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2015.08.01
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~光文社、2012年~


 初出は進研ゼミ中学講座の中編2編のほか1編が収録された作品集です。
 久々に辻村さんの作品を読みましたが、中学生向けの作品ということもあり、独特の重さもさほどなく、あたたかい気持ちで読み進めることができました。
 それでは、簡単にそれぞれの内容紹介と感想を。

―――
「約束の場所、約束の時間」
 陸上部、武宮朋彦のクラスにやってきた転校生・菊池悠は、武宮の隣の席になった。武宮は、優等生タイプの彼とは友達になれない、と思っていたはずだった。同級生の砂原美晴からは、菊池と仲良くするよう言われる。部活の練習で裏山を走っているとき、菊池が立ち入り禁止の場所に入ろうとしているのを目撃する。さらには、菊池が存在しないはずのゲームを持っているのを知り、二人は少しずつ「秘密」を共有し、仲良くなっていく。しかし……。

「サクラ咲く」
 中学生に上がり、自分の意見をちゃんと主張できない性格を直したいと思っていた塚原マチは、また自分の意見を言えず、学級委員の書記になってしまう。それでも、学級委員の守口みなみ、長沢恒河とも少しずつ親しくなっていく。小学校からの友人、光田琴穂のことは、少し苦手に思いながら……。
 図書室で本を借りるのが好きなマチは、ある日、自分が借りた本に一枚の便箋のような紙がはさまれていることに気付く。そこには、「サクラチル」と記されていた。その後も、彼女が借りようと思ういくつかの本には、メッセージがはさみこまれていた。そこでマチは、名も知れぬ誰かと、本を通じて、メッセージのやり取りをしようと思いつく。
 学級委員のメンバーとの自由研究や、合唱コンクールなど、学校の行事にも全力を注ぎながら……。

「世界で一番美しい宝石」
 映画同好会を結成し、なんとか映画部にまで昇格させたいと考えていた一平は、図書室で主演女優にしたいと強くひかれた生徒に出会う。それは、先輩の立花亜麻里だった。同好会のリュウ、拓史とともに、なんとか彼女を映画に出てくれないかと要請するが、かつて演劇部に所属していた彼女の態度はつれない。どうしてもと依頼する一平たちに、立花は、自分がかつて読み、その後どの本屋にも図書館にも見当たらない本が見つけられたら、映画に出る、と条件を付けてきた。こうして一平たちは、幻の本を探すために最大限の努力を重ね……。


 これは面白かったです。少しずつ、すべての物語がリンクしていて、感動もありました。
 名も知れぬ誰かとの本を通じた交流を描く表題作、幻の本を探す第三話が特に好みでした。マチさんが、少しずつ変わっていくのが素敵です。





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Last updated  2015.08.01 16:19:51
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