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2009.06.23
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絶叫城殺人事件

~新潮社、2001年~

 火村英生&作家アリスシリーズの短編集です。6編の短編(中編)が収録されています。
 まずは、それぞれについて簡単に内容紹介を書いた上で、全体を通しての感想を。

ーーー
「黒鳥亭殺人事件」 友人で画家の天濃の住む黒鳥亭へ訪れた火村とアリス。2年前に邸宅の庭で、当時の所有者の間で殺人が起こった。犯人の男は自殺したと思われていたが、二週間前に、庭の井戸からその死体が発見されたという。死後、それほどの時間が経っていない死体が。
「壺中庵殺人事件」 壺のような書斎を作った男が、その書斎の中で死亡していた。現場に入るための扉は閉じられており、密室状態にあった。しかも首を吊っていた被害者は、その頭に壺がかぶせられていた。
「月宮殿殺人事件」 アリスが1年前に見たことのある、浮浪者の住むゴミの館。火村とアリスがそのそばを通りかかったとき、館は燃えてしまっていた。近所の少年たちが放火したというが、二人の目撃者の証言には矛盾があった。
「雪華楼殺人事件」 旅館になるはずだった空虚なビルに住んだ二人の若い男女。男はビルの屋上から飛び降りたように見られたが、しかしその後頭部には殴打された跡もあった。そして、屋上や現場には、被害者以外の不審な足跡は残っていなかった。
「紅雨荘殺人事件」
「絶叫城殺人事件」 ゲーム「絶叫城」になぞえられたかのように、3人の若い女性たちが殺された。2週間置きに、人気のない公園のそばで起こっていた事件が、最後に様相を変える。被害者たちの関係者に、不審な者もおらず、事件は迷宮入りの様相を呈していく…。
ーーー

 数年ぶりの再読で、ずいぶん忘れていましたが、「月宮殿殺人事件」のオチを読んで、こういうのがあったなぁと思い出しました。
「黒鳥亭殺人事件」で描かれているゲーム「20の扉」はやってみたいですね。相手に何か思い浮かべてもらい、20回まで許された質問のあいだにその何かを当てるというゲームだそうです。
「雪華楼殺人事件」は、あとがきではまた別の事例が紹介されていますが、ある漫画のあるシーンを連想しました。これは、「黒鳥亭殺人事件」同様に、なんともいたましいです。
「紅雨荘殺人事件」は、事件の裏にある動機が興味深かったです。こんな動機ははじめて読むような。
「絶叫城殺人事件」の真相は、なんとも重苦しい気分になりますね。私自身は、あの手の事件が起こったときに、どうでもいいようなコメンテーターがあの手のコメントをするのは馬鹿らしいと思っています。ある意味では、本作中である人物が言っていることは正論のような。

 全体的に夜が舞台となっているせいもあるのか、重たい雰囲気が流れる短編集です。

(2009/06/21読了)





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Last updated  2009.06.23 06:47:38
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