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2008.11.23
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Le petit peuple dans l'Occident medieval

Le petit peuple dans l'Occident medieval. Terminologies, perceptions, realites (Actes du Congres international tenu a l'Universite de Montreal, 18-23 octobre 1999) , Paris, 2003


 ロベール・ドロールほか編『中世西欧の下層民―その用語、知覚、現実』の構成を紹介します。
 中世の「下層民」(petit peuple)に関して行われた国際会議の成果をまとめた論文集です。
 本書の構成は以下の通りです。
 (*できる限りタイトルは試訳で示しましたが、どうにも訳せないのは原文で記しています)
 (*論文の前の通し番号は、本書にはありませんが、便宜的に付しました)
 (*基本的に仏語論文ですが、何本か英語論文もあります。タイトル試訳の後に(英語)と書いています)
 (*全ては読めないと思いますが、読んだ論文については記事を書いて、その都度ここからリンクをはろうと思います)

ーーー
0.序文



第1部 「下層民」の知覚―分析、分類、判断

2. ニコル・ベリウ「13世紀の『身分別説教集』における下層民」
3.ジャック・ベルリオズ/マリ=アンヌ・ポロ・ド・ボーリュー「公の場と日常生活の間で―13-15世紀の「例話集」における下層民」
4.ピエール・ボリオーニ「トマス・アクィナスによるPopulus, vulgus、その他の用語」
5. ゲルハルト・ヤリツGerhard Jaritz「後期中世中欧における下層民の良い見本、悪い見本、あるいはその利用」(英語)
6.マッシモ・モンタナーリ「農民のイメージと食行動の規範」
7.Vincent Pollina「トゥルバドゥール・マルカブリュと農民」
8.Maria Bendinelli Predelli「薪と飢餓―フランコ=ヴェネツィア騎士道文学における貧困の痕跡」
9.Tania van Hemelryck「動乱の中の民衆―ある定義のもとでの中世の平和的文学におけるモチーフ」
10.Alessandro Stella「『チョンピ…最も地位が低く…不潔でぼろを着た人々』―描写、賤民化、排斥」
11.Joseph Morsel「中世末期高地ドイツにおける<貧者>(arme Laute)―あるいは、<下層民>の歴史に意味はあるか?」



12.Walter Prevenier「13-14世紀低地地方におけるコミューンの人々による社会的状況の自覚と知覚」
13.Jean-Pierre Sosson「都市の<下層民>―不可欠な尺度か不可能な尺度か?南部低地地方の若干の声(13-15世紀)」
14.Sandrine Thonon「笑劇の中の人々―中世末期の都市民の活動への文学的アプローチの道しるべ」
15.Francois Menant「<下層民>の始まり―コミューンの時代におけるロンバルドの農民(12-13世紀)」
16.Francoise Michaud-Frejaville「中世末期における農村のブルジョワ、バロンの奴隷、ベリー公の下層民」

18.Andree Courtemanche「移住民―中世末期におけるマノスクへの移住に関する予備的分析」
19.Michel Hebert「13-14世紀プロヴァンスの伝達使」
20.Bruno Paradis「国家の下層にある奉仕者―14世紀プロヴァンスの死刑執行人」
21.Beatrice Leroy「中世末期ナヴァール王国における下層民」
22.Serge Lusignan「パリ大学の貧乏学生」
23.Armand Jamme, "Les compagnies d'aventure en Italie. Ascenseurs sociaux et mondes paralleles au milieu du XIV siecle"
24.Raoudha Guemara「1425-1502のヴェローナにおける<下層民>たる羊毛業者―不可欠の職人、課税台帳に記載された『市民』(cives)、勤労の貧者」
25.ロベール・ドロール「中世末期トスカナにおける奴隷という下層民」
26.Francine Michaud「14世紀マルセイユの奴隷と使用人」
27.Jean-Marie Yante「雇用の場place d'embauche(13-15世紀)―社会的職業か雇用主の戦略か? フランスを例に」
28.Philippe Bernardi「若者、貧者、よそ者…―管理する多様な方法」
29.Sharon Fermer「若者、男性、障害者」(英語)
30.Julie Mayade-Claustre「生活難の下層民―中世末期パリにおけるprison pour dette」
31.Pierre Monnet「下層民と上流層―中世末期ドイツの自伝的証言における家柄に関する議論」

第3部 下層民の文化―システム、行動、価値

32.クリスティーヌ・クラピシュ=ズュベール「15世紀ボローニャのある石工の日常生活と彼らの衝突」
33. ポーラ・クラーク「15世紀のある古着商の心性」(英語)
34.Paolo Golinelli「聖人の民衆―聖人伝史料から見る後期中世パダノ地方のいくつかの都市における一般民衆」
35. Bernadette Filotas「初期中世司牧文学における民間宗教」(英語)
36.Edina Bozoky「聖遺物の捏造[inventions]における下層民の役割」
37.Franco Cardini「第一回十字軍における<petits>」
38.Danielle Laurendeau「熟慮された宗教的手続き―パミエの異端審問の寄託者による証言における懐疑」
39.Madleine Jeay「マリー・ロビーヌとコンスタンス・ド・ラバスタン―人々の中の慎ましき女性、君主と教皇の導き手」
40.Marina Montesano「厳格派フランシスコ会士による説教活動における下層民―文化的層、『無益な迷信からの』(ex vana superstitione)信仰、儀礼的魔術」
41.Mary R. O'Neil「日常生活の技術―14-17世紀モデナの異端審問における魔術的慣行」
42.Virgina Nixon「民衆のための生産―絵画作品を読み解く過程に関する後期中世の様相」(英語)
43.Elisabeth Schulza-Busacker「12-13世紀、俗人のために用いられた教化的文学」
44.Kouky Fianu「中世末期における下層民のアルファベット順配列と定義―パリの図書館の事例」
45.Marilyn Nicoud「<下層民>の衛生、病理学、医療の普及―中世末期の医学的議論と実践」
46.Alessandro Vitale Brovarone「中世の冒涜と悪態―語源の社会史に関する覚え書き」
47.Gherardo Ortalli「下層民も楽しむにちがいない」
48.Claude Gauvard「中世の下層民―結論」
ーーー

 初めてお名前を拝見した研究者がほとんどなので、無理にカタカナ表記はせず、原綴りのままにしておいたことをお断りしておきます。タイトルの試訳も、中身を読まないままにつけているので、あるいは不適切な訳もあるかもしれません気付いたときには訂正しようと思います。

 さて、ここでは、序文で述べられている本書のプランについて書き留めておきます。
 まず、本書(会議)のテーマは、(書名からも明らかですが)従来の歴史研究ではあまり注意を払われていなかった「下層民」「庶民」に光を当てることです。
 そのために、大きく二つのテーマが設けられます。一つは、「下層民」petit peupleが社会でどのように知覚されていたかという点について、主に語彙やレトリックの面から見ていくこと。もう一つは、現実に生きていた彼らの具体的な生活を明らかにすることです。
 現実に生きた彼らの生活にせまるには、大きく3つの水準が考えられます。第一に、経済的水準。第二に、政治・社会的水準。第三に、文化・宗教的水準。厳密に分けるのは難しいと思いますが、主に第一・第二水準について第二部で、第三水準について第三部で扱うようですね。順番は前後しますが、第一部では、上にあげた語彙やレトリックの面に関する議論が主に行われます。

 全部は読めないと思いますが、興味がある論文だけでも、ぼちぼち読んでいきたいと思います。





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Last updated  2009.08.22 07:07:07
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