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2009.03.17
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カテゴリ: フランス映画


サイゴンを舞台に、ある資産家の家に奉公人としてやってきた10歳の少女 ムイ
彼女の目に映る一家の暮らしぶりと、柔らかな視線に止まる生き物や自然を、詩情豊かに綴った、言葉少なな物語。

優しい女主人と根無し草の旦那さん、三人の息子たち、そして孫娘を失って以来二階にこもりっきりのお婆さん。
そんな、どこか壊れた資産家の家庭で忙しく働くムイは、それでもまっすぐな心と、優しい眼差しを絶やさない少女でした。
彼女だけが気づいている、自然界に息づく生命の神秘や、刹那の美。それらがいずれ、彼女を幸福にしていくまで―――。


丁寧に静かに、時に激しく、ベトナム様式の邸で繰り広げられる日常のドラマは、鮮やかな色彩と光がとても印象的。
ほぼ室内で繰り広げられるとはいえ、開放された空間は驚くほどの広がりを生んでいました。
美の世界 が生れてくるのでしょう。
カメラドール受賞作に、なっとく。
耳には虫の声、鳥のさえずり。まるでサイゴンにいるかのような暑い臨場感。


少女時代のムイを演じたクエン・チー・タン・トゥラは、ハッとするほど魅力的で、純粋無垢な魂は、自然と対話しながら生きています。
彼女が純粋であればあるほど、幸福は近く、無欲で慎ましやかな暮らしは、彼女を確実に美しい女性へと成長させていきます。
やがて10年後、若きピアニストの使用人となっていた彼女のもとに、身分を越えた幸せが静かに突然に訪れる、、それは約束されていたことのように―――。


本編撮影後にユン監督の妻となったトラン・ヌー・イェン・ケーが、大人になったムイを演じています。
彼女は『 シクロ 』でもユン監督作品に登場していましたね。
美しく奔放なピアニストの婚約者が、ちっとも魅力に映らないほど、ムイという女性は素敵でした。
心の景色の違いが、ふたりの女性の運命を分けていく感じがいい。


そして何より、パパイヤを半分に割ると現れる白い種が、筆舌に尽くしがたいほど官能的なのでした。
見終えたとき、ベルトルッチの『シャンドライの恋』を思い出しました。
ピアニスト、使用人、そして寡黙さが似ています。
シャンドライはイタリアが舞台でしたが。どちらも好きな作品です。



●   ●   ●   ●




撮影  ブノワ・ドゥローム
音楽  トン=ツァ・ティエ
出演  トラン・ヌー・イェン・ケー  リュ・マン・サン  グエン・アン・ホア
  クエン・チー・タン・トゥラ

 (カラー/104分/フランス=ベトナム合作)





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Last updated  2009.03.18 22:52:46
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