おいしい 千葉 ~ponの食べある記~

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2006.06.17
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入ってすぐのテーブル席は、優しいRで建てつけたラウンジタイプになっていた。その先に厨房を囲むL字のカウンター席が並ぶ。右奥に座敷が2間用意されていた。座敷のほうに上がる。新築然とした木のいい香りがあふれていた。旦那が板さんで、奥さんが接客役と夫婦二人だけできりもりしているようだった。

昼の刺身定食が700(735)円、にぎりが1000(1050)円と庶民的なメニューがそろっている。夜にしても3000円でじゅうぶん満足する品物が供された。箸袋に斜めの点線が入り(巻寿司をサービスします)と注意書きがしてあった。訊くと、25枚集めれば、好きな巻物と換えてくれるという。お二人の饗応が心地よかった。この店でイヤな思いを一度もしたことがない。それはもちろん、味も含めての話である。

時期的に同じか少し前くらいに、となりに回転寿司の「かずさ」が開店していた。回るのと普通の寿司店と二つが並んでオープンしたわけである。どちらの店にしてもやりにくかろうと、正直なところ思った。「かずさ」で食べたあと「花鮨」に寄ったり、逆に「花鮨」で食べたあと「かずさ」に寄ったりと、寿司屋のダブルヘッダーを敢行するケースがあった。決して計算づくではなかった。片方の店を出たあと、駐車場からとなりの店のほうが自然と目に入る。それを見ると、どうしても誘われてしまったのである。

「かずさ」が攻勢に出た。ランチタイムに限り、180円と120円皿を100円で食べられるようにした。これはヒットした。土日には駐車場があふれる状態になった。さすがに長くは続かなかった。しばらくして平日だけに限定された。片や「花鮨」のほうは、新しいメニューで日替わり定食1000(1050)円が登場していた。私は相変わらず、双方をひいきにしていた。

箸袋は24枚まで集まっていた。たしか2004年の夏だったと思う。お店に入ろうとしたのだが、定休日でもないのに店が閉まっていた。何日か後、店の前を通ると、黒い花輪がいくつか立てかけてあった。店の扉は閉じられたまま。その後開くことはなかった。

潮見通りは出入りが激しい。「かずさ」のほうも、そのあとしばらくして閉店してしまった。そのあとにはパンの「クロワッサン」が入っている。「花鮨」の逆側のとなりには、菓子の「シャトレーゼ」が開店したが、2年もたたずに撤退。現在はセブンイレブンとなっている。

そして改めて思うのは、味の世界における職人一人の存在の大きさである。そこに身代わりという小器用な応用はきかない。似たような物はできるが、同じ物はできない。失われた物は確かな実質、確かな永遠なのだが。享受者側は、それを黙って唯々諾々と受けいれるしかない。私にできるのは、自分なりのやり方でこんなふうに懐かしがることだけである。





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Last updated  2006.09.13 02:21:37
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