心のポテトサラダ

2009/01/24
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朝日新聞の「重い罪なら私を恨みますか」というタイトルに目が留まりました。
以下、朝日新聞記事の要約です。

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刑事裁判に、被害者が参加し、法廷で被告に質問できるようになりました。
「被害者参加人の質問を許可します」と裁判官に促されて、検察官の隣の席で熱心にメモを取っていた会社員が立ち上がり、被告の2人に軽く会釈すると、穏やかな声で質問を始める。
「夜遅くまで疲れて仕事をしている人からお金を奪うことをどう思いますか」と問うと、被告席にいる茶色の長髪姿の若者が答えた。
「・・・卑劣だと思います」

男性は路上で、いずれも21歳の2人に言いがかりをつけられて金を奪われそうになり、胸を殴られて肋骨を骨折した。
被害者「立派な社会人になって戻ってきてもらいたい。そのために、裁判所に厳しい判断をお願いしようと思っている。私のせいで刑が重くなった時、恨みますか」


被害者「今日、私の顔を見て覚えたと思うけれど、もし、道で出会ったらどうしますか」
被告「謝ります」
被害者の男性は2、3回うなずいて着席し、約5分間の質問を終えた。

もう1人の被告には窃盗などで少年院に入り、被害者へ謝罪の手紙を送った経験があった。
弁護人に問われると、被告は今回との違いを強調した。
「初めて被害者と直接会う形になったが、今までは済も見ていなかった。手紙を書くのは簡単だが、自己満足だったと思う」
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幸い、私は刑事事件の被疑者になったことはありませんが、被害者になったことは何度もあります。
万引きの被害者多数と1度の傷害被害者です。

ある万引き被害、事後報告に来られた担当警察官からの言葉を、不思議な気持ちで聞いたことがあります。
「二度とお宅の前に顔を見せないように言っておきましたので・・・。これで不快な思いをせずに済むと思います」


だって私の前から、ふてくされた顔をして、警察官に連れられて行ったのが最後なのだから。
出来れば、少しは感情を修復してさよならしたい。
そこまであって、やっと事件にけじめがつくんじゃないかなと思います。お互いに。

犯人さんが後日、親御さんと共に謝りに来られることは1割ぐらいですが、あります。
その時、私の中のわだかまりが消えていくのを感じます。

このようなご家庭のお子さんなら心配ないと思いますが、ただ遠ざかるだけの人やご家庭なら、更に犯罪はエスカレートするかもしれない。

加害者の方が、事件後被害者と面と向かい頭を下げるのにハードルが高いと思います。
でも、被害者からの文句を聞くことになるかもしれないこのハードルを越えると、後ろめたい気持ちからすがすがしい気持ちに切り替わるように思うし、高いハードルを越えた自分を褒めることができるかもしれない。

小学生の時、クラス内での喧嘩で怪我をさせてしまったら、先生は当事者を呼んでなんとか握手が出来るまで修復し、再び同じクラスで仲良く暮らせるようにする。そんな光景は誰でもたくさん経験していると思う。
でも、被害者が「もう加害者の顔を見たくないだろう」と、先生が握手もさせないまま、別のクラスに替えてしまったら・・・お互いはわだかまりを持ったままになります。
再び顔を合わせる時は辛い気持ちが大なり小なりあるけれど、これは越えなければならないことだと思います。

たった1度傷害事件の被害者になった時、刑事さんから「物損では罪が軽いので、人身傷害事件で立件しましょう」と強く勧められました。
でも幸い軽い打撲とかすり傷だけだったので、被害届けを出しませんでした。
物損だけで2日間留置されており、前科はなく、ご家族をお持ちのご主人なので、会社を首にでもなったらあまりに代償が大きいなと思ったからです。
事件後すぐに奥さんが謝りに来られ、更に留置を解かれた本人さんも謝りに来られました。
この時も、被害者なんだけど、妙にすがすがしい気持ちになりました。
顔を見ても、文句を言うことなど頭に浮かばず、「大丈夫ですか?まあいろいろありますから。私は大丈夫ですから」とだけ言いました。
加害者さんは、奥さんと共に涙を流されて頭を下げておられました。
お子さんにこの件をどう話されたのか知らないけれど、きちんと謝られたので、一部始終をそのまま話すことが出来るように思います。

元に戻って、今回始まった「被害者参加裁判」。
この記事に載った被害者の質問。
「・・・私のせいで刑が重くなった時、恨みますか」
「今日、私の顔を見て覚えたと思うけれど、もし、道で出会ったらどうしますか」
は、被害者の本音だと思う。

被疑者がその質問に答えた言葉は本音じゃないかもしれない。でも、被害者に向かってこの言葉を発したことは生涯忘れないと思う。
事件後裁判所で顔を合わすプラス面とマイナス面、両方あると思うけど、僕は人の良心を信じたい。
オバマさんの大統領就任演説「・・・安全と理想の二者択一は拒否する」ではないけれど、現実に擦り寄ってばかりで理想を追う姿をやめてしまっては、子供達に何も語れなくなってしまうと思います。

新しい制度に好意的視点から書かれたこの記事。いい制度だなと思います。
当事者同士、事件から一時置いて、面と向かって話せる機会を持つことは、心をココに置き去りにせず、前を向くきっかけになるような気がします。





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Last updated  2009/01/24 05:43:42 PM
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