おいしい 千葉 ~ponの食べある記~

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2006.11.17
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カテゴリ: 蒼緑の新ページ



あの当時、私からはとうとう一度も手紙を出さずに終わってしまったけれど。今なら、あのとき言えなかったことも言えるような気がするので、筆を取ってみます。読んでください。

きょうは11月17日。あなたの誕生日ですよね。おめでとうございます。この世に生まれて来てくれたこと、そして偶然にも私と出会ってくれたこと、私とつきあってくれたこと。とても感謝しています。本当にありがとう。このあと朝一番で「晴れの日」か「プロヴァンス」に行って、小さなケーキでも買ってくるつもりです。きょうはそれで、あなたの大事な日を心静かに祝いたいと思っています。

残念ながら私は、あなたが望んだような音楽のほうには進みませんでした。それどころか音楽そのものからも遠ざかっていて、今ではときたま聴くだけの存在に落ち着いています。

あなたはたぶん、遠い星の彼方から見ていて(いかにもあなたらしい)と微笑んでくれていることだと思います。すべてを客観的にみても、これは自分らしい以外の何物でもない自然な流れ、帰結だったと思ってくれるに違いない。そう見えるでしょう。そうでしょう?

長い間ごぶさたしてしまったことは、本当にあやまります。でも決して忘れてしまったわけではありません。実はこの前、ホームページで「リヴィエール」のことを書きました。はじめるときはもっと気楽な気持ちで、あの小さなガラスの宮殿のようなお店のことを記念碑的に書くつもりでした。でもことは、それだけでは簡単にすまなかった。あのお店に触れるならば、やはりあなたのことも記さなければならなかったのです。

書きこんでいくうちに、自分でも不思議な心持ちになってきました。長い間封印していたあなたの生きていた感覚が、あなたが確かにあの場で息して生きていた感覚が、自分の内にリアルによみがえって来たのです。公園のシーンを書くときは、本当につらかった。実際のあなたが目の前にいるような気がして仕方なかった。

そういえば。ついこの間、ブランコの夢を見てしまいました。場所はどこかよく分からないのですが。高い建物に囲まれた昼の公園で、そこで私は、だれか女性をのせたブランコを背後からやんわり押していました。だれかと思って見てみると、たしかにあなたです。(ああ、やっぱりあれは幻だったんだ)(ちゃんと生きていたんだ)急に心につかえていたものが取れて、軽くなりました。(ああ、あなただ。確かにあなただ)そのとき私の寝顔をのぞく人がいたら、きっとホッとした感じのやわらかな笑顔だったことでしょう。

でも、夢はしょせん夢なんですよね。何かの拍子に場面が急展開すると、あとはもう別の局面にスライドしていくばかり。目が覚めたときには、いつもと変わらぬ自分の起きぬけ周辺がそっくりそのままあるだけでした。何だか急にしょんぼりしてしまいました。

一つあやまらなければなりません。あなたの手紙をHPで公開してしまいました。それなしには、とても済みそうになかった。これは、あなたが私にプレゼントしてくれた美しいタイムカプセル品だと、今では思っています。ここにはあなたが、紛れもないあのときのあなたが凝縮され、表出されています。あの当時のあなたの日常・考えかたなどが、何の飾り気もない等身大で語られています。読んでいると、あなたの声が聞こえてきます。いつも瞳をキラキラさせながらしゃべっていたあなたの生の声が、本当に身近に聞こえてくるのです。

もし私が無人島に流されるはめになって、荷物を一つだけ許されるなら、迷わずあの手紙を選ぶことでしょう。わざわざ広げて読む必要はありません。ただ持っているだけでいいのです。これは確かにかけがえのない宝。得ようとしても、もう二度と得ることができない至宝なのです。手許にあるだけで安心します。自分をバックから支えてくれる魔法仕掛けの紙片です。ほかの人が触ったら効力がおちてしまう。持っていく理由が「他のだれにも手を触れてほしくないからだ」といったら、大笑いされるのでしょうか。

あのあと残された私は、自分を何とか維持するのに精一杯でした。そのほかの大事な部分は見えていなかった。意識的ではないにしろ、心の内から何とかあなたの想い出を消去しよう、回避しようという志向ばかりが強く出ていました。その後の私が、どんな方向にシフトしていったか、あなたはよく知っていますよね。恥ずかしいけれど、それが私です。真正面で見るべきときに、真正面を見ない私です。

美和子さん。でもそうやって年を経てきた私でも、すこしは経験値が上がり、以前よりは正面を見られるようになってきた気がします。

そう。今こそ、あのとき言えなかった言葉をきちんと口にしようと思います。あなたは、若いあのときのまま。(いつもそうだし。これからもずっとそうだよね。あなたは、永遠に若くてかわいくて美しいままの姿で)だから私も、素直なありのままの自分にかえりましょう。場所はやはり「リヴィエール」の先の公園の、プロポーズをしたあの場所あたりにしましょうか。

    *       *       *

二人 きちっと向かいあってから
両手をあなたの肩にそっと置いてみる
視線をそらさずに 
瞳の中をしっかりと見据える
そして きっぱりと言おう
「美和子さん、ボクはあなたが好きです」

ああ あなたの名前
何度口にしても言いあきない
そのかぐわしき名前
今はもう
あきるほど あきれるほど
どうか呼ばせて

美和 美和子 美和子さん
どうにも どうしようもなく
呼ぶたびにせつなくなる
あなたを あなたを
たしかに愛している

私は両手をたぐり
あなたをやさしく引き寄せる
(もう今ならいいよね)
(今だったら許してくれるよね)
そして両腕をまわし
そっと抱きしめる
ああ これがあなたの(いのち)なのか
豊かで 柔らかくて
しなやかで あたたかくて
これがあなたの いのちのかたち
いのちの重さなのか

嫌らしさのかけらもなく
1ミクロンのにごりもなく
高純度な気持ちそのままで
私はあなたを大きく抱きしめる

(あのとき なぜ もっと)
(あなたをきちっと守れなかったのだろう)

今なら そう
どんな手段を使っても
危害を加えようとする一切から
あなたをプロテクトしようとするだろう

透明なバリアとなって
あなたを柔軟に包みこむだろう
最俊敏なエアバッグとなって
あなたと敵との間にすべりこむだろう

ああ かなうのなら
あの瞬間以前のsafetyな時間に
時を巻きもどして
本当にプロテクトできればいいのに

あなたの髪ぐりに手をいれてみる
アルペジオを奏でるように
指先で 髪のまとまりを梳く

もう一度
ひとみの奥を 強く見つめなおす
両腕のソフトな側面をすべて駆使して
あなたの顔を包みこむ

(ずっとさみしい思いをさせてしまって ごめんね)
(これからは いつもそばにいるからね)

美和子
この先 どんなことがあっても離さない
ぜったいに離さない

このまま二人して
光輝くfairyとなり
やわらかな風に同化してしまえばいいのに
このまま二人して
前衛的な彫塑 (トルソ) となり


美和子
もう どんなことがあっても離さない
ぜったいに離さない
何があっても
もうぜったいに離さない
ぜったい離さないから




(注:フィクションです。人物あるいは団体等、それらの特定は無効です。文中に登場する名称や事象等は架空であり、現実ではありません)





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Last updated  2006.11.17 13:46:28
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