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2009.10.04
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~集英社文庫、2007年~

 テレビでもおなじみ池上彰さんによる、(世界)現代史の概観です。とにかく分かりやすく、簡単な言葉で書かれているのでとても読みやすい1冊です。
 本書は構成は以下のとおりです。

ーーー
はじめに

第一章 冷戦が終わって起きた「湾岸戦争」
第二章 冷戦が始まった
第三章 ドイツが東西に分割された

第五章 中国と台湾はなぜ対立する?
第六章 同じ民族が殺し合った朝鮮戦争
第七章 イスラエルが生まれ、戦争が始まった
第八章 世界は核戦争の縁に立った キューバ革命
第九章 「文化大革命」という壮大な権力闘争
第一〇章 アジアの泥沼 ベトナム戦争
第一一章 ポル・ポトという悪夢
第十二章 「ソ連」という国がなくなった
第十三章 「電波」が国境を越えた!「ベルリンの壁」
第一四章 天安門広場が血に染まった
第十五章 お金が「商品」になった

第十七章 「ひとつのヨーロッパ」への夢
第一八章 冷戦が終わって始まった戦争 旧ユーゴ紛争

おわりに
主要参考文献
ーーー


 第五章、第六章では、戦前(戦時中)に日本が犯したことの意味を考えさせられますね…。恥ずかしながら、台湾の日本人観というものを今回はじめて知ることができました。
 また、第六章のなかの次の一節は、忘れてはならないなぁと思います。
韓国を旅行中の日本の若者が、上手な日本語を話す韓国人のお年寄りに驚いて、『日本語が上手ですね、どこで覚えたんですか?』とたずねたところ、お年寄りが突然怒り出し、『覚えたくて覚えたんじゃない。無理やり教えられたんだ』と言うのですが、日本の若者は意味がわからずにポカンとしている……。こんな情けないことがしばしば起きています。『日本人は自分の国がしたことを知らない』と批判される理由のひとつになっています
 逆に、すぐ上でふれましたが、台湾の章では、日本の占領後に中国(国民党)が無茶をした際に日本語が果たした役割や、国民党の横暴によって相対的に日本の植民地時代の辛い記憶が薄れたということなど、とても勉強になりました。
 そして本書を読んで全体的な印象を思うに、戦後の世界を考えるうえで「共産主義」がひとつのキーワードになるんだな、ということ。冷戦や朝鮮戦争、ベトナム戦争、ソ連の解体などなど、共産主義という観点から関連づけられる多くの事件(そしてこんにちも尾を引く諸問題)が概観できるんだなぁ、と。
 もう一点、パレスチナ地方の今日の紛争のきっかけとして、イギリスが果たした役割が指摘されていて、こちらも興味深かったです。この点は私の同期も以前に指摘していて、たしかにそうだなぁと思っていたところでした。要は、イギリスが、アラブ人にもユダヤ人にも甘い約束をし、しかもその地域をフランスと分け合おうという密約もする…。私は不勉強にしてよく分からないのですが、こんにちの中東問題について、イギリスはどういう役割を果たしているのでしょうか。
 残念な事件が多々ある中、EUについての第十七章は、希望のある記述となっています。人類は愚かなことを繰り返してきましたが、それでも明るい方向に進んでいける可能性が示されている、とでもいいましょうか。

 あらためて、とても勉強になると同時に考えさせられる1冊です。

(2009/09/29読了)





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Last updated  2009.10.04 07:33:22
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