おいしい　千葉　～ponの食べある記～

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とんかつ　正木亭　～レトロを超越した異次元・新素朴系～　【閉店】

テーマ： ●食べた物の画像♪(89804)

カテゴリ：市原市　和食

以前ここに来たときの記憶と寸分違わない。「成長」とか「成熟」とか「伸長」という言葉はここには存在しない。メニューを一瞥した。さて、何を食べようか…。少量の唾液に湿潤された自分の口の中に、今の食気分の正直なところを訊いてみる。

「カキフライ」や「チーズ入りメンチ」あたりに心が揺れている。その一方、とにかく直球勝負で、ただ単純にとんかつを食べたい気もしていた。ああすれば、こうなる。こうすれば、ああなる。メニュー上でスゴロクでもやったように、味の妄想を繰りかえして、正直つかれてしまった。結局、ロースかつ定食を注文する。

お盆ごとひと揃いで目の前にやってきた。マヨネーズを所望すると、チューブ容器がそのままドンと置かれた。ここのポイントである胡麻の入った小さなすり鉢がついている。それを摩りおろしてソースに混ぜ、カツに絡めて食べる趣向である。

肉本体の厚みは、目視１．４センチくらいか。割とあっさりした感じでカラリと揚がっている。濃度があがって抵抗力の増した胡麻ソースに擦りこむようにつけると、衣がはがれてしまうときがあった。客層の違いなのか。八幡の「おぎ」あたりでは、大柄に５分割くらいで供されるが。ここのはもっとファミリー指向で、全７切れでやってきていた。大口をあける必要がなく、ごく自然に口に納まっていく。

旅先のペナントが最高に似合いそうな店内の壁だが。さすがにそれは貼ってない。かわりに（あいだみつを）の書が、何枚か飾られていた。同じ作者の万年日めくりカレンダーは、昨日の日付ページで放置されたままになっている。その他にも、サイン色紙やら妙な色使いの絵とかが、壁一面にうるさいくらい貼ってある。

テーブルの上は手狭だというのか、窓の桟の上にティッシュの箱が置かれていた。取り出し口が、私の顔の正面のほうに向いている。小上がりの座布団が、まとめて壁ぎわに立てかけてあった。

（小ぎれい）とか（小ざっぱり）とかいう言葉とは、まったく無縁なお店かも知れない。よそでは明らかにマイナスになるような点が散見されるのは確かなのだが。しかし、不思議とそれが気にならない。許せてしまう。そしてそれらは、店全体の雰囲気とも全合致している。

特に昭和に拘泥しない。人がもっと人間臭く、人情というスパイスがほとんど空気のように自然に混ざりこんでいた時代。明治でも大正でも昭和でもない、マイルドでジェントルな、架空・空想上の一時代。その時代から平成の今までひっそりと引きつづいている、揚げものに特化した素朴系のめし処だと思えば、いちばん似合っているだろうか。

これはもう妄想になるのだが。たとえば、ここを缶コーヒーＢＯＳＳのＣＭの舞台にしてみたたらどうか、と考えてしまう。宇宙人ペーターが、この星の八代亜紀に涙したあの彼が、はたしてどんな感想をもらすのか。とても興味がある。

高貴で上質なレストランだけが素晴らしいわけではない。美味しさに訴えてくるばかりが、おいしい店の要件でもない。あらゆる負荷を抜けきった清々しいまでの自然体。（たぶんペーターと同じく）こういうお店も嫌いではないと、ここではっきり断言しておこう。

「正木亭」（まさきてい）
住　　所：市原市姉崎２３８７－４
アクセス：県道１３号線　姉崎台下の東電姉崎寮から青葉台方向へ　左側
　　　　　　Ｐ（８台）
電話番号：０４３６－６２－２８７７
営業時間：１１：３０－２１：００/
定　　休：火曜日/
客　　席：カウンター５席/テーブル３卓/小上がり２卓（可変）/（約２５人対応）/
利用種別：個人向き/少人数向き/家族向き/グループ向き/
メニュー：（定食/それぞれにご飯・味噌汁・新香・小鉢付）
　　　　　ロースかつ定食１０００/ヒレかつ１２００/メンチかつ７００/
　　　　　串かつ１０００/キスフライ８００/コロッケ６００/焼肉９００/
　　　　　メンチコロッケ７００/チキンカツ９００/かきと海老１３００/
　　　　　かきフライ１３００/チーズ入りメンチ８００/海老フライ１２００/
　　　　　ヒレミックス１０００/海老ミックス１０００/チーズとんかつ１２００/
　　　　　キスと海老フライ９００/（単品の場合はそれぞれ２００円引き）
　　　　（単品）
　　　　　ひれかつ（竹）１３００/ロースかつ（竹）１２００/
　　　　（丼物）
　　　　　かつ重１０００/かつ丼９００/親子丼６００/かつカレー９００/
　　　　（飲物）
　　　　　酒４００/ビール（大）６００/オレンジ１５０/コーラ１５０/
評　　価：☆☆☆☆
　　　　　（味４/量４/サービス３．５/雰囲気３/ＣＰ４/駐車場４）

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