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2010.07.26
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カテゴリ: 映画
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 1958年のドイツ。15歳のマイケルは、学校帰り偶然出会った年上の女性ハンナに心奪われる。肉体も心も、彼女の虜となったマイケルは、いつしかベッドの上で、ハンナのために本を朗読することが日課となるのだった。しかし、ある日を境に、突然ハンナは姿を消し、8年後、法学生となったマイケルは、ナチスの戦犯として彼女と、法廷で再会することになる――――。


 原作の『 朗読者 』を読んだのは、今年の春のこと。すぐに読み返してみたほど、ジーンとくる奥深な物語だった。主演のケイト・ウィンスレットに期待して、でも映画には期待しすぎないようにして観た感想は、まずまずというものだった。


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 純粋でまっすぐな恋愛映画のようでいて、じつはとてもシリアスな物語。ナチスドイツの爪痕や、思春期ゆえの情欲や、(ネタバレ注意!)文盲であることの生む障壁・・・・・胸が苦しくなるような内容がつまっている。
突然、自分の前を去ったハンナの真実に、逃げずに向き合った法学生の頃のマイケルは立派だった。しかし、いつの間にか、彼は変わってしまう、、、。

反面、ハンナの苦しみは、わたしはすごく理解できる。バレれるくらいなら、裁判で無期懲役を言い渡されたほうがまし―――そう判断するほど、ひたすら隠し通した秘密。
彼女の過去も合わせて、同情してしまう、ハンナという人物像に惹かれる。
結局、彼女は悲しい最後を迎えてしまうけれど、それは 孤独 ゆえのものだった。その孤独を生んだのは、紛れもない文盲であることと、戦争なのだ。彼女に非はない。

ハンナはマイケルのことを、きっと愛していたに違いない。はじめは、孤独を埋めるだけの存在だったかもしれないが、いつしか弟のように、友のように、家族のように慕って頼りたい、唯一の存在になっていったんだろう。
けれど、ハンナの過去を知ったマイケルは、一緒に背負い切れずに逃げ出してしまう。その 重さ に慄いてしまう。
悲しい 卑怯 が、この物語の大事な核をなしている。


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“ 逃げた ”とはいえ、囚人となった、読み書きのできない彼女に、数年後、彼は朗読を録音したテープを送り始める。けして会わないまま、淡々と。
テープと本を照らし合わせ、独学で 文字 を学び始めたハンナから、ある日、初めて、たどたどしい文字で手紙を受け取った、マイケルの驚愕した場面が印象に残る。同時に、文字が読めるようになったハンナの、初めて書物に触れる喜びも、印象深い。
そんな彼女に会いに行こうとせず、手紙の返事も乞われるまで書こうとしない、一歩退いたままのマイケルが、じわじわと悲しかった。


 回想シーンで、青年期のマイケルを演じたデヴィッド・クロスは、初々しいけれどそれ以上の魅力には欠けているかもしれない。成人したマイケル役にはレイフ・ファインズだけれど、やはりこの俳優さんを魅力的だと思うことができない。
ケイト・ウィンスレットがひとりで演じたハンナは素晴らしいのだけど。

原作では、映像になると薄れてしまった、ドイツの歴史から切り離すことのできない過去と、次世代が向き合わなければいけない大きな問題が秘められている。ドイツを舞台にしていながら、言語が英語になってしまったのは残念。ぜひ原作も手にとっていただけたら、と思う。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



監督/ スティーヴン・ダルドリー
製作/ アンソニー・ミンゲラ  シドニー・ポラック  ドナ・ジグリオッティ  レッドモンド・モリス
原作/ ベルンハルト・シュリンク 『朗読者』
脚本/ デヴィッド・ヘア
音楽/ ニコ・ムーリー
出演/ ケイト・ウィンスレット  レイフ・ファインズ  デヴィッド・クロス  レナ・オリン

(カラー/124分/アメリカ=ドイツ合作)







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Last updated  2015.01.17 19:01:39
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