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2009.10.03
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~講談社ノベルス、2002年~

 密室本(7年も前のことなので書いておきますが、当時、講談社ノベルスでは、ノベルスの中身丸々袋綴じのかたちで刊行する密室本という企画がありました)として発表された、ノンシリーズの長編です。
 それでは、内容紹介と感想を。

ーーー
 高校受験を控えた中学3年生の小林冬子は、衝動に駆られて、貨物船に乗り込んだ。
 そしてたどり着いたのは、名も知らない島だった。
 人口500人ほどのその島で、冬子は熊谷という男に生活場所を与えてもらう。しかし、それは労働の対価としてのことで、冬子はしばらく慣れない肉体労働をする。
 そして、その仕事に冬子は不向きだと熊谷も判断し、次に彼女に与えられた仕事は、監視だった。それは、小屋に住み、ひたすらパソコンに向かって作業をしている男を、向かいの小屋から監視するという内容だった。

ーーー

 本書で描かれる大きなエピソードは、上記のように冬子さんが体験した密室状況からの人間消失事件と、その島での数々の体験ということになるのですが、本書にはまた別の主題(メッセージ)があります。 佐藤友哉さんの作品を刊行順に読んでいた私は、本作のそのメッセージに大きな衝撃を受けたものです。同時に、思い切ったかたちの作品だなぁという驚きもありました(そういえば、浦賀和宏さんの『浦賀和宏殺人事件』もかなり思い切っているなぁと思いましたね)。
 なんとも言いにくい作品ですが、冬子さんを主人公とする物語は物語として面白かったですし、もうひとつの主題も含めて、全体として興味深く読みました。

(2009/09/27読了)





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Last updated  2009.10.03 07:33:14
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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