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千菊丸2151 @ お久しぶりです。 仙人草さま、お久しぶりです。 イケ君…
mifess @ お元気ですか 2012/03/01 仙人草21さん >その後、記事の掲載が進…
仙人草21 @ こんばんは。    mifessさんへ お元気でお過ごし…
mifess @ お元気でいらっしゃいますか? 生活環境が種々変化してくると、言葉に出…
仙人草21 @ kyonkyonさん、こんにちは! いつも温かいコメント、ありがとうござい…

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俳ジャッ句      耀梨(ようり)さん
Nov 30, 2008
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ぼくもイケも、お互いに、ここにいることさえ忘れてしまっていた。

話すことも、考えることも。

息をしていることさえも。

そして、穏やかで、心地よい幸福感に満たされていることにも、気づかなかった。

 どれぐらい、そうしていたのだろう。

 ぼくは、徐々に自分を取り戻していた。充分な眠りから、覚めたような爽快感で。

深い海を彷徨ってきた花のことを、ぼくは思った。

伝説の花は、本物の花だった!

何百年に一度しか咲かない、誰も見たことのない花。



でも何故、ぼくたちが見られたのだろう!誰が、ぼくたちに見せてくれているのだろう!

ぼくは、花を見つめながら、考えていた。

 見せてくれたのは、もしかして父さん?・・・・。・・・。

違う。父さんでは、ないんだ!

ぼくは、そう思い始めていた。

父さんに、何かをしてもらおうなんて、間違ってるんだ。いつも、ぼくは何かを期待して待っ

ていた気がする。父さんは、ぼくに、何かをしてくれることなんて、もうできないんだ。

助けてくれることも、救ってくれることも。

ただ、手の届かない所から見守ってくれることしか。

でも、ぼくには父さんにできることが一つだけある。それは、父さんを安心させることだ。

父さん、ぼくは、もう大丈夫だからね。だから、安心してね。



さようなら。

 この不思議な花に巡りあえたのは、誰かがそうしてくれたからじゃないのかもしれない。

ぼくが、ぼくだから、だ!

イケが、イケだから、なんだ!

だから、見られたんだ。



ちは生きていたからかもしれない。

生きているから、見られたんだ!

 花は、かがやくように白かった。二つの花は、掛け替えのない友だちのようだった。

大きさは、ぼくが一人乗れそうなぐらいあった!

花全体が、角が丸くなった星の形をしていた。

花の真ん中には、ぼくの手のひらより大きい、透明なボールのようなものがついていた。ボー

ルの中には、たくさんのしべが、楽しそうにひしめいていた。一本一本が、茶色、灰色、緋

色、紫色、朱色、墨色、深緑色、黄緑色などで、数え切れないほどだった。

離れてみると全体が、クロユリのような色をしていた!波で、揺れるたびに、その色は濃くな

ったり、薄くなったりした。

花の縁は、金の絹糸で丁寧に縫われてでもいるようだった。しべの中央からも、花の五つの先

端に向かって、もっと細い金の絹糸が葉脈のように走っていた。

花は、浮かんだり沈んだりするたびに色を、白から、薄い緑色にかえる。絹糸も、金の糸から

銀の糸に、とかわったりする。

花がもっとも美しいのは、波に引き込まれて、浮き上がってくる瞬間だった。白く、かがやく

のだ。

花が、ぬるりとしていたことには、びっくりした!

花は、やっぱり、生きているのだ!

花も、大切な宇宙の一員なのだと思った。

ぼくはまだ、花の下に、褐色の葉があるのに、気づいていなかった。花しか、見ていなかった

からだ。

 海で生きる花は、大地で生きる花よりも、過酷な中を泳ぎ続けているのかもしれない。

何故、この花は、海に咲かなければいけなかったのだろう。

何て、不思議な花なのだろう。

 どぼんッ。飛沫が、ぼくにかかった。

イケが飛び込んだのだ。

「ルイ、すげー。葉っぱ、昆布みたいだぞ。お前も、飛び込め!」

 ぼくは、ちょっと怯んだ。

また、溺れてしまう。

「溺れたら、また助けてやるからさ。飛び込めよ!」

「うん!」

 ぼくは、勢いよく、飛び込んでいた!


                             つづく















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Last updated  Dec 1, 2008 12:20:39 AM
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