のぽねこミステリ館

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2010.08.19
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~大修館書店、2000年~

 ラテン語復習第3弾です。雑誌『言語』に掲載されていた「ラテン語初歩の初歩」というコラムをもとにした一冊です。
 副題は「通読できるラテン語文法」とありますが、どういえば良いのでしょうか、ラテン語文法を題材にした読み物、といった印象でしょうか。講義のなかでの雑談を前面に押し出しながらも、文法の解説もあるといった一冊です。
 全50章で、短い章は4頁ほど、長い章でも10頁ほどなので、1章ずつを疲れることなく読み進めることができます。なお、50章あるので、構成の紹介は省略します。

 本書では文法の雰囲気も身につきますが、なによりもその語り口が楽しいです。たとえば、ラテン語の名詞は「~は」と主語になるのか、「~を」と目的語になるのか、というように、文の中での役割によって形が変わります。で、その中に「~よ」と呼びかけをしめす「呼格」というものがあります。少年チャーチル、「卓」を意味するmensaの活用を覚えさせられるとき、「卓よ」とテーブルに呼びかけることなどがあるのか、と、いささか不幸なラテン語との出会いをしたとのことです。このあたりの語り口は、私の記事などでは本書の楽しさが伝えきれません。

 また、逸見先生はラテン語の活用を覚えて、それをもとに文の中での位置づけや意味を考えながらきちんと意味をとっていくことの重要性を強調します。<少女><バラ><テーブル><飾る>という意味の言葉があれば、「~は」「~を」の格の形を考えなくても、誰だって訳が分かるから、こんな例題はくだらない、とさえおっしゃっています(29頁)。ここも楽しく読みました。

 第28章で紹介されているスティーヴン・ジェイ・グールドの科学エッセイも気になります。 大西英文『はじめてのラテン語』 でも適度に雑談がちりばめられていましたが、本書は雑談の話題も幅広く、飽きることなく楽しく読むことができました。



(2010/07/18読了)





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Last updated  2010.08.19 07:19:07
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