仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2011.08.20
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カテゴリ: 宮城
奥州街道筋(吉岡-古川-築館)でもないし、野蒜港の関係で塩竈駅まで開業したことで、塩竈や松島から北上するのなら、涌谷、佐沼、若柳などの町を通ることも考えられただろう。それにしても、小牛田-田尻-瀬峰-石越-花泉というのは、かなり不自然なルートに思える。

田尻町史によると以下の通り記されている。


東北鉄道株式会社は仙北の路線については、当初、吉岡、古川、築館、一関に通ずる奥羽街道沿いに計画したが、のちに右回して小牛田、瀬峰地方に変更したと言われる。理由は、三本木、金成地域が難工事であること、逆に海岸部に遊行地松島や漁港があり海運の拠点でもある塩竈などがあるためだった。(中略)田尻、沼辺両村は概して鉄道建設には正しい理解や関心は薄かったと思われる。これは地方商業資本の未成熟から来るもので、関心は別の側面から強められた〔おだずまジャーナル注:別の側面とは、農作物に悪い、旅館や商店が寂れるなどの鉄道害悪論〕。(中略)会社はできるだけ金のかからぬひき方〔おだずま注:ルートのひき方〕をねらっていた。そのため、山地の少ない田尻地方を選び、山地の多い古川を避けた。また、野蒜、塩竈など海岸地方の利便も考慮した。当時小牛田村長だった鎌田整一郎や森亮三郎は、住民の反対理由は杞憂に過ぎないことを力説し、遂に現在の路線を迎え入れることにしたといわれる。
〔おだずま注:この後の部分に、見堀部落は鉄道で分断され、架橋が実現するまでの50年間は、不便で事故の原因にもなったことが記されている。〕



次は、小牛田町史から該当部分を記す。


 仙北の路線については、吉岡、古川、築館を通って一関に達する奥州街道旧宿駅沿いとするのが常識であったのにかかわらず、右回して小牛田、瀬峰地方に敷設されることとなった。この理由には、奥州街道沿いには三本木、金成付近にけわしい山坂があり難工事が予想されたこと、逆に海岸沿いには遊行地松島や、漁港であり海運の拠点でもある塩竈港が隣接しているといった条件があったといわれる。

 しかし(略)100株以上の株券応募者の分布をみると、志田郡や古川その他奥州街道沿いの応募者が見えないこと、逆に北浦の鎌田氏が200株という大量応募者となっていることからすれば、こうした反対論とは別に会社として早くから右回り路線を予定していたとみるのが妥当のようである。汽車に接したことのない農民が素朴な疑念を持つことは考えられるけれども、むしろその根底には、鉄道敷地として買収される土地に対する不安が強くあったのではないかと思われる。これは会社が買上価格を時価の倍額とし、敷設に使役する労役賃金を倍額にするという条件を出してきていることからも肯けよう。
 〔以降要約〕小牛田付近はそれほど難工事ではなかったと思われるが、江合、鳴瀬両川の架橋工事は難渋を極めたらしく犠牲者を出した。本小牛田真證寺に供養碑がある。



建設工事上の問題で奥州街道が避けられたことと、賛否両論の中で小牛田が熱心だったことがポイントになったと伺える。

もし奥州街道ルートが実現したとしたら、塩竈あるいは利府か岩切から、丘陵部を避けて(例えば県道塩釜吉岡線に沿って)西北に進み吉岡に出て古川に北進したのだろう。

■関連する過去の記事
我らが準秘境駅 梅ヶ沢駅 (2011年8月14日)
小牛田駅前 20時 (08年5月10日)
エリアスタディ鹿島台駅東口

■鉄道敷設など
仙台駅の予定地(その7) (10年9月6日)
塩竈市内の仙石線と塩釜線の歴史 (10年5月11日)
仙台駅の位置について(その6) (09年10月21日)
仙台駅の位置について(再び) (09年3月10日)
仙台駅の位置について(その4) (07年8月16日)
大河原の尾形安平 東北本線実現に尽力 (07年1月5日)
仙台駅の位置について・続々 (06年7月15日)
仙台駅のはなし・続 (06年7月11日)
仙台駅のはなし (06年7月10日)
宮城県内の東北本線のルートの話 (05年11月27日)





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最終更新日  2012.06.28 20:37:31
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