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2009.07.18
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~文春文庫、2001年~

 土屋賢二先生のエッセイ集です。表紙がかわいらしい絵なのに恐いですね…。
 さて、今回も印象に残ったところを中心にいくつかメモしておきます。

「何を失ったのか」は、子供時代の回想のような文章で、しみじみした気分になりました。なじみ深い地名もたくさん出てきます。
「死を思え」は、ユーモアも織り交ぜながら、鋭い指摘で考えさせられます。死を意識することで、現在の自分の在り方を見つめ直すこと。ただそれにとどまらない最後でのいくつかの指摘が深いですね。私は、笠井潔さんの 『哲学者の密室』 で死を意識することについてふれてから、ずいぶん考え方が変わってきたように思います。それも悪い方にではなく、良い方にです。一日一日が、より大切に感じられるようになってきた気がします。もっとも、むかしに比べてずいぶん前向きになったのは、『哲学者の密室』だけが原因なわけではないでしょうけれど…。
「女の論証テクニック」は、小学生の男の子と女の子の言葉を比べて、女の子の論理性の高さを鮮やかに指摘しています。これは面白かったです。その光景が目に浮かぶようでした。

 さてあとは、印象に残った部分を文字色を反転して引用しておきます。

人間が衣服をまとっていなかったら、威張る、気取る、傲慢、といった人間は滑稽すぎて、だれもなりてがいなかっただろう。他人の服装にケチをつける恥知らずもいなかっただろう
―「布きれ一枚の効果」より

結婚披露宴などで食事をするたびに思うのだが、たいていの人はマナーを守ることに腐心する。日ごろ、交通規則などを平気で破り、歩きながら唾を吐き、タバコの吸い殻を道に捨てている人が、どうして、どのフォークから使えばいいかといったどっちでもいいことにこだわるのか、不可解というしかない
―「一貫しない動物」より

(2009/07/15読了)





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Last updated  2009.07.18 07:13:44
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