のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2009.02.19
XML
殺人暦

~角川文庫、1981年5版(1978年初版)~

 1931年(昭和6年)から1933年(昭和8年)の間に書かれた、6編の中短編が収録されています。
 それでは、それぞれについて簡単にコメントを。

ーーー
「恐怖の映画」
[内容紹介]河村プロダクションの人気俳優・菅井良一は、河村省吾の愛妻にしてプロダクションの首脳女優、蘭子と不倫の関係にあった。自らが大会社に入る手続きを進めながら、彼女との関係を清算すべく、彼女と逢い引きしているところに、河村本人がやって来る。菅井はとっさに、蘭子を大道具の「鉄の処女」に隠し、その場を切り抜けるが、その後、両目をつぶされ、殺された蘭子の死体が発見される。
[コメント]ミステリというよりも、サスペンスやホラーの風味が強い作品です。陰鬱な雰囲気が全体に漂いますが、この手の味わいも好きです。

「殺人暦」
[内容紹介]存命中に死亡広告の出された五名の男女。彼らは、探偵の結城三郎に脅迫者を突き止めるよう依頼するが、彼ら自身が脅迫される理由については、決して語ろうとしない。5名の内の2名は、過去にその秘密に携わった人物の息子あるいは姪で、事情は分かっていない風であったが…。
 事件の解明には、結城探偵だけでなく、そのライバルにして、決して人は殺さない泥棒、隼白鉄光も関わる。二人は敵対しつつ、事件を解決する方向では一致していたが、ついに事件は起こる。犯人の予告通り、5名のうちの一人が、舞台で殺された…。さらに犯人は、新たなターゲットを示す予告を出す。


「女王蜂」
[内容紹介]かつて、畦柳半三郎が道楽半分で起こしたプロダクションに所属していた女優、紅澤千鶴は、外国人銃撃の容疑で逮捕され、出獄後は上海に渡って死亡していた…はずだった。彼女に関して苦い思い出のある半三郎の下に、当時プロダクションに出入りしていた富士郎が、ある情報をもたらす。それは、千鶴が生きており、しかも現在は鷲尾子爵の令嬢、芙蓉子と名乗っている、というものだった。彼らが真相を探り始めた頃、別の人々も彼女の周辺を探り始めていた…。
[コメント]金田一シリーズ『女王蜂』とタイトルは同じですが、無関係です。こちらはなかなか複雑ですが(というのも、人間関係がおいおいにしか分からないので)、スリルを感じながら読み進めました。

「死の部屋」
[コメント]アメリカから久々に帰国した知人、木藤氏を、「私」が訪れ、その後、彼からある告白を聞くという物語です。

「三通の手紙」
[コメント]冒頭に3通の手紙が掲げられ、最後にきれいにまとまっています。

「九時の女」
[内容紹介]実家が破産の危機にあった探偵作家、寒川譲次のもとに、彼らが「九時の女」と呼んでいる女性から電話がかかってきた。ダンスホールで何度か踊った程度の彼女は、寒川に、彼が必要としている三千円を差し上げるかわりに、一つお願いを聞いて欲しい、という。それは、ある邸宅に行き、応接間に落ちている赤いショールを持ってきてほしい、というのだ。
 怪しい依頼だが、実家の危機を救うためにも、彼は依頼に応じる。訪れた邸宅は、「九時の女」が何度か一緒に踊っていた人物の家だった。そして応接間には、たしかにショールはあったが、それは暖炉に頭を突っ込んだ男の死体の手に握られていた…。
[コメント]この短編集の中で、いちばん楽しく読んだ作品です。寒川さんの探偵役も良いです。
ーーー

 と、この短編集にはシリーズキャラクターは登場しませんが、面白く読みました。

※表紙画像は、横溝正史エンサイクロペディアさまからいただきました。

(2009/02/15読了)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.02.19 06:39:28
コメント(2) | コメントを書く
[本の感想(や・ら・わ行の作家)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: