のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2008.03.17
XML


~中公文庫、1979年~

 9編の作品が収録された短編集です。
 では、内容紹介と感想を。

「火星のツァラトゥストラ」 ツァラトゥストラが大流行した火星にやってきた、ツァラトゥストラ似の男。彼はマスコミに引っ張りだこになり、やがてその人生は転落していく…。
「トラブル」 マスコミ人のおれの中に、何者かが侵入してきた/私は、マスコミ人を乗っ取り、サラリーマンに侵入している敵対勢力の動向をうかがっていた/そして、二大勢力の戦いがはじまる。
「最高級有機質肥料」 植物人のいる星に向かった地球人は、みな帰還後に自閉症になってしまった。その星に、今度はおれが行くことになり…。
「マグロマル」 昼夜がめまぐるしく移り変わる星で、会議の連絡を受けた私たち。しかし、参加した会議では、自分たちが聞いていたのとは全く違う審議が行われていた。
「時越半四郎」 片倉半四郎は、理論的な物事の考え方をし、事務仕事も能率的に行うものの、その性格から孤立していた。決闘を申し込まれたものの、無駄な戦いを避けようと強く考えていた彼は、その場から消えてしまう。そして半四郎は、自分が時間・空間を飛び越える能力をもっていることを知る。
「カメロイド文部省」
「血と肉の愛情」 親が死亡した際には、長男がその心臓を食べる、という風習の星に、食人の風習のない星から男が訪れた。私は男に、食人の意義を唱えるが、話は平行線をたどり…。
「お玉熱演」 様々な欠点を自覚しつつ、テレビに出ることを熱望していたお玉のもとに、テレビ局の男がやってくる。夢にみたテレビ出演だが、男から要求される演技などは、まったくお玉の希望とは反していた。
「ベトナム観光公社」 翌年はこの星が旅行先の流行になる…と言われるや、どんなに混雑しようが誰もがその星に行きたがる時代、地球にも面白いことが残っていると信じる旅行会社の次長。おれは、その次長に誘われ、ベトナム戦争を観光に行く。それは、地球にもこんなに面白いことが残っていたのかと認識させられる体験で…。

 読んでいて特に面白く思ったのは、「時越半四郎」です。歪んだ感情論で団結して標的を定めていじようとする人々の中にあって、論理的な価値観を通して生きていく姿がかっこよいなぁと思いながら読みました。SFの設定も面白かったです。
「最高級有機質肥料」は、珍しく(?)途中に注意書きがあり、そのあたりを読み飛ばしました。「コレラ」( 『革命のふたつの夜』 所収)はなんだかんだでがんばって読んだのですが、これはまずいと思い…。
 表題作「ベトナム観光公社」は、考えさせられる作品でした。
(2008/03/12読了)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008.03.17 06:40:37
コメントを書く
[本の感想(た行の作家)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 第2部第…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 脳科学に…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: