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2009.07.26
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~文春文庫、2003年~

 土屋賢二先生のエッセイ集です。毎晩寝る前と、職場のお昼休みに読んでいるので、どんどん紹介できますね(笑)
 さて、既に記事を書いています 『ツチヤの軽はずみ』 『棚から哲学』 は、『週刊文春』のコラム「棚から哲学」が初出ですが、本書は『週刊文春』以外の場で発表されたエッセイを集めています。初出一覧を見れば『プロレス激本』というのもあって、バリエーションの豊かさがうかがえますね。

 今回も、特に楽しく、あるいは興味深く読んだ数編について書いておきます。
「ダカツのように」では、オヤジの哀愁が語れます。ダカツ…勉強になりました。

「死は簡単なものではない」は、死に対する態度についての考察になっています。学生の頃、フィリップ・アリエスの『死と歴史』などを読んで、死に対する人間の態度の歴史について少し勉強していたことがありますが、こういうエッセイを読むと、あらためてその複雑さを認識しました。


 まず、「笑いで乗り切る人間関係」は、日常生活を営むうえでのユーモアの重要性を指摘します。対象をこきおろすという点では批判もユーモアも似た部分があるけれど、批判はなにかの価値を守るために行われるのに対して、ユーモアはなんでもこきおろす、という違いがあります。ユーモアは何も守ろうとしません。なので、ユーモアをもつ人は、自分自身についても謙虚である…というのですね。実際、ユーモアのある人がいると場が和みます。そのあたりの、ユーモアがもつ力についてうなづける考察を進めながら、最後がユーモアでしめくくられる、素敵なエッセイです。
「合理的疑い」では、哲学の上で疑うことと、日常生活のうえで疑うこととの違いが説明されます。こちらも興味深く読みました。

「不忍池の思い出」と、最後に収録された「心なごむ場所」は、タイトルからもうかがえますが、しんみりできるエッセイです。ただ、「心なごむ場所」では私がなにより苦手な陸上軟体動物の名前が何度も出てくるので、じっくりと読めなかったですが…。

 土屋先生のエッセイを最初に読んだときは、まだそのユーモアになじめなかったのですが、読めば読むほど楽しめるようになってきたのを感じます。最初に読んだ『われ大いに笑う、ゆえにわれ笑う』はまだ記事を書いていないので、いつか書きたいと思います。

 それから本書の解説は、エッセイに何度も登場する助手の方が書かれているようで、楽しめました。

(2009/07/24読了)





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Last updated  2009.07.26 07:34:03
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