コメント&TBありがとうございます。
吉敷さんの台詞は忘れてしまっていましたが、たしかに、話が急展開しそうな場面ですね。
たしかに、社会背景への視点も興味深いですよね。特に吉敷シリーズでそれが強かったですが、最近は御手洗シリーズでも見られるようになり、面白さの幅が広がっているように思います。

横溝さんについては、記事でも何度か書いていますが、私がミステリ、あるいは広く小説を読むようになったきっかけが横溝作品で、去年から、再読して感想を書くようにしました。大好きな作家ですから、再読しても安心するのです(笑)
興味をもっていただけて嬉しいです。楽しい読書体験になりますように。 (2008.06.12 06:45:34)

のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2007.03.21
XML
島田荘司『確率2/2の死』
~光文社文庫、1985年~

 吉敷竹史シリーズ、最初の文庫書き下ろしの長編です。シリーズの長編としては、4作目といったところでしょうか(『死者が飲む水』解説参照。『消える「水晶特急」』にも吉敷刑事は登場するようですが、脇役ということなので)。以下、簡単に内容紹介と感想を。

 プロ野球選手・巨人のピッチャーである川口の息子が誘拐された。吉敷は、家族のかわりに身代金を渡す役割を引き受ける。9月10日(火曜日)、吉敷は犯人からの電話で、公衆電話から公衆電話へと走らされる。ついに最後の電話かと思った電話では、川口の息子の無事と解放が告げられ、さらに、身代金はいらないと告げられる。
 何度も吉敷を走らせたにもかかわらず、身代金を要求しない犯人の意図は何だったのか―。
   *
 事件発生以前に、主婦の甲斐佳子は、奇妙な体験をしていた。火曜日の午後、ある住宅の一角を、同じ白い車が何度も何度もぐるぐる回っているのを、アパート五階の自室のベランダから目撃したのだった。その車の行動自体が奇妙なのに、さらに不可解なことがある。その一角に沿った店の人々が、みな一様にその車を見ていないというのだ。
 さらに、夫がいつの間にか職をやめていたこと、そして奇妙な行動をとっていることも知ることになる。

 吉敷刑事が、犯人の要求で走っているところから物語は始まります。…正直、その段階では面白くなさそうだと思って、読むのをのばしのばしにしていました。読み進めるうちに、犯人の用意周到な行動に興味をもちつつ、吉敷刑事との駆け引きも面白く感じ、犯人が身代金を要求しないとなって、一気にこれは面白いと思い始めました。

 以下、ちょっと文字色を変えておきます。(ここまで)。けれど、おそらく、真犯人が誰か、ということにはさほど重点のない物語です。だからこそなのか、ラストもちょっと物足りない感じだったのが残念でした。今年に入ってから、ずいぶん島田さんの作品を再読も含めて読んできましたが、その中で感じているのは、犯人の側の動機や事情の面白さです。そこが複雑だったり、十分に同情の余地があったり、結局誰が悪いのだろうと考えさせられたり。大がかりな謎が提示され、それがきれいに解決される過程も面白いのですが、そのように考えさせられることが、島田さんの作品(ミステリ)の魅力かなぁと感じています。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.03.21 17:04:46
コメント(2) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:島田荘司『確率2/2の死』(03/21)  
torezu  さん
TBありがとうございます。
こちらからもTBさせていただきました。
本作品は、賭博が原因ではと中盤でようやく気づきましたが、てっきり甲斐さんが犯人だと思っていたので、吉敷さんの違うこの声じゃない!の台詞で、一気に話が展開したような気がします。
こちらの作品は初期のお話だったんですね。
島田さんの作品は、確かに犯人側の動機や事情が面白いですよね。その時の社会背景も合わさって、それが魅力に感じます。
そういえば、のぽねこさんの日記を拝見していつも思うのが、横溝さんの感想が多いということです。横溝さんの小説はまだ読んだことがないのですが、日記を拝見して面白そうと思いました。
次回本を購入する時は、横溝さんの小説も買ってみたいです。 (2008.06.11 22:43:10)

torezuさんへ  
のぽねこ  さん

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: