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2007.04.23
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~河出文庫、1993年~

 四つの短編が収録されています。内容紹介をしながら感想をつらつらと。

 表題作の「少年たちの終わらない夜」は、バスケ部のエース、真規が主人公です。女性とつきあうと、早いうちに「食う」真規ですが、新しくつきあい始めた陽子は別でした。真規にとっても、いつもと違うようなつきあいを続けている中、彼は最後の試合にのぞむことになります。彼にとって、バスケは手段ではなく、勝つことが全てです。そこで彼はある行動をとるのですが…。
 真規の名前をうつとき、真実の規範で変換したのですが、名前とは記号とはいえ、考えさせられました。この物語では、あえてその名前が彼に与えられているわけですから。…私の本名と実態がマッチしているかはともかく…。

「誰かアイダを探して」「僕」がはじめてアイダを見たとき、彼女が言った言葉が、「僕」には印象に残っていました。友人と待ち合わせした喫茶店にいたアイダ。それから、「僕」はその喫茶店に通い、アイダに声をかけ、一緒に過ごすようになっていきます。ある日、楽しいふりをしていることに疲れたというアイダに、「僕」はある提案をするのでした。
 なるほど、あるエッセイでふれられているシーンはこの話だったのか、と納得しました。<一応文字色反転><ここまで> まさに10代の終わりに読んでいれば、もっと感慨があったかもしれません。いま読んでも感慨深くなりました。

「ユーロビートじゃ踊れない」“なんでもあり”のディスコ・<リューイ>に訪れることを「仕事」としているヒロシは、そこで、暁子と出会います。彼女とつきあうことを、どこか彼女と「戦っている」ように感じながら、しかしその感覚を楽しんでいるヒロシですが、いつしか彼女と気持ちがあわなくなっていきます。


「ティーンエイジ・サマー」高校の頃に仲の良かった仲間たちと、10代最後の夏の何日かをともに過ごす、という話です(ちょっと内容紹介はしょりました…)。

 なんといっても、この短編集のキーワードは10代ということでしょう。私個人としては、10代から20代になったときよりも、高校生から大学生になったときの方が感慨があったものですが ―その感慨も、大学生になってから、高校生の頃を振り返って感じるようなものでしたが、なんというかうまく言えませんけれども、「あの頃」の感慨ってあると思うのです。揺れ動いているという感覚、とでもいいましょうか。もちろん、いまでも揺れ動いている部分はありますし、加納朋子さんの物語の中の言葉を借りれば、雑踏の中の迷子のまんまだと感じる部分は大きいです。ただ、「あの頃」とは、色合いが違うのかなぁ、というか。単なる自分のノスタルジーのような気もしなくもありませんが、鷺沢さんが描いておられるのは、あの頃特有の色合いなのかなぁ、と感じます。





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Last updated  2007.04.23 08:55:30
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