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2008.11.24
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~講談社ノベルス、2008年~

 QEDシリーズでおなじみ、高田崇史さんの新シリーズ開幕、第一弾です。
 今回の主人公は、伊賀・出賀茂神社を継ぐことになっている青年、鴨志田甲斐さんです。といって、そのご両親、神社の職員で甲斐さんのお祖父さんみたいな存在の加藤丹波さん、その孫娘で博識、現役東大生にして巫女のアルバイトをしている貴湖さんと、まわりの人物もみなさんキャラが強く、みなさん活躍されます。
 そして鴨志田家は忍者の末裔…。すごい設定ですが、QEDシリーズよりもユーモアも強い感じで、楽しい一冊です。
 と、ほとんど総評みたいなことを書いてしまいましたが、あらためて内容紹介と感想を。

ーーー
 地方出版社「月刊歴史探究」で、殺人事件が発生した。鍵のかかった会議室に入ってみると、男性職員が死んでいた。その男性のもとには応接室の鍵が落ちていた。そして応接室には、女性職員が死んでいた…。
   *

 また、飛鳥でも、聖徳太子に関する記録をねらった盗難事件が相次いでいた。
   *
 そしてまた、同じ頃。甲斐の知人、早乙女志乃芙から、相談事を持ちかけられていた。甲斐自身もお世話になっていた彼女の夫、諒司が、行方不明になったという。

 さらに聖徳太子の謎も考えながら、甲斐と貴湖は事件に巻き込まれていく…。
ーーー

 QEDシリーズと同じく、物語の中の殺人事件と歴史上の謎をリンクしています。本書の謎は、聖徳太子は存在したのか。聖徳太子として伝えられているのは、誰だったのか。
 丹波さんが、甲斐さんに聖徳太子とその関連する事項(人物)について簡単に説明するところがあるのですが、三つの問題提起にわくわくしました。聖徳太子も推古天皇も大化の改新も否定されるのですから…。
 本書で提示される説(日本史は苦手ですが、ものすごくわくわくしながら読みました)の真偽はともかく、いわゆる正史はあくまで権力者の視点で書かれているということを、あらためて認識しなければいけないと思いました。いかに、学校で教えられている歴史が作られた歴史か…。
 ところで、本書の中で、貴湖さんが、歴史を人物中心に見ることを強調するシーンがありました。天皇125人+5人を覚えるだけで、日本史が鳥瞰できる…。あ、たしかにそれはその通りだと思いました。
 けれども私自身は、いわゆる歴史の表舞台に出てくる人たちの抗争なんかよりも、そのような時代に、「普通の人々」がいかに生きたか、という点に関心を持っています。なんというか、彼らも生きていたんだ、ということを感じたいと思います。もっとも、貴湖さん自身が、こうした歴史を軽視しているというわけでもないと思いますし、歴史を鳥瞰する方法として代表的な人物を中心に見ていくのが便利なのはたしかですが…。いろいろ考えさせられました。

 なお、本書は、森博嗣さんのGシリーズやXシリーズのように、一般の講談社ノベルスとは違って、一段組になっています。なので割合すらすらと読めました。


(2008/11/22読了)





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Last updated  2008.11.24 07:41:09
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