仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2013.10.29
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カテゴリ: 東北
秋田放送の人気番組『唄っこで勝ち抜きまショー』の公開録画が本荘市文化会館で開かれ、挑戦者が新チャンピオンに選ばれたところで、長い間お楽しみいただいたこの番組は都合により今回をもって終わる、と司会者が挨拶。突然の打ち切りに満場の来客は驚いた。

前年4月の秋田市長選挙で保守系の萩原候補が、4選を目指す革新系の川口候補を破った。ところが選挙戦で萩原陣営が『週刊実話』を買収して川口市長の中傷記事を書かせ、それを大量に市内にばらまいたことが暴露され、地元の野党や労働組合を中心に、萩原市長リコール推進連盟が結成され、この年の暮れにリコール住民投票が行われる予定であった。

推進連盟の代表委員が、民謡研究家として知られる大島清蔵氏。『唄っこ』の審査委員長でもあった。秋田市は秋田放送の三番目の大株主。萩原市長派が秋田放送に圧力をかけ、大島氏はこの日の録画を最後に委員長を降りることになっていた。

これに対し、秋田放送労組や地元労組、市民団体が、リコール運動に対する介入、報復であるとして反対運動に立ち上がったために、秋田放送は人気番組そのものを打ち切ってしまったもの。

■メディア総合研究所編『放送中止事件50年 テレビは何を伝えることを拒んだか』花伝社(メディア総研ブックレット10)、2005年 による

さて、上掲書には、秋田放送に関してもう1件が収載されている。

1987年(昭和62)11月14日のこと。夕方のニュース番組『ABSニュースワイド』で、地元ローカル紙の秋田魁新報社の関連会社である岩城総合開発が経営するゴルフ場「岩城カントリークラブ」の改修工事に県費約7700が使われていた疑惑を取り上げて報道しようとしたところ、オンエア直前になって報道局長からストップがかかり、放送中止に追い込まれた。

中止になったニュースの内容は、県議会の農林水産委員会に県側が工事計画の説明を行ったのを受けて、同委員会が30日にも現地視察を行うことになったことを伝えるもので、NHKのローカルニュース枠では、同じ問題をトップで報道しており、秋田放送報道部も当日朝に岩城カントリークラブのVTR取材を済ませ、昼には報道局長、報道部長と担当記者の間で夕方のニュース放送を確認して準備を調えていた。

秋田放送労組の調べによると、放送直前になって秋田魁新報社より報道局長に電話が入り、魁新報社編集局次長の要請として、30日の現地調査まで放送を控えるようにとの内容が伝えられ、報道局長がこれに応じて中止命令を出したのだという。






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最終更新日  2013.11.02 16:16:02
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