仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2016.12.26
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カテゴリ: 宮城
藤原氏が滅びた後に支配者となった鎌倉御家人などの推移をまとめる。
(山本博文監修『あなたの知らない宮城県の歴史』洋泉社、2013年 などから)
〔前回 中世宮城の名族たち(その1) に続く〕

4 北条氏の権勢と御家人の没落

・頼朝死後、北条氏は有力御家人を謀略で滅ぼし、実権を掌握
・奥州に所領を持つ畠山重忠、和田義盛、三浦泰村なども倒される
・鎌倉中頃には県内の半数が北条氏の所領に
・なお、北条時頼の時代に延福寺(天台宗)が円福寺(臨済宗)に改められる



・建武の新政では、元弘3年(1333)後醍醐天皇が北畠顕家を陸奥守に任命、義良(のりよし)親王とともに多賀国府に派遣し支配させる
・顕家は、父親房とともに統治機構を整備
・式評定衆(8人)、引付(一から三番)、政所、奉行(評定、寺社、安堵の各奉行)、侍所を設置
・評定衆には、冷泉家房(公家)、結城宗広(奥州武士)、伊達行朝(同)、二階堂行珍(旧鎌倉幕府文官)などを任命
・この機構は、旧鎌倉幕府の焼き直しで、義良親王(村上天皇)を将軍に、顕家を執権に擬した、奥州小幕府とでもいうべき
・足利尊氏を牽制し、関東や奥羽の武士を建武政権に靡かせるねらいとされる
・さらに奥州諸郡には郡奉行、郡検断がおかれ、現地人材を登用
・これにより北条氏領の地頭代として逼塞していた奥州土着武士や庶流の武士の自立の機会となり、彼らは小幕府に忠誠心を高めた(顕家が奥州武士を率いて西上し尊氏を追いやる)
・しかし、顕家が鎮守府将軍として奥州に戻るまで、尊氏から奥州総大将に任命された斯波家長が、二階堂行珍ら評定衆を引き抜いて多賀国府を骨抜きにし、在地武士を北朝に寝返らせる
・建武4年、顕家は多賀国府を放棄(奥州小幕府の瓦解)、霊山城に逃れ、暦応6年(1338)和泉国で討死

6 南北朝期と岩切城の戦い


・斯波家長に続く奥州総大将の石塔義房は、康永1年(1342)、陸奥介・鎮守府将軍の北畠顕信(顕家の弟)を三迫(栗原市)で破り北朝優位を決定づける
・その後北朝内部で、尊氏と直義の兄弟対立(観応の擾乱)で全国で両派に分かれ戦う
・奥州では、奥州管領として貞和1年(1345)赴任の畠山国氏(尊氏派)と吉良貞家(良義派)の抗争
・観応2年(1351)、貞家は和賀氏(北上)から結城氏(白河)まで奥州武士の大半を動員して岩切城の畠山国氏を攻める
・国氏は、留守氏、宮城氏とともに防戦するが惨敗


7 大崎氏の登場

・文和3年(1354)、斯波家兼(大崎氏初代)が吉良貞家の後任の奥州管領として赴任
・賀美、志田、遠田、玉造、栗原の大崎5郡を所領。4代満持の頃から大崎氏を名乗る
・家兼赴任の頃は、斯波、吉良、畠山、石塔の4氏がそれぞれ管領として権限行使
・明徳3年(1392)、鎌倉府の管轄下となり奥州管領は廃絶。しかし、家兼の孫詮持とその子の満持が事実上管領権を行使
・幕府と鎌倉府の対立が深刻化し、将軍義満は応永7年(1400)ふたたび大崎氏を奥州管領に任命
・その後大崎氏は、伊達、葛西、南部、留守、結城、和賀などの各氏を配下に収め、福島県から岩手県にかけて影響力を持つ奥州随一の勢力に
・奥州統治の拠点も多賀国府から志田郡に移る
・国人領主達は定期的に大崎に出仕。家督相続には大崎氏の許可を得る

8 戦国へ

・14世紀半ば以降、大崎氏が奥州管領として君臨。周囲の有力国人を配下に収め、さらに婚姻関係で強固な同盟を結ぶ
・しかし、16世紀初頭に伊達氏が台頭。大永2年(1522)伊達稙宗が幕府から陸奥国守護職を拝領。大金と引き換え。
・鎌倉期に奥州惣奉行だった葛西氏は、戦国期には伊達氏養子を受けるなど弱体化
・留守氏も伊達配下に収まり独立性は維持できず





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最終更新日  2016.12.26 21:25:01
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