難う御座いました。
2024.11.10
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さて当院では常に清潔かつ快適な環境下で眼科医療を提供するために、毎年専門の業者の方にお願いして院内のエアコンのクリーニングをしています。 段取りとしては夏が始まる頃にプロに見に来てもらって、必要があるものをクリーニングして頂くという形にしています。エアコンって非常に汚れやすいものですし、クリニック運営に当たってとても大切なことであると考えています。 今年も少し前の事ですが、7月上旬にクリーニングを受けました。今日はその時の様子をちょっとだけご覧いただきます。 準備も結構大掛かり。 このように当院では、隅々までしっかりとメンテナンスをしながら、毎日の患者様の診療に当たっています。
2024.08.05
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さて先日紹介した、エンジェニュイティー(NGENUITY® )3D ビジュアルシステムですが、高いポテンシャルがありそうだったので、製造販売元の日本アルコン社様とディーラーの吉田メディカル様のご厚意で松山市のアルコントレーニングセンターにウェットラボに出かけてきました。 これは具体的に言うと、人間の顔の模型に豚さんの目をセットして実際に白内障手術をやって見るというものです。何故豚さんかと言うと、流通量が豊富で目が手に入りやすいのと構造が人間と似ていて手術トレーニングに最適だからです。 ちなみに20年以上前私が研修医だった頃には、今回もお世話になった同じ日本アルコン社のトレーニングセンターにお邪魔して連続で10眼以上豚眼で手術の練習をさせて頂いたこともあります。本当に昔からお世話になっているんですね。ちなみに手術機械も道具も患者様に使っているものと全く同じです。 手術準備中の写真。↓ 実際の手術の様子。↓ 豚さんの目を模型にセットしたところ。↓ 手術が終わって、無事に目の中に眼内レンズが入っているところ。↓ さて結論を言うと、このエンジェニュイティー(NGENUITY® )3D ビジュアルシステム、凄くいいと思いました。良く見えるし立体感があって目の中の深さがはっきりと分かるし、「手術眼科医としての寿命を延ばしてくれる魔法のシステム」だなと感じました。 自分は今の従来型の顕微鏡を使っての手術で特に問題を感じていないので現時点では導入はしませんが、後10年とか、もう少し年を取ったら検討しようと思いました。
2024.09.04
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さて当院では日本のトプコン社のOCT(3次元眼底撮影装置)である、 スウェプトソースOCT DRI OCT Triton(トリトン) を2017年に導入していました。 このOCTと言うのは現代の眼科医療においては既に無くてはならない必須機械となっており、当院でも毎日大活躍してくれています。ただ、導入時に付いていたマシンの制御パソコンがウィンドウズ8で、今の視点で言うと処理速度の点で物足りなくなっていたこととメンテナンス性の問題があることから、ウィンドウズ11搭載の最新のパソコンに入れ替えてアップデートして頂きました。 普通に市販しているものではなく、OCTの製造元のトプコン社がHP社に特注でオーダーして作って貰っているmonsterマシンになります。↓ 今回のOCTアップデートにより撮影した画像の処理速度が上がりました。当院では「身近なコンビニ」的な開業医として、「とにかくお待たせせず、スピーディーで快適&高品質な医療サービスを提供する」ことを強く意識しており、これからもその目的達成のためにスタッフ一同全力で努力していきます。
2024.06.30
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さて当院では開院時からドイツのカールツァイス社のルメラという手術顕微鏡を導入しています。15年前には我々眼科専門医の間で「最近出たツァイスのルメラ、ヤバいくらいに良く見えるよ。」と話題騒然となったニューマシンで、当時目が飛び出るほどに非常に高額だったものの、頑張って買ったのでした。 それから長い時が流れましたが、このルメラは今でも現行機種として販売が継続されています。「時を超える力のある名機だった」ということですね。 さてそんなルメラですが、最近少しだけ手術時の見え方に違和感があったので、カールツァイスの技術の方に出張して頂いて見て貰いました。 その結果、顕微鏡内部のハーフミラーというものが少しズレていたとのことで直して頂きました。同時にすべての光学系のクリーニングもして貰いました。 当院ではこれからも設備投資と機器のメンテナンスにお金を惜しまず、常に万全の状態を保って大切な患者様の診療に当たって参ります。
2024.06.25
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いやあもうすぐ9月も終わるというのに相変わらず暑いですね。日本からは四季がなくなり東南アジア型の夏と冬だけの二季になっていくのかな?という感じがしています。 さてこの夏から秋に移り変わるこの時期なんですが、「このところ急に目がムズムズ&ネチネチしてかゆくなった」という患者様が意外にも多いんですね。皆様「今、目がかゆくなるはずはないし、おかしいなー。」と言う感じで受診されます。 全然おかしくありません。実は今は、キク科・ブタクサ属の1年草であるブタクサによる花粉症のピークの時期なのです。そこら中に生えています。スギ・イネ・そしてこのブタクサが「世界3大花粉症」の原因で、日本でも花粉症の原因の第3位なのです。 (上記データは花粉図鑑より引用) また今の時期は花粉症原因2位のイネ科の雑草(イネ・オオアワガエアリ・メヒシバなど)による花粉症もまだ残っています。更にそれに加えて秋特有のカナムグラ(アサ科)、セイタカアワダチソウ(キク科)、ヨモギ(キク科)による花粉症もあります。(上記データは花粉図鑑より引用) つまり、 秋と言うのは、実は「1年で一番花粉症の原因物質が多い地獄の時期」 なんですね。下記の表を見て頂けると一目瞭然と思います。 (上記データは花粉図鑑より引用) 目薬・内服薬で速やかに改善しますので、症状のある方は我慢せず早めにお近くの眼科専門医を是非受診されてください。我々は皆様の不快な眼症状を取り除くためのプロですからね。
2024.09.29
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さて先日のことですが、ディーラーの吉田メディカル様と製造販売元の日本アルコン社様のご厚意で、新しい手術システムである、エンジェニュイティー3Dビジョンシステムのデモをさせて頂きました。 これは簡単に言うと、顕微鏡を覗いて手術をする代わりに、3Dメガネをかけて大きなモニターを見ながら手術が出来るという画期的なものです。 この日は模擬眼を置いて実際の見え方や操作感を体験しました。ちょっと慣れが必要ですが、今までの顕微鏡を使っての手術より術野も広いですし見え方もクリアですし、習熟すればより安全で精度の高い手術に繋がりそうだな、と感じました。
2024.08.29
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まだまだ蒸し暑い時期が続きますね。草刈り等の農作業も多く、「目にゴミが入った」などの訴えで受診される患者様が多い季節です。 さて、この目の中なのですが、実に様々な異物が入り込みます。今日はどのようなものが入るのか、いくつかその内の珍しい事例を見て頂きましょう。 ↑ この患者様は以前も紹介したことがありますが、農作業中に田んぼで転んでその時に目にヒルが食い付いてしまいました。非常にすばしっこく逃げるので摘出するのが大変でした。 ↑ この患者様はみかんの摘果作業中に目にゴミが入り「洗っても何してもどうしても取れない」との訴えで受診されました。それもそのはず、蟻が目から振り落とされないように結膜(白目)に足を深く刺してしがみついたまま絶命していました。このありんこも引っぺがすのが大変でした。 ↑ この患者様は、「まぶたの裏で何かがもぞもぞ動いている!」との訴えで来院されました。上まぶたをめくって調べて見ると、ショウジョウバエと思われる2ミリ大の虫が目の中で既に絶命していました。 このように、目の中と言うのは様々な異物が入り込みます。自力ではなかなか取れないもの、取るのが危険なものもあります。ですので、「あれ?何か目にゴミが入ったぞ。」という時には、是非気軽にお近くの眼科専門医を受診するようにしてくださいね。
2012.09.01
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我々人間は外界からの情報の80%を目から手に入れていると言われており、だからこそ目はとても大切なわけですが、その目の真ん中に開いているのが瞳孔です。この瞳孔なんですが、動物によって形が違うことは割りと知られていません。 (眼科セカンドオピニオン 銀海舎 P53より) 我々人間が真ん丸なのは皆様ご存知でしょうが、ヒキガエルはなんとハート型なんですね。 ネットを巡回していると、なんと 「ハート型の瞳孔を持つ猫」 もいました!。 ただ残念ながらこの猫は「エイプリルフール用の合成写真」だったようなのですが(私は本物かと思ってかなり驚いていたのですが)、 実は 人間でも「ハート型の瞳孔」を持つ方が存在する のです。 これはある患者様に検査のために散瞳薬という目薬を入れたところなのですが、上方の虹彩(茶目)の一部がその後ろの水晶体とくっついている関係で、偶然「ハート型」になっています。 患者様に「目がハート型になっていますよ」とこの写真をお見せしたら大変喜んで頂いたのですが、とっても珍しいものが見れて私も嬉しかったです。こういった様々な楽しいことがあるので私は外来診療が大好き なんですね。
2009.08.04
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お料理、特に揚げ物などをしていて天ぷら油が眼に入りかけたことはありませんか?高温の油が眼に入ったらどうなってしまうのかちょっと心配ですよね。 ところが人間というのは良く出来たもので、現実にはなかなか油が眼に入ることはありません。危険を察知して瞬間的に眼を閉じるので、「眼に入った!」と思っても実際はまぶたに油が当たっただけということが多いんですね。 先日もある患者様が「天ぷら作っていたら揚げ油が目に入った。滅茶苦茶痛いので飛んできた」といって来院されました。私が「意外と本当に眼に油が入ることはないんですけどね。良く診せて頂きましょう」と拝見すると、、、、、、 油、本当に眼に入っていました。ちょっと珍しいですね。上の写真で緑色に丸く変色している部分がそうなのですが、高温の油が当たって黒目(角膜)に炎症・点状の細かな密度の高い傷に加えて一部上皮欠損を起こしています。黒目は非常に敏感な部分なので、このくらいの傷でもかなり強い痛みが出ることがあります。 目薬と眼軟膏を処方して本日再診して頂いたのですが、 ほとんど治っていて私もホッとしました。 このくらいの傷だったらすぐ治るには治る訳ですが、かなり強い痛みが出るのは事実なので、皆様も料理中には油が目に入らないように十分注意してくださいね。
2009.10.19
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さてアクティブになる楽しい夏の季節なのですが、それに伴って目にも色々なものが入ってトラブルを起こすことがあります。これは以前にも書いたことがある人気記事なのですが、新たな画像を追加して「2016年夏バージョン」でお送りしましょう。 ↑ この患者様は、「魚を捌いていたら急に目が痛くなって水で洗っても目薬しても何しても痛みが取れない。」との訴えで来院されました。矢印の部分に何かがありますね。 魚のうろこが白目(結膜)に刺さっていました。うろこは表面が複雑な形状をしているので一度目にくっつくとなかなか自力では取れません。顕微鏡で見ながら慎重にピンセットで引っぺがしたのですが、強力にくっついていたので剥がすのが大変でした。 ↑ この患者様は以前も紹介したことがありますが、農作業中に田んぼで転んでその時に目にヒルが食い付いてしまいました。非常にすばしっこく逃げるので摘出するのが大変でした。 ↑ この患者様はみかんの摘果(てきか)作業中に目にゴミが入り、「洗っても何してもどうしても取れない。」との訴えで受診されました。それもそのはず、蟻が目から振り落とされないように結膜(白目)に足を深く刺してしがみついたまま絶命していました。このありんこも引っぺがすのが大変でした。 ↑ この患者様は、「まぶたの裏で何かがもぞもぞ動いている!」との訴えで来院されました。上まぶたをめくって調べて見ると、ショウジョウバエと思われる2ミリ大の虫が目の中で既に絶命していました。 このように、目の中と言うのは様々な異物が入り込みます。自力ではなかなか取れないもの、取るのが危険なものもあります。ですので、「あれ?何か目にゴミが入ったぞ。」という時には、是非気軽に遠慮なくお近くの眼科専門医を受診するようにしてくださいね。
2016.07.07
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さて2月4日(土)、初日に非常に勉強になったのは「強膜炎の薬物療法」、「強膜炎の外科的治療」という2つのプログラムでした。 強膜というのは、眼球そのものを形作っている丈夫で文字通り「強い膜」で、普段は白い色をしています。そして、この膜に炎症が起きている状態を強膜炎といいます。 症状としては、強い充血と痛みです。強膜炎の充血は比較的深いところで発生してるので、黒っぽい赤色に見えるのが特徴です。充血している部分は押すと痛みを感じます。この「痛い」というのが強膜炎の最大の特色であり、しかもその痛みは患者様によっては「鉛筆を目に刺されたよりも痛い」と言うほど激烈です。具体的に実際の患者様の状態を見て頂きましょう。 この強膜炎はリウマチなどの自分で自分自身を攻撃してしまう自己免疫疾患に合併することが多いですが、色々調べても結局原因が分からないことも良くあります。 そして、これだけ医学が進歩した現在でも治療に難渋することが多く、最悪の場合は強膜が溶けて(壊死して)穴が開いてしまうことさえあるのです。そのためこの強膜炎と言うのは、我々眼科専門医にとってはその知識量・経験・状況判断力・決断力を問われる非常に厳しい病気なのです。 今回のプログラムではこの強膜炎について様々な角度から勉強することが出来ました。 ↑ このように強膜炎の原因疾患というのは無数にあり、それがこの病気の治療を難しくしています。 ↑ そして、上のスライドにあるとおり、「とにかく痛い」こと、これが困るんですね。 ↑ そして、目薬だけであっさり治る症例から、内科的・外科的治療を総動員して何とか治った症例、どうしても治せない症例まで、その予後は本当に千差万別です。 ↑ 治療法は一応のフローチャートはありますが、これがまた一筋縄ではいかないのです。 ↑ これは重症例の写真ですが、激烈な炎症で強膜が溶けてしまい、その奥のぶどう膜という茶色い組織が出てきてしまっています。 ↑ こうなると、強膜パッチ術といって、他の方の献眼された目を持ってきて弱いところに貼るという外科的な治療をするというのが教科書に書いてある定説なのですが、 ↑ うかつにこのパッチ術に手を出すと、パッチをしても次から次へと溶けてしまってまた穴が開き、「合計したら数個分の目をパッチに使ってしまった!」というような凄まじい状況におちいることがあるので、「うかつに外科的治療に踏み切らないことが大切である」ことが解説されました。 重症例の治療法の実際を聞くことが出来て、本当に勉強になりました。(続く)
2012.03.23
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今朝起きて何気なくテレビを付けると、 人気芸能人のオリラジの藤森さんが「流行性結膜炎」(テレビのテロップには少し間違いがあり、本当の病名は「流行性角結膜炎」です。)で休養というニュースが出ていました。 この「流行性角結膜炎(我々の業界用語ではEKC)」は俗に言う「はやり目」で、アデノウイルスというウイルスによって引き起こされ、目の強い充血・めやになどの激烈な症状が出ます。 感染力が非常に強く簡単に周囲の人に移ってしまうので、発症後1週間ほどは自宅で休養する必要があります。また睡眠不足などで免疫力が低下している時にはより感染しやすいので、藤森さんはきっと多忙を極めていたでしょうからこれを機にゆっくり休養されたら良いと思います。 さてこの流行性角結膜炎、実は原因のウイルスに直接効く目薬はありません。そのため炎症を抑える目薬と弱った状態の目に他の感染を起こさないようにするための抗菌の目薬を点眼しながら自分の力で治るのを待つしかないのですが、感染力がなくなった後に黒目(角膜)に濁りが残って視力低下やまぶしさなどの症状が続くこともあります。だからこそ、流行性「結膜炎」ではなく「角結膜炎」という病名が付いているのです。 ↑ これが実際の患者様の目の写真ですが、黒目(角膜)のど真ん中に白っぽい濁りが残ってしまい、視力も低下してしまっています。こうなると濁りを取るためにステロイドという切れの良い炎症を取る目薬をしばらくの間使わなくてはならなくなります。 なので、この「流行性角結膜炎」というのは決して甘く見ることは出来ない病気なのです。皆様も「目が赤い、めやにがひどい、治らない。」場合には必ずお近くの眼科専門医を受診するようにしてくださいね。
2011.06.09
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どうして人間の瞳は丸いのですか? という質問を患者様から戴きました。今日はこの問題について考えて見ましょう。 まずここで言う瞳と言うのは目の真ん中に開いている「瞳孔」のことですね。私達人間は 「外界からの情報の80%を目から手に入れている」 と言われており、その入り口となるとても重要な部分となります。 さてこの瞳孔、我々人間はたまたま丸いわけですが、 実は動物によって異なる のです。! (眼科セカンドオピニオン 銀海舎 P53より引用) 猫が縦型なのは割と皆さんも御存知かと思うのですが、 ヒキガエルはなんとハート型 なんですね。 また我々人間でも、たまにこのハート型の瞳を見ることもあります。 これはある患者様に検査のために散瞳薬という目薬を入れたところなのですが、上方の虹彩(茶目)の一部がその後ろの水晶体とくっついている関係で、偶然「ハート型」になっています。 患者様に「目がハート型になっていますよ。」とこの写真をお見せしたら大変喜んで頂いたのですが、とっても珍しいものが見れて私も嬉しかったです。こういった様々な楽しいことがあるので、私は毎日の外来診療が大好き なんですね。
2016.06.06
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私の地元八幡浜は、かんきつ王国愛媛の中でも最もみかん栽培の盛んな地域の一つです。今はみかん山の仕事が最も忙しい時期のため、「みかん山で作業をしていて目を突いてしまった」という訴えで来院される患者様がたくさんいらっしゃいます。 みかん山で目を突くとどのような症状が出るのか、具体的に少し見てみましょう。 ↑ みかんの枝で黒目を突いてしまった方。 ↑ みかん山で目に虫が入り、虫が足を目に刺して絶命していたために取れなくて痛みで苦しんでいる方。 色々なバリエーションがありますが、ほとんどの患者様は軽症で収まります。ただ、稀にみかん山外傷で黒目(角膜)に傷ができていったん治った後、また再発をくり返す「再発性角膜びらん」というやっかいな病気に進行してしまうこともありますので、皆様もみかん山での作業中には目の怪我をしないように十分に気をつけてくださいね。
2010.11.16
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さて当院では新型白内障手術機械のインフィニティを購入したところですが、今日は製造販売元の日本アルコン社のサージカル担当の方にお願いして、A-Vit(エービット:前部硝子体切除)の勉強会をしました。 このA-Vitというのは、白内障手術時に後嚢破損(こうのうはそん)という合併症が起こった場合にトラブル処理に使う機械です。登場頻度は極めて低いのですが、だからこそ事前の入念な準備が必要なんですね。 本物のセットを開けて、インフィニティに接続して使用してみます。 このインフィニティには、アキュラスという硝子体(しょうしたい:目の奥のドロドロした物質)切除用の本格的で切れ味の良いカッターをつなぐことが出来ます。しかも25Gという極めて細い最新型の物が使えます。傷口を拡大せずに小さな切開創から使用できるので患者様の負担も軽いんですね。 ただ、インフィニティで唯一問題なのは、A-Vit使用時に毎回「Vitrectomy Cut I/A」モードを選び直さなくてはならないことです。元々の設定が「Vitrectomy I/A Cut」モードになっており、これを修正できないんですね。 A-Vit時には、必ずCut→I/Aモードを最初に使用する必要があります。I/A→Cutモードを先に使うと網膜はく離などの重い合併症に繋がることがあるので要注意なんですね。 素晴らしいマシンであるインフィニティがこんな単純なおかしな設定を修正できないというのは不思議な気がするのですが、サージカル担当の方によると「アメリカでは専門が別れているので、白内障手術専門医は本当に白内障しかしない。トラブルが発生して追加のA-Vitが必要になるとそのまま硝子体手術専門医に送るシステムになっておりあまりA-Vitを使わないので、多分そのせいで細かい設定に大らかで気にならないのでしょう。」ということでした。 うーんなるほど、機械を通してその国の医療システムが透けて見えると言うことなんですね。とっても勉強になりました。
2011.10.13
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さてここからはセミナーで印象に残った話、勉強になったことを自分のメモ代わりに書いていきます。 患者様の多くは「目には癌は出来ない」と思われているのですが、実は目にも癌は発生します。もちろんその頻度は高くはないのですが0ではないんですね。セミナーではその「眼腫瘍」の講義があったので、具体的にそのポイントを見ておきましょう。 一番良くあるのは、 この脂腺癌(しせんがん)です。まぶたにあるマイボーム腺の出口が詰まって慢性的な炎症が起き、その結果肉芽腫という塊ができる霰粒腫(さんりゅうしゅ)と非常に良く似ているので要注意なんですね。 私も実際数年前のことですが、「何度も何度もめいぼができて、色々な眼科で切ってもらったけど治らない。」という患者様が来院され、念のために外科的に切った後で病理検査に回した所やはりこの脂腺癌だったということがありました。高齢の方で何度もめいぼが再発する、と言う場合は常に悪性腫瘍の可能性を念頭に置かないといけないんですね。 それ以外でも、体のどこかに癌がありそれが目に転移してきた、眼底(がんてい)に茶褐色や薄い黄色の淡いさりげない病変が広がる「転移性脈絡膜(みゃくらくまく)悪性腫瘍」や 治りにくい結膜炎と区別が付きにくい、サーモンピンク色の鮮やかな腫瘤が広がる「結膜悪性リンパ腫」などもたまにあります。 これらの眼の悪性腫瘍はなかなか発見しにくいのですが、早期であれば局所の腫瘍摘出や放射線療法、化学療法で済む場合も多いので、眼科専門医として幅の広い豊富な知識を保ち、これらを決して見逃さないように努力していかなくてはならないと決意を新たにしました。(続く)
2012.06.10
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さて眼内炎のセッションで勉強になったことのメモ書きの続きです。今回も眼科専門医向けのやや特殊な内容となります。以下、箇条書きで。 眼内レンズ毛様溝逢着後に発症する遅発性の眼内炎では、その誘因として逢着糸の結膜上への露出が原因として考えられるが、長期間経過後に急性の眼内炎として発症する事があり、発見次第結膜による被覆が必要である。 緑内障手術後の眼内炎は白内障術後に対して4~100倍!と桁が違う危険率があるが、その発症には遅発性のものも多いので、緑内障手術後の患者様はとにかくしっかりとフォローしておいた方が良い。→私も絶対に月に1回は診せて頂くようにお願いしている。 最近発売された 高濃度の抗菌剤のレボフロキサシン点眼液1.5% は凄い。(当院での実際の使用経験についての日記は こちら ) 白内障術前の減菌療法で使ってみるとやはり予想以上に効いている。ただ、強力すぎて菌の陽転化、交代化を引き起こした事例もあったので、これが白内障術後の眼内炎対策としてベストかどうかは、今後の検討を要する。 PAヨードによる白内障術前の洗眼消毒は術前減菌法として最も一般的だが、その微生物不活性化にはいくつかのポイントがある。それは、低濃度は無効(4~8倍希釈でOK)、菌接触時間は60秒以上必要、ということである。→要は消毒してから少し時間を置かないと効かない・意味がない、ということ。私もいつも気をつけている。 ヨーロッパでは ESCRSスタディ(この内容について私が以前言及した日記は こちら ) 以来、白内障手術終了時の抗菌剤前房内(ぜんぼう:目の中のこと)投与が一般化しつつあるが、日本ではまだほとんど普及していない。具体的な数字で言うと、今回のアンケート調査では日本(2011~2012)では1%!、ASCRS(2007)では16%、イギリスでは(2008)14%、同じく2年後のイギリス(2010)では普及が進んで42%となっている。 前房内投与を選択しないヨーロッパでの術者の理由は、誤投与、汚染、毒性のリスクなどを懸念してのものであるが、日本国内では手技そのものがほとんど認知されていないのが問題である。 白内障手術終了時には前房内は10~40%の率で汚染されていることが知られており、抗菌剤前房内投与は安全性・有効性の評価、信頼できるプロトコールの作成等の課題はあるが、もっと認識・議論されるべき手技である。→今回の全ての一般講演の中で最も素晴らしい演題で感銘を受けた。私自身もこの手技に対しては分析、検討を続けており、以前の日記でも その具体的なやり方と有効性について考察 をしているが、少なくとも破嚢などの合併症があった症例では絶対に採用すべき手技であると、個人的には考えている。 毎年のことですが、この日本眼感染症学会の「眼内炎」のセッションはべらぼうに面白くて勉強になります。来年もまた絶対に参加したいと思っています。(続く)
2012.08.02
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このところ、「まつげエクステ」による眼のトラブルが急増しています。以下に最近見つけたニュースを引用します。 まつげエクステ、摘発増加=無資格で営業、トラブル相次ぐ-注意呼び掛け・警察庁 時事通信 9月3日(月)14時31分配信 目元のおしゃれとして幅広い年代の女性に人気がある「まつげエクステンション(エクステ)」をめぐり、視力が低下したり、角膜が傷ついたりするトラブルが後を絶たない。警察による美容師法違反(無免許営業)容疑での摘発は今年上半期だけで4件あり、2010年と11年の2年分に並んだ。 東京都内に住む30代の女性は、まつげエクステをした日の夜から目が痛くなった。救急車で病院に運ばれ、「角膜全体に傷が付いている」と診断された。 国民生活センターなどによると、まつげエクステをめぐる健康被害の相談は、店舗の増加に伴い、07年ごろから目立つようになった。09年以降は「目が痛い」「充血が治らない」といった相談が毎年90件前後寄せられている。 業界団体「日本まつげエクステンション協会」は「人気が先行し、技術が未熟なままサロンを経営するケースはある」と指摘。技能検定を実施するなど、技術力の底上げに力を入れる。 厚生労働省も9月以降、全国の眼科や皮膚科の医師約3500人を対象に健康被害の実態調査に乗り出す方針だ。 警察庁によると、今年上半期に摘発したのは埼玉、千葉、京都、兵庫の各府県警で計4件。いずれも施術に必要な美容師免許を持たずに、顧客にまつげエクステをしていた。 同庁幹部は「無免許営業は、健康被害に遭った顧客の訴えで発覚するケースが多い」と指摘。発覚した分は氷山の一角にすぎないとして「トラブルがあれば積極的に警察に届けてほしい」と呼び掛けている。(引用終わり) まつげエクステは簡単に女性の「目力」を上げてくれるので大人気ですが、 接着剤が目に入ってしまい、角膜(黒目)の上皮ごと剥がさざるを得なかった患者様や、まぶたの裏に接着剤が入り込み重いアレルギーを起こした患者様など、当院でも様々なトラブルを抱えた症例を経験しています。 皆様も「まつげエクステ」後に目の異常を感じたら、すぐにお近くの眼科専門医で診て貰う様にしてくださいね。
2012.09.17
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さて今日は「名薬、ムコスタ点眼液の悲劇」シリーズ最終回です。 この素晴らしい薬効を誇るムコスタ点眼液ですが、実は私自身も毎日寝る前に使用しています。 圧倒的に眼の調子が良くなりますし、 点眼すると目がかすんで見えなくなるのでそのまま良く眠れる という意外な作用もあります。(笑) 「苦い、しみる、かすむ」と3拍子揃った強面のハードボイルドなムコスタ点眼液 ですが、ドライアイ患者様なら一度は挑戦してみるべき素晴らしいポテンシャルを秘めたクスリでもあります。 私は眼科専門医として、この「悲劇の名薬」ムコスタ点眼液をこれからも適切に患者様に処方していきたいと考えています。
2013.03.22
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さて2010年12月の発売以来、今や日本人の国民病とまで言われる「ドライアイ」の治療を革命的に進歩させた参天製薬の名薬にして、発売7年が経過した今もベストセラー街道をばく進する、ジクアス点眼液。 このジクアス点眼液はその薬理作用上、目の細胞からの水分とムチンという物質の分泌を促進するので、点眼後に涙の量を増やしてくれます。そしてその「うるおい効果」が点眼後約1時間も持続するという、画期的で優れものの目薬です。 その為、「ジクアスが無いともう生活が成り立たない。」と仰られる患者様もたくさんいらっしゃるくらいに大人気のお薬なのですが、ベストセラーで売り上げが多い(2018年3月期で見て、1年間で128億円)が故に、逆にクレームが目立つ点眼薬でもあります。 そしてそのクレームの中で断トツに多いのが、 ジクアスを点眼すると、その後で半透明のネバネバした目やにがたくさん出てきて気持ち悪い というものです。この「ジクアス点眼後に目やにが出る」という患者様からの訴えは非常に多く、私が1週間外来をしていると、最低でも1、2回は聞きます。 これは一体何なのでしょうか? ジクアスの何か危険な副作用なのでしょうか? 今日はこの「ジクアス点眼後の目やに」の正体について、私が眼科専門医として分かりやすく回答しましょう。 先ほども書いたように、ジクアスを点眼すると目の表面からムチンという物質が放出されます。これは納豆の様にネバネバしたものなのですが、この ジクアスの効果で出てきたムチンが、目の表面の常在菌をトラップしてトリモチのように絡めとって「目やに」として出てくる のです。 つまり、 ジクアス点眼後の目やには、お薬が効いている証拠 でもあるということなんですね。 ちなみに、このジクアス点眼後の目やには、無構造でバクテリアなどをトラップしたものであり、炎症細胞はほとんど認められない、いわば無害なものであることが専門的な研究によって既に分かっています。 以上をまとめると、 ジクアス点眼後の目やにに対してはそれほど神経質になる必要はない と思います。ただドライアイ治療ではジクアス以外にも有力な選択肢はたくさんありますので、どうしても不快で気になる場合には違う点眼薬に変えればそれで済む話でもあります。 なので、どうしても気になる方は、是非気軽に次回の外来で私達眼科専門医に相談してくださいね。
2018.06.11
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さて御来院頂いた患者様への基本的な検査となる視力検査ですが、当院では開院時より日本のニデック社の液晶検査表を導入しています。 これまで特にトラブルもなく問題なく稼働してきたのですが、しばらく前に以前の職場の先輩が開業されてその内覧会に行った時に、当院に置いてあるマシンのモデルチェンジ版となる最新型が置いてありました。ジーっと見ていると、明らかに画面が明るくなっていて進化していることに気付いたので、当院でもマネして早速採用しました。 また同時に、これまで2台だった検査表を3台に増設しました。検査室のレイアウトを工夫して、下の写真の様に縦2列とそれに直交する形での横1列の合計3列での同時検査を出来る様に改善しました。 別角度から、写真をもう一枚。よく見ると、奥に幽霊が映っていますね。。。 これによって、コンタクト処方希望の患者様が多い日などにこれまでにたまに発生していた「視力検査渋滞」が緩和される見込みです。当院ではこれからも少しでも良いクリニックになれるように、日々たゆまぬ努力を続けていきます。
2021.03.04
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「緑内障の目薬で毛が生えるって本当なの?」という質問を患者様から戴きました。今日はこの疑問について少し考えて見ましょう。 現在緑内障の治療では「プロスタグランジン関連薬」という系統のお薬を第一選択薬として使います。下に示すのがその代表的な薬(プロスト系)です。 眼圧(目の血圧)を下げる効果が高く全身への副作用がほとんどないからですが、局所への副作用はかなりあります。充血・目の周りの色素沈着(黒くなる)などですが、その一つに多毛があります。目の周りに目薬がこぼれると、皮膚が黒くなりますし、明らかに毛が生えているのが分かりますね。 この多毛という副作用を避けるため、私は入浴前の点眼をお勧めしています。(この系統のお薬は全て1日1回点眼です)点眼後にお風呂でしっかりと顔を洗えばかなり予防できますからね。 ここからは余談になりますが、ちょうど友人がストレスで円形脱毛症になったのでちょっと上記の点眼薬を脱毛部に使ってみました。 かなり禿げていますが、お薬を使って2ヶ月後には、 かなり生えています!。その後も増毛は続き、現在では脱毛部は消失しています。かなり効果がありそうですね。 このようにお薬の作用というの本当に不思議なものですね。
2009.04.29
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さて昨年の12月13日の発売以来、今日までで当院でも2000本以上を処方させて頂いた「ドライアイ」の画期的な新薬ジクアス点眼液ですが、 たくさんの患者様からその使用感を教えて頂き、また処方後の目の状態を診せて頂くことによって「ジクアス点眼液の長所と短所」がかなり見えてきました。 まず第一に言えることは、ジクアス点眼液は従来型のヒアルロン酸の点眼薬(商品名で言うとヒアレインやティアバランス)よりも明らかに効果が強い、目の表面の傷を改善する力が高い、ということです。やはり15年振りの待望の新薬だっただけのことはあります。 そして次に言えることは、その高い臨床的効果を背景にして患者様の「自覚症状」が改善する場合が非常に多いと言うことです。それは具体的には、 ジクアス点眼を始めてから、明らかに目の調子が良くなった。 パソコンをするときに目がほとんど疲れなくなった。 本が読みやすくなった。 点眼してしばらくすると目が元気になる。 目が常に潤っている感じで視力が良くなった気がする。 などの患者様からの喜びの声で分かります。従来型のヒアルロン酸の目薬では、ここまではっきりした明白な評価を戴ける事はほとんどなかったので、やはり「ジクアスは凄いな」と思います。 その反面、「ジクアスが合わない」患者様も一定の率で存在することも分かってきました。合わない患者様は、 ジクアスさしたら涙が出っ放しになって仕事にならない。 常に泣いてるみたいで目がウルウルになってしまい、本も読めない、テレビも見れない。 涙が出るので気にして目を触っていたら周りが腫れた。 うまく言えないが良くない。前のヒアルロン酸の目薬の方がサラッとしていて良い。 などと仰います。10人処方させて頂くと1人くらいが合わない、という印象です。 ジクアスはその薬理作用上、目の細胞からの水分とムチンという物質の分泌を促進しますので、点眼して「涙が出る」というのはある意味当然なのですが、どうやら「効きすぎる」患者様がいるようなんですね。 そういった患者様に関しては、点眼回数を絞る、従来型の点眼に戻す、などの対処をしていますが、これからも更に勉強を重ねてより精度の高いドライアイ治療を目指して行きたいと考えています。
2011.01.24
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さて、いよいよその発売が迫ってきたドライアイの大型新薬、ムコスタ点眼液ですが、先日ようやくサンプルを戴けたので実際に試してみました。 ユニットドーズ製剤と言って、使いきりタイプの点眼剤です。早速開けてみましょう! おぉ、白色の濁り液です。うーん、これは溶けにくくてお薬の成分を目薬に仕上げるのに苦労したでしょうね。。。大塚製薬の開発者の方、お疲れ様でした。では早速点眼してみます。大型新薬ですので、院長の私はもちろんスタッフの皆も挑戦してくれました。その感想は、、、、 点眼した後、1分くらい目がかすんで見えない。 鼻から口にかけてかなりの苦味が来る。 あたりの、ネガティブな意見が最初に多く出ました。 添付文書にも苦味が多いということは書いてありましたし、ホリエモンではないですが、まあ「想定の範囲内」ですね。(笑) ただ、点眼後しばらく経つと、 なんだか目がスッキリした。 目がしっとりと潤ってきた。 目が暖かい感じで調子が良くなった。 など、やはりムコスタ点眼液のパワーを実感させるポジティブな感想が多く出ました。ムコスタ点眼液は、対照薬となった参天製薬の歴史的名薬の0.1%ヒアレイン点眼液に対して有意差を持ってドライアイ症状を改善するというデータが出ていますし、やはり力はありますね。 私の個人的な感想を言うと、「点眼直後のかすみや苦味は確かに弱点だが、それを上回る効果は間違いなくある! 少なくとも重症のドライアイに苦しむ患者様はトライする価値のある目薬である。」というものでした。 またこのムコスタ点眼液は、先行して発売されている同じ「ムチン産生促進薬」のジクアス点眼液とは作用の仕方が違うとの事なんですね。 添付文書には色々と難しいことが書いてあるのですが、ムコスタ点眼液が実際にどういう理屈で効くのかはまだ分かっていないとの事です。 ただ、ムコスタはジクアスの作用点であるP2Y2受容体には影響を及ぼさないことは分かっており、もしかすると、ジクアス点眼液とこのムコスタ点眼液を併用すると1+1=2のように、ドライアイにもっと効くのではないか?という期待も膨らんでしまいます。 いずれにしても、近い将来のムコスタ点眼液の登場が本当に待ち遠しいですね。
2011.11.09
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黒目と白目の境目がどんどん白くなってきたのですが大丈夫ですか? と言う質問を患者様から受けることが良くあります。そうですね、大体1ヶ月に数回は聞かれます。今日はこの問題について考えて見ましょう。 まず結論から言うと、これは 老人環(ろうじんかん senile ring) というものです。「お年のせい」ということですね。加齢によって脂質が沈着して黒目の周りが白っぽくなったものですが、通常は視力低下に繋がったりはしないので気にしなくて大丈夫です。 それではこの老人環が一体どのようなものなのかを具体的に一緒に見ておきましょう。 上の写真で水色の矢印で示したのが老人環です。ちょっと分かりにくいので色を塗ってみましょう。 緑色に塗った所が老人環です。黒目(角膜)の隅っこなので視力などには影響はないので心配しなくてもいいんですね。 そしてこの老人環、70歳以上だと大体80%くらいの方に存在します。なので、 目の白髪 くらいに思って頂いて良いと思いますね。
2016.06.21
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学校の視力検査で近視が進行して引っ掛かり眼科を受診されるお子様はたくさんいます。お父さん・お母さん方は「ウチの子の近視が進んでメガネをかけさせるのは絶対イヤ!」と思われる場合も多く、「近視が治る目薬ってないんですか?」という上記の質問を受けることが非常に良くあります。 結論から先に言うと、「近視の治る目薬はあるような、ないような感じです。」という謎掛けのようなお話になります。今日はその「近視の治る目薬」のお話をしてみましょう。 昔の言葉で言う「学校近視」、今の言葉で言うと「仮性近視」、「偽近視」と呼ばれるものがあります。イメージ的には「近視が進行してきているけどまだ固まりきっていない状態」とでも言えるでしょうか。 医学的にはこの「仮性近視」については、 1. そもそもそのような病態が存在するかはっきりと分からない。 2. 仮性近視は存在するかもしれないが、治療可能なものは数少ない。 3. 仮性近視の治療には一定の効果が認められるものがあるのは事実だが、治療を中断すると元の近視に戻ってしまうことが多いので、結局はあまり意味が無い。 あたりがコンセンサスかと思います。まとめると、「平均的には我々眼科専門医は仮性近視の治療は根本的にはあまり意味が無いと考えている。ただし治療中には一定の効果をあげる可能性のある目薬というのは実際に存在し、また近視のお子様を持つご両親の希望が強い場合には処方する場合もある」くらいの感覚なのです。 それでは実際に、その「仮性近視」の治療ではどのような目薬を使うのでしょうか? それには、、、、、 この「ミドリンM」と「ミオピン」という2種類の目薬を使用します。我々の業界ではこれを略して「MM療法」と呼んでいます。 ミドリンMは、目のピントを合わせる筋肉である毛様筋(もうようきん)の緊張を和らげてリラックスさせ、仮性近視を戻らせる作用があります。ただし散瞳(さんどう)といって瞳を開く効果が同時にあり、昼間に使用すると日常生活に支障が出るため通常夜寝る前に1回使用します。 ミオピンは1日に4回使用します。この目薬は目の毛様筋(もうようきん)の反応を良くし、また目の疲労回復作用を持つことから、毛様筋が昼間に緊張状態に戻るのを妨げる作用があると考えられています。そのため、ミオピンはミドリンMのすき間を埋める役割をするので、ミドリンM単独療法よりも併用療法の方がより効果があるとされています。 実際、このMM療法の有効性を報告した文献も古いものですが存在しています。 また、このミドリンMもミオピンも歴史のある薬剤であり、長年の経験から安全性が非常に高いことも証明されています。 ここまで読んで頂くととっても効きそうな感じのするこのMM療法なのですが、実際に患者様に処方してみると「点眼中は少し近視が改善することもあるが、それで近視が実際に治るかと言われるとなかなか厳しい」といったところです。 近視が治る目薬が開発されたら私も眼科専門医として本当に嬉しいのですが、現状ではこのMM療法以外に「近視に効く」と言われている目薬はありません。でも医学の進歩と言うのはとにかく早いので、いつの日かそんな夢の目薬が開発されるかもしれないですね。
2010.10.29
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さて昼ごはんを食べ終わった私ですが、松山へ戻る飛行機は最終便を予約しているためまだ時間がたっぷりあります。そこで街をブラブラ散歩していると、 良さそうな中古CD屋さんを偶然見つけました。思わず中に吸い込まれて数枚のCDを買います。私は1970年代~現在までのソウル、R&Bなどのブラックミュージックを中心に約4000枚のCDを収集しており、中古レコード屋さんが大好物なのです。そのため眼科医を引退したら私も中古CD屋さんになる予定です。ただ、もちろん地元の八幡浜地域の皆様に必要とされる限りはまだまだ眼科医として頑張りますが。(笑) さて小雨の振る中、街の探検を続けていると、 全身ブラックのクールでお洒落なビルを発見します。良く見ると都会で大人気と聞くファッションブランド、「アバクロ」のお店です。私も早速潜入します。 店内に一歩足を踏み入れると、大音量の音楽、落とした照明、立ち込める香水の香り、まるでナイトクラブそのものの空間が広がっています。入り口には何故か上半身裸のマッチョマンのイケメンがいて、ポラロイドで一緒に記念写真まで撮ってくれます。 「うーん、これは新しい。でも、店が薄暗くて商品を選びにくいし、眼精疲労(がんせいひろう)になりそうだな。」と思いながらも、せっかく来たので何点かの商品を買い求めます。 お店を出た後で、「あっ、この店は商品ではなく、哲学を、そしてブランドそのものを売っているんだな」と気付きました。そして、「医者の世界も一緒だな。絶え間ない努力と全国レベルの医療水準を前提として、そこに自分のクリニックならではの考え方を反映させていかなくてはいけないんだな」と感じました。(続く)
2011.07.25
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3月26日のこの日記でもお知らせしたように、いよいよ次世代型1日使い捨てソフトコンタクトレンズのワンデーアキュビュー・トゥルーアイが、 明日、4月27日に発売となります。 このトゥルーアイどこが凄いのか、復習になりますが、 酸素透過性に極めて優れた素材である、シリコーンハイドロゲルを世界で初めて1日使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズに採用したのが凄いのです。これはアメリカのジョンソン&ジョンソン社の製品なのですが、日本のメーカーはまだちょっと追いつけずにいます。国産メーカーにも奮起して欲しいですね。 さて発売前日となる今日は、当院及びコンタクト販売を手掛ける(株)えどおかコンタクト宛てに、ポスター、試用レンズセット、初期在庫セットが大量に届きました。 なかなか可愛いポスターですね。 凄い量のトライアルレンズ&初期在庫ですが、スタッフが頑張って整理してくれました。感謝。 皆様にも、この新世代コンタクトレンズを是非体感して戴きたいと考えています。次回のコンタクト処方で御来院の際には、良かったらチャレンジしてみてくださいね。
2010.04.26
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2種類以上の目薬を処方させて頂いている患者様から、「どうして点眼間隔を5分あけないといけないの? そんなのめんどくさいから、連ちゃんでちゃっちゃかちゃっちゃか点してるけどなにか悪いことでもあるの?」という質問を良く戴きます。 この質問の前提として、まず私は眼科専門医として「できるだけ処方する目薬の種類を減らす」ことを心がけています。出来れば絶対に必要な1種類だけ、ダメなら2種類、それで無理なら1増1減でやっぱり2種類、それでもどうしても無理ならやむを得ず3種類、そのあたりが限界だと思っています。患者様は目薬を点眼するためだけに日々を生活しているわけではないですし、点眼の種類が増えるとどうしても確実にさせなくなるからです。 さて最初の質問の話に戻りますが、点眼間隔を5分空けなくてはならない理由は、「先にさした目薬が後からさした目薬で洗い流されてしまって効かなくなるから」です。 上の図を見ると分かるように、もしも1分間隔で目薬を点すと最初に点した方は60%くらいしか効かない、というデータがあります。 専門的に言うと、目薬の目の表面(結膜嚢:けつまくのう)からの消失時間は一般的に2分と言われています。なので点眼間隔は最低2分空ければまあ大丈夫なのですが、目薬同士の相互作用を防ぐために、念のために「5分」というお願いを我々眼科専門医はしているわけです。(一部の緑内障薬では10分以上の点眼間隔が必要なものもあります。) なので、2種類以上の目薬を同時に使用するときは「最低2分、できれば5分」と覚えて置いてくださいね。
2011.05.15
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さて、「日本発、世界初」の2つのドライアイ新薬、ジクアス点眼液とムコスタ点眼液が発売されて1年以上が経過しました。 この2剤にはそれぞれに従来型のドライアイ治療薬であるヒアルロン酸ナトリウム(代表は参天製薬のヒアレイン点眼液)を間違いなく超える長所があるわけですが、なかでも大塚製薬が社運を賭けて開発した「ムコスタ点眼液」の出来の良さ・薬効の高さは際立っています。 ところがクスリの出来の良さとは裏腹に売上はズタボロに低迷し、大塚製薬の担当MRの方々はプレッシャーから自社のベストセラー胃薬の「ムコスタ錠」を片時も手放せない、青息吐息の日々であるとの噂も聞いています。(笑) 今日からシリーズで、この「ムコスタ点眼液」の素晴らしさ、そしてそれなのにどうしてこんなに売れないのかについて、様々な角度から考えてみたいと思います。 ムコスタ点眼液の悲劇、その最大の理由は「発売が遅れたこと」でした。ムコスタは後でも書きますが元々は胃薬でした。ところが大塚製薬はその成分を溶かして目薬に仕立て上げるのに苦しみ抜き、実際の発売は遅れに遅れました。それは一部で、 「出る出る詐欺」 とまで言われるほどでした。 そしてムコスタ点眼液の発売が遅れる一方で、ライバルの参天製薬からは、 世界初のP2Y2受容体作動薬で、目の水分分泌・ムチン分泌を促進する、ジクアス点眼液が先行して発売されました。 このジクアス点眼液は、それまでのドライアイの標準治療薬であったヒアレイン点眼液を確実に着実に上回る薬効を持っており、この分野では待ちに待たれていた15年ぶりの大型新薬だったこともあって、あっという間にベストセラーとなりました。 また製造販売元の参天製薬は「眼科一筋」の製薬会社で、眼科分野では日本でナンバーワンの製薬会社であり、MR(医薬品の情報を医師に伝える営業マン)さんの数が多くて宣伝体勢が充実していたこともそれを後押しする形となりました。 つまりムコスタ点眼液は、発売前から強力なライバルに圧倒的に先行されるという過酷な状況にあったわけです。しかし、ムコスタ点眼液の悲劇はこれだけに留まりませんでした。(続く)
2013.03.07
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先日のことですが、「飼い犬が急に前足を出してきて、爪が左目に入った。ごろごろして痛い」という訴えで患者様が来院されました。早速目を拝見すると、 白目(結膜)が切れて、犬の爪の跡もくっきりとついています。症状としては軽く大したことはなかったのですが、患者様は「グラちゃん(仮名)は普段はとってもいい子なのに、どうして急にこんなことをしたのかしら?」と大変ショックを受けておられます。 私は「でもまあ、怪我したのが黒目(角膜)じゃなくて不幸中の幸いでしたよ。」と慰めて、「せっかく来て頂いたので目の奥(視神経や網膜)もついでに診せて頂きましょう」と拝見すると、 パッと見ただけで両目とも目の神経が減っており、緑内障が非常に疑わしい状態です。 精密検査で視神経の周りの神経繊維層を分析してみると、 やはり両目とも神経の量が減っています。(上記の写真の赤色で示された部分) 視野検査上でも、 やはり両目ともすでに視野が欠けています。でもラッキーなことにまだ緑内障としては初期でした。今から治療を開始すれば失明まで至ることはまずありません。 ただこのくらい初期の緑内障だと、自分自身で気づくことはまずありません。今回は愛犬のグラちゃんのおかげで偶然眼科に来てそれで緑内障を初期で発見することが出来たのでした。 私が患者様に「グラちゃんは、もしかしたら不思議なパワーで飼い主の目のピンチを知らせてくれたのかもしれないですよ。忠犬グラちゃんですね。」と説明すると、患者様も「はい、うちの犬は本当に最高の子なので絶対そうだと思います。」と大喜びで帰宅されました。きっとグラちゃんは御馳走を貰えただろうと思っています。
2010.07.06
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さて、「目の周りに塗るだけでそれがじわじわ滲みて目の中のかゆみが取れる」という魔法のような世界初の機序を持った、アレジオン眼瞼クリーム。 こちらが実際の製剤になります。 ノズルがめちゃ細いです。目の周りにちょっとだけ塗るものなので、あまりクリームが多く出過ぎないようにと言う配慮だと思います。日本ナンバーワンの眼科薬メーカーの参天製薬のお薬と言うのは、使いやすいようにいつも隅々まで細やかな配慮がされているんですね。 院長が寝る前に塗ってみました。実際にアレルギー持ちなのですが、次の日の朝の目のかゆみが明らかに少なくなっていました。これはやはり効能が期待できそうです。 このアレジオン眼瞼クリーム、専門的に言うと、瞼(まぶた)の皮膚を通過して目の玉(眼球)と白目(結膜)に届いてかゆみを取ってくれると言うものです。 ただこれを実際に製品化するには極めて高度な製剤技術が必要で、「薬を溶かす技術が世界一」の参天製薬だからこそ実現できた薬だろうと思います。おそらく他の後発メーカーには至難だろうと思いますし、参天製薬のレベルの高さに眼科専門医として改めて感嘆しました。 今のところ、発売は5月下旬と噂されています。実際に世に出る日が楽しみですね。
2024.05.14
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さて学会場に入ります。 気分が高まりますね。 学会場に着いたら、まず最初にコングレスバッグを貰います。 これは学会場で資料を入れるためのバッグですが、学会終了後はそのままエコバックにもなる優れものです。今回は上記の4つからの選択でしたが、 私はこの水色と白のストライプが綺麗なバックを選びました。 さて次はランチョンセミナー(お昼にお弁当を食べながら勉強できる一石二鳥のお得なセミナー)の整理券取りです。これは急がないと行きたいセミナーに入れなかったり、ひどい時は全て売り切れでお昼御飯そのものにあぶれてしまう事もあるのでとっても大切なのです。 今回は十分間に合いました。 さて、学会の日程表を良く見て一日の行動を考え、いよいよ勉強開始です。(続く)
2012.02.07
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さて来たる6月11日に、全国の患者様からその登場が熱望されていた緑内障新薬のコソプト配合点眼液がいよいよ日本でも発売となります。 このコソプト配合点眼液は、房水の産生を抑制する「β遮断剤」のチモロールと「炭酸脱水酵素阻害剤」のドルゾラミドの2種類のお薬が1瓶に入ったものです。 薬の承認に関しては世界一厳しいと言われるアメリカFDAで唯一承認されている配合点眼液であり、その売上高は緑内障薬の中ではPG製剤のラタノプロストに次いで世界2位のベストセラー薬です。その効果はまさに「折り紙付き」、この名薬をついに日本でも使用できることを、私は緑内障治療医として本当に嬉しく思っています。 サンプルを戴いたので、早速当院のスタッフがチャレンジしてくれました。まずはきみちゃんから。 眼圧は16.0から11.7へと下降しています。 次はゴンちゃんです。 眼圧は15.0から11.3に下がっています。2人とも良く効いていますね。 このコソプト発売日には、同時に以前紹介した「デュオトラバ配合点眼液」も発売となります。新薬の登場スピードに負けないように私自身も勉強を重ね、ひとりひとりの緑内障患者様それぞれの状態にぴったりと合った、オーダーメード感覚のベストの緑内障治療を提供できるように努力していきたいと思っています。
2010.06.05
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しばらく前のことですが、「子供のめやにと充血がひどい。」との訴えで、女の赤ちゃんを連れた若いお母さんが受診されました。 目を診せて頂くと、確かにひどく充血し目やにもびっしりと付いています。ところが目を良く観察していると、まつげがチリチリでほとんどありません。 「あれ? お母さん、まつげ、どうかされましたか?」 と質問すると、 「はい、まつげを短く切っておくと、毛根の生命力が刺激されて大きくなった頃にまつげがフサフサの美人になると聞いたので、全部私が切りました。」 とのことでした。 まつげは、目の中にゴミなどの異物が入らないようにするために生えており、とても大切なものです。この赤ちゃんはまつげを切られてしまったので、それで目が剥き出しになり炎症を起こしてしまったのです。 赤ちゃんの時にまつげを切ると将来フサフサになる、かどうかは検証した論文もなく真実は分かりませんが、目の健康のためには間違いなく良くないことですし、またどうしても将来まつげフサフサになりたければ、 ↑ このような「プロスタグランジン関連薬」という系統の緑内障用の目薬をまつげの付け根に塗れば、驚くほどあっという間にフサフサに出来ます。それはこれらの薬に「増毛」の作用があるからです。(ただし、美容薬として保険診療機関で処方することは出来ません。一般に美容外科や美容皮膚科での自費での購入となります。) まつげは大切な役割があるからこそ生えているのです。ですので、皆様も安易にまつげを抜いたり切ったりしないようにして下さいね。
2013.07.06
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さて2012年の発売以来ドライアイ治療で大きな役割を果たし続けてきた名薬 ムコスタ点眼液 。 このお薬は元々は胃薬でそれを目薬に仕立てたものなのですが、なかなか溶けない・成分が安定しないという欠点があったようで、開発元の大塚製薬は製剤化に苦しみ抜いていました。そもそもは2010年位に発売予定だった記憶があるのですが、それがどんどんと延期され我々眼科業界の一部では「出る出る詐欺」とまで言われるくらいのお待たせ状況でした。(笑) そうしてようやく2012年に発売となったのですが、普通の点眼瓶(マルチドーズ製剤)で出すことが出来ず、1回きりの使い捨てタイプ(ユニットドーズ製剤)での登場となりました。 このタイプの製剤は毎日使うにはやや不便があるので、当然大塚製薬は製剤をより安定させて普通の点眼瓶タイプでの発売を目指していると2012年からずっと聞いていました。そして我々臨床の第一線に立つ眼科専門医もそれに強く期待していました。 ただ、時が流れても一向に実現せず、複数の情報源によると「チャレンジを続けているが、技術的に極めて困難で難しい。」とのことで、私は「あぁ、これはもう無理なんだろうな。」と半ば諦めていました。。。。 そんな中、今回不意に登場した参天製薬からの後発品(ジェネリック)は、何と平然と普通の点眼瓶タイプとして我々の前にその姿を現しました。! 日本有数の製薬会社である大塚製薬が、「恋焦がれ全力を尽くし10年の歳月をかけても達成できなかった幻の姿」で忽然(こつぜん)と出てきたのです。 中身が白濁液なのは先発品のムコスタ点眼液と一緒ですが、 粒子がより細かくなっているのかな?、点眼後の霧視(むし:霧がかかったようにぼやけて見える症状)がより軽くなっているようにも個人的には思いました。 眼科専門メーカーである参天製薬は元々、「薬を溶かして目薬に仕立て上げる能力」が世界一 と言われています。今回の「レバミピド懸濁性点眼液2%参天」の登場は、その技術力の異次元の高さと巧みさを改めてはっきりと満天下に示す象徴的な事例となりました。 ちなみにここで一言補足しておくと、これは大塚製薬の技術力が低いという事では全くありません。大塚製薬は抗精神病薬「レキサルティ」などでは世界トップクラスの戦闘力を誇る、日本を代表する製薬メーカーだからです。そうではなく、眼科専業で命を賭して日々目薬作りに邁進している参天製薬があまりにも特異的に凄い、というだけのことです。(笑) ま、いずれにせよ、秋になればこの待望の「参天版ムコスタ点眼液」が市場に登場してきます。実際に点眼した感触も非常にいいですし、眼科専門医としての私の直感では馬鹿売れしそうな気がします。実際の発売が今から楽しみですね。♪
2023.07.14
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義眼の方の目の中はどうなっているんですか? と言う質問を患者様から頂きました。 義眼は怪我や病気などで眼球を摘出せざるを得なかったり眼球の中身を取る手術をした場合に、 眼球があるように見せるために入れる扁平な楕円形のもの で合成樹脂で作られています。ほとんどは反対側の元気な目に合わせて色や形を整えて1つ1つオーダーメイドで作ります。 それでは実際に見てみましょう。 非常に綺麗に義眼が入っていますね。 これを外すと、、、、、 中は空洞 になっています。この空洞(結膜嚢:けつまくのう)の状態に合わせて1人1人の患者様にぴったりの義眼を作っているので、パッと見では義眼と分からないことも多いくらいなんですね。
2016.07.15
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さて先日に続いて今日は、最近の私の白内障手術の進化・改善点についてお話してみたいと思います。 白内障手術では水晶体の前面の膜、前嚢(ぜんのう)を丸くめくるCCCという手技が極めて重要であることは前回の日記でも書きましたが、白内障が進行していると視認性低下のために非常に困難な場合があります。 そういった時には前嚢を染めて見えやすくして手術を行うのですが、数ヶ月前までの私はICG(インドシアニングリーン)という緑色の薬剤を使用していました。ただこのICGは溶解液が作成しにくい、染まりがやや悪いなどの欠点がありました。 そのため、当院では2月から「トリパンブルー染色」という新しい染色法を導入しました。 このトリパンブルー染色液は従来のICG染色液に較べて溶解液が作成しやすく、かつ前嚢が良く染まります。具体的に見てみましょう。 薄い水色に前嚢が綺麗に染まっていますね。上の図のハート型に切れているのがCCCという手技になります。このCCCの後、水晶体の中身を吸い取って行くんですね。 このように当院では常により安全な手術を目指して努力を続けています。もちろんこれからも更に術式を洗練させて、八幡浜地域の皆様の目の健康づくりのお役に立ちたいと考えています。
2010.04.23
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さて2010年12月の発売以来、今や日本人の国民病とまで言われる「ドライアイ」の治療を革命的に進歩させた参天製薬の名薬、ジクアス点眼液。 このジクアス点眼液は従来型のヒアルロン酸の点眼薬(商品名で言うとヒアレインやティアバランス)よりも明らかに効果が強い、目の表面の傷を改善する力が高い、ドライアイ分野では15年振りの待望の大型新薬だったわけですが、発売後の売上高の順調な伸長(現在年間75億円)がジクアスが非凡なお薬であったことを明白に証明しています。 ところで ジクアス はその薬理作用上、目の細胞からの水分とムチンという物質の分泌を促進するので、点眼後に目を潤す効果が強いお薬です。そのため多くの方が苦しんでいる [ソフトコンタクトレンズ装用中の目の渇き] に抜群な効果を発揮する のですが、残念ながら今まではソフトコンタクトレンズの上からは「原則として」点眼することが出来ませんでした。 それはジクアスが防腐剤としてベンザルコニウム塩化物というものを使用していたからです。このベンザルコニウム塩化物(我々の業界では「塩ベコ(えんべこ)」と略す)は非常に防腐剤としての効力が強い反面、角膜(くろめ)の表面を荒らしたり、ソフトコンタクトレンズを劣化させたりするという副作用があったのです。ただこの塩ベコを使わずに目薬を作るのには非常に高い技術力と費用が必要なので、特に安いジェネリック医薬品には大量で高濃度の塩ベコがべっとりと含まれているのが実情です。 さて今回ジクアス点眼液は製品改良により、 この悪の元凶である「塩ベコ」を取り除くことに成功 しました。 それによって、 ソフトコンタクトレンズの上からも安全に点眼が出来るようになりました。 ジクアス×ソフトコンタクトレンズのコラボレーションは非常に目が潤いますので、コンタクトレンズ使用中のドライアイ患者様にとっての大きな福音と思います。 素晴らしい製品改良 ですね。 我々眼科専門医が世界トップレベルの眼科医療を提供できているのは、この参天製薬に代表される日本の点眼薬メーカーの高い技術力に負うところが大きい のです。本当に感謝・感謝ですね。
2015.12.21
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2012年5月、今から6年前にひっそりと静かに日本国内発売となった緑内障・高眼圧症治療薬のアイファガン点眼液。 このアイファガンは、元々アメリカでは「アルファガンP」という名前であり、1996年の発売以来売上高世界上位のベストセラー薬であり続けている名薬でした。 少し復習をしておくと、この目薬(一般名 ブリモニジン)は「アドレナリンα2作動薬」といって、目の中を流れる房水(ぼうすい)の産生を抑制しつつ流出を促進するという、2つの作用機序を持つ非常に優れた薬剤です。先行して発売されたアメリカではずっと緑内障点眼薬売上ランキングの上位を維持し続けてきたベストセラーであり、我々日本の眼科専門医にとっても長年「喉から手が出るほど」使いたい、欲しいお薬でした。 ただ残念ながらその認可は遅々として進まず、なんと「アメリカから16年遅れ!」でようやく発売となったという、その「ドラッグラグ(海外で使われているくすりが、日本で承認されて使えるようになるまでの時間の差のこと)」の大きさでも話題となりました。 そしてこの2012年にようやく発売となったアイファガンなのですが、 なんと発売から6年が経過した今年2018年になって、多くの屈強な薬剤がひしめき合い、しのぎを削っている緑内障点眼薬の中で、なんと売上1位となった のです。 これはとてつもなく凄いことです。それがどうしてなのかを説明しましょう。1. 現在の緑内障治療においてはいわゆる「標準治療」≒ガイドラインが存在している。そしてその中では、第一選択薬としてプロスタグランジン関連薬(キサラタン、タプロス、トラバタンズなど)を使うことが推奨されており、 アイファガンは「最初に処方されるお薬」ではない。 2. また同時に保険診療上の縛りもあり、アイファガンは「ファーストライン(疾患に対して効果があるとされる複数の治療薬のうち、最初に投与すべきと考えられる治療薬)」として使うことは出来ない。あくまで「セカンドライン」以降の薬と言う位置づけとなっている。つまり、「大きくは売れないことを元々宿命づけられた薬」である。3. 更に悪いことに、発売元の千寿製薬は失礼ながら弱小メーカー(2018年3月期の売上高は379億円。これは製薬メーカーとしてはかなり少ない。)であり、薬の宣伝をする営業マン(MRさん)の数も広告のための予算も非常に少ない。なので「鼻薬を嗅がされた、緑内障学会のとてもエライ先生」が一般眼科医に薬を使うように「啓蒙」し、「応援」してくれることもほぼない。 つまり、 アイファガンが売れたのは、広告や宣伝の力ではなく、薬に本当の実力、「突出したガチンコ力」があったから なのです。でも同時に、千寿製薬には十分なプロモーションのためのお金がありませんでした。なので、アイファガンの良さは静かに口コミレベルで医療現場にじわじわと浸透するしかなかった。その為、2012年の発売からランキング1位となるまでに6年もかかったのです。 そして、資金力のある大手メーカーによる「パワープレイ」が支配的な製薬業界において、発売後6年が経過し更に弱小メーカーからの販売となったお薬が売上ナンバーワンとなるなどということは、医学界の常識では通常ではあり得ない、凄いことなのです。 それでは次回は、なぜアイファガンは数々の不利を乗り越えて売上ナンバーワンとなることが出来たのか? アイファガンのどこがそんなに優れているのか? その、 アイファガンの秘密 に迫っていきましょう。(続く)
2018.05.22
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さて日本人では40歳以上の20人に1人(5%)、70歳以上では7人に1人(14%)の有病率ということで、非常にありふれた病気であると同時に、「失明に直結する!」という「とても怖いイメージ」があるために、多くの方から「恐れられている」病気である緑内障。 当ブログでもこれまでに様々な角度から取り上げてきましたが、この緑内障は「超慢性疾患」で進行がとてもゆっくりな病気なので、実際には発病から失明に至るまでには30年以上という時間的な猶予が与えられた、真面目に治療に取り組む患者様にとってはある意味で「優しい病気」でもあります。 そして治療の基本は、眼圧を下げるための点眼治療です。何故かというと、眼圧を下げることによって緑内障の進行を遅らせて目の健康寿命を延ばすことが出来ることは、既に質の高い多くの論文から明らかになっているからです。治療法としては他に手術も色々とありますが、結局はどれも眼圧を下げるためだけの物なので、目薬の治療だけで病気がコントロールできるのであればそれに越したことはありません。何も好き好んで痛い思いをする必要はないですからね。 そして実際全国にはとてもたくさんの緑内障点眼薬を使用していらっしゃる患者様がいます。緑内障は決して「良くなる」ことはない病気なので、世界最高レベルの高齢化がこれからも類を見ないスピードで進展するここ日本では緑内障患者様の数はこれからも増える一方です。もしかすると、このブログに辿り着いた方の中には既に緑内障の治療中の患者様もいるかもしれませんね。 そこで今日はこれまでと視点を変えて、緑内障点眼薬の世界を広く見渡してみることにしましょう。これはとても大切な視点です。何故かというと、この数年緑内障の分野では新薬ラッシュが続き、使えるお薬が爆発的に増え、その結果として以前とは比べ物にならないくらいに処方パターンが増えているからです。 それではまずはその全体像をお示ししましょう。 す、すごい量ですね。20年前には「僅かに数種類」しかなかった緑内障点眼薬は、いつの間にかこのような「爆発的な進化」を遂げているのです。そして私達眼科専門医は、これらの全てのお薬の長所・短所・有効な組合せ方を学び続けながら、毎日の診療に当たっているんですね。(続く)
2019.03.09
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さて数か月前に新規導入した新型白内障手術装置、センチュリオンですが、日本アルコン社の担当の方と相談しながら、セッティングを煮詰めてきました。 私はすべての手術を「自分の両親の目の手術をするような気持ちで、とにかく丁寧に確実に施行する。」と決意しています。そのためマシンセッティングは時間短縮&効率重視ではなく、若干効率が悪くても合併症を起こさないことを最優先したマイルドなところを目指しました。 ただそうは言っても、早い手術=患者様の負担の少ない手術という側面もあるので、安全性を担保できる範囲内での効率化も同時に追求しました。 そして試行錯誤の末、「まずまずだな。これでイケるな。」というところに到達できたと考えています。 以下は現時点でのセッティングの画面です。ちょっと眼科専門医向けのマニアックな内容になりますが、自分用のメモも兼ねて貼っておきます。 私はCCC(水晶体の前嚢というところを丸く切除する手技。手術で一番重要なところ)の時に安全性最優先のためにヒーロンVという目の中の空間保持力が一番強い粘弾性物質を使って行っています。そのためUS(水晶体の中身を超音波で削る手技)の前に、内圧を下げるためにヒーロンVを一部抜かなくてはなりません。ただセンチュリオンは以前使っていたインフィニティに較べてtipの内径が小さいため、詰まってしまうことが多発しました。そこで細かく何度も設定を変えて、結局吸引の立ち上がりを300mmHgからと高めにし、更にトーショナルという超音波の横振動を10%入れることによって、問題はほぼ解決しました。 USは全例「ディバイト&コンカー」というこれまた安全性最優先のやり方で、核の2分割後の設定がこちら。自分は前房(手術時の目の中の作業スペース)がしっかりと保たれているのが好きで、それでボトル高は高め。そして吸引圧と流量は低め。核の寄ってくるのがマイルドで若干物足りないが、合併症防止のためにはそのくらいでいいと思っている。 最後のI/A(水晶体核を処理した後の、残った皮質を取る手技)はこちら。これもマイルドな設定。それにしても本当にセンチュリオンのI/Aは優れている。安心感が半端無い。まだ旧機種のインフィニティーを使っている先生はこのI/A目的だけで即買い替えて良いレベル。
2021.09.08
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今年は既に5月の終わりに植木の剪定を一度してもらって、 すっきりと整ったクリニック外観になっていたのですが、夏の異常な暑さのせいなのでしょうか、その後オリーブ・ツタが凄い勢いで伸び続けるので、本日またもや植木の剪定をして頂きました。 ↑ オリーブが伸びすぎてワサワサです。実は患者様からも「初めて来たのだが、植木が伸びすぎていて、国道から看板が見えなくて何度もウロウロするハメになってしまった」との苦情を戴いており、それもあって今回の剪定となりました。それにしても良く伸びましたね。 ↑ 良く見るとツタが外壁の焼き杉の中にめり込みながら伸びています。凄い生命力ですね。 3名の造園のプロが手際よく仕上げてくれました。 横平農園様、有難う御座いました。次回もまたよろしくお願いいたします。
2010.10.23
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眼科の世界というのは極めて進化が早く、手術方法にしても検査機械にしても常に少しずつ改良されどんどん良くなっていっています。 今日はそんな中、カールツァイス社というところの「IOLマスター」という、白内障の手術前検査で使う新型の機械(眼の長さを計る機械)をデモで借りることができました。これから2週間だけですが実際に使用していきます。 カールツァイスの担当者の方に来て戴いて、使い方の説明を受けています。とってもわかりやすい説明でした。有難う御座います。 実際に使用した感じでは、従来の機械よりも精度高くかつスピーディに計測できる感じです。 かなり高価なので実際にこの機械を当院で購入できるかは分かりませんが、今後とも必要な設備投資は欠かさず、常に最新鋭の検査機械を揃えて皆様の御来院をお待ちしております。
2009.09.17
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私が専門としている白内障手術、当然機械を使ってやっているわけですが、 私はこのCV-7000という機械を使っています。製造しているのはニデック社というところで愛知県に本社のある国産メーカーです。 白内障手術の機械ではアルコン社、AMO社などの外国の会社の製品も人気があります。技術的に先端を行っているのはこれらの外国製の機械かもしれないのですが、 1.日本製の機械は耐久力があり故障が少ない。 2.外国製の機械を含めて色々な機械を使ってみた上で、自分にはこのニデック社の製品が良く合っていた。 という理由で、私はこのCV-7000という機械を愛用しています。開業後1年手術機械のトラブルは全くありませんでしたが、今日はニデック社の技術の方に来て頂いて「1年点検&メンテナンス」をして貰いました。 全く異常はなかったとのことで一安心です。また今後も半年毎にメンテナンスをして貰い、常に機械を万全の状態に保って白内障手術を行っていきたいと考えています。
2009.06.12
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この日記でも何度か取り上げている期待の緑内障の新薬、ザラカム配合点眼液ですが、ようやくサンプルを戴けました。 黄色いキャップで可愛い点眼瓶ですね。さて、さし心地はどうか、効き目はどうか、気になりますね。そこで早速試してみました。まずは点眼します。 くー、しみる!! これはしみます。他の緑内障薬に較べてかなりきますね。まあ1日1回点眼で便利なのでこれは我慢するしかないか、、、 さて、効き目のほうはどうだったでしょうか?今回は期待の大型新薬ということもあり、院長の私とスタッフ2名の合計3人がチャレンジです。 まずは私から、、、 眼圧15.5→11.0です。良く効いてますね。 次はスタッフのきみちゃんです。眼圧15.3→12.0です。まずまずですね。 最後は同じくスタッフのゴンちゃんです。 眼圧13.0→9.7でした。 ザラカム配合点眼液は4月発売予定です。実際の発売が楽しみですね。
2010.03.18
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さて学会の楽しみの一つはランチョンセミナーです。これは「お弁当を食べながら講演で勉強できる」一石二鳥の楽しい時間なのですが、この日のランチョンは、 緑内障管理のセミナーを選択しました。 上品なお弁当でとっても美味しかったです。というか、学会場で食べる御飯と言うのは「飛行機の機内食」みたいな感じでちょっとわくわくして常に旨いんですね。 肝心のセミナー内容ですが、視野検査機械使用時の注意点(30-2という通常のプログラム以外にたまに10-2という中心視野を調べるモードも入れないと、初期の緑内障そのものや緑内障の進行を見逃すことがある)や、検査結果の細かい見方を教えてくれるもので、非常に役立ちました。 あと、講師の女性の先生がゆっくりとした口調で分かりやすく話されていたのが非常に印象的でした。私は外来中忙しくなってくるとつい早口になってしまう悪い癖があるので、これから気をつけなくてはいけないな、と感じました。
2011.02.03
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「急に目が真っ赤になったので心配して来た」と来院される患者様が良くいらっしゃいます。その中で最も多いのが「結膜下出血」というもので、多くは特発性に出血した血液が結膜(白目)の下に溜まったものです。 見た目が派手なので皆様びっくりされますが、1~2週間で自然吸収されるため様子を見たので構いません。ただ出血量が多い時や繰り返す場合には目薬(軽い坑炎症剤)や内服薬(ビタミンCや血管強化剤)を使う場合もあります。 後、この結膜下出血は下向きの作業を連続でした後(細かい手仕事など)に出やすいです。出血した場合はしばらく下向きの作業を控えることも効果的と思います。
2009.04.28
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今日の日記は眼科専門医向けのやや特殊な内容となっております。ご了承下さい。 さて、この数年のことですが、前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)というおしっこの出方が悪くなる病気で、治療のためにα1遮断剤というお薬を飲んでいる患者様が激増しています。具体的には「ハルナール、フリバス、ユリーフ」などの商品名のものが多いのですが、これらが日本では現在なんと年間で8億個!も処方されています。 泌尿器科の先生にとってはありふれたお薬で、非常にカジュアルに気軽に処方されているのですが、これらの薬を飲んでいると白内障手術時に40%の確率でIFIS(アイフィス:術中虹彩緊張低下症候群)というやっかいな合併症を起こすことが知られています。 これは、お薬の影響で虹彩(茶目)がフニャフニャになってしまい、術中の水の流れでうねったり縮んだりして手術が難しくなることを言うのですが、その症状がシビアな場合には手術の安全性に関わることもあり、我々白内障手術専門医の大きな悩みの種となっています。 これはα1遮断剤が「瞳孔散大筋のブロック」を起こすからなのですが、α1受容体を選択的に活性化させる「フェニレフリン」という薬剤でこのIFISは予防できることが知られるようになってきました。ただし、そのためにはミニムスという使いきりタイプの点眼剤を個人輸入しないといけません。また、一般的な散瞳剤の「ミドリンP」にもフェニレフリンは入っていますが、原液でないと前房(目の中)内濃度が足りないし、そのミドリンPには防腐剤が入っているので原液使用は無理です。 ただ、身近なところで出来る範囲でもこのIFISを予防する手段は色々あります。今日はその対策を個人的メモ書きとしてまとめておきます。 1. そもそも白内障手術前に、α1遮断剤を飲んでいないかをしっかり確認する。割と「そういえば泌尿器科の先生に内服開始を勧められている」ということも多く、その場合は先に手術をさせて貰えば良い。また、現在α1遮断剤を内服中の場合、休薬してもIFIS発症は予防できないというデータが多いが、個人的な臨床体験からは「休薬すると少なくともパワフルなIFISはほとんどない」のも事実であり、症例の難易度によっては可能であれば一時的な休薬をお願いすることも魅力的なオプションだと思う。 2. 実際の手術に際して1番効果があるのはこれ。新品のネオシネジン点眼液(フェニレフリン)を1mlシリンジに吸っておいて、手術の洗眼後に結膜下注射しておく。その量は0.1mlくらい、感覚としては少し結膜が膨れるくらいで十分で、これでIFIS発症率を大幅に減少させることが出来る。 3. 散瞳不良症例はIFIS発症の可能性が高いので、必要に応じてBSS2.5mlにMP1滴入れてそれを前房内投与する。(ただし想定リターンがリスクを上回る場合のみ) 4. それでも無理で術中にパワフルなIFISを起こした場合には、前房形成能の高いヒーロンVを適宜使用する。(ただし個人的にはヒーロンVにはあまり過度な期待を抱かない方が良いと考えている) 以上です。これからもより安全で効果的なIFIS対策を追い求めて行きたいと考えています。
2011.09.25
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