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1958年のドイツ。15歳のマイケルは、学校帰り偶然出会った年上の女性ハンナに心奪われる。肉体も心も、彼女の虜となったマイケルは、いつしかベッドの上で、ハンナのために本を朗読することが日課となるのだった。しかし、ある日を境に、突然ハンナは姿を消し、8年後、法学生となったマイケルは、ナチスの戦犯として彼女と、法廷で再会することになる――――。
原作の『 朗読者
』を読んだのは、今年の春のこと。すぐに読み返してみたほど、ジーンとくる奥深な物語だった。主演のケイト・ウィンスレットに期待して、でも映画には期待しすぎないようにして観た感想は、まずまずというものだった。

純粋でまっすぐな恋愛映画のようでいて、じつはとてもシリアスな物語。ナチスドイツの爪痕や、思春期ゆえの情欲や、(ネタバレ注意!)文盲であることの生む障壁・・・・・胸が苦しくなるような内容がつまっている。
突然、自分の前を去ったハンナの真実に、逃げずに向き合った法学生の頃のマイケルは立派だった。しかし、いつの間にか、彼は変わってしまう、、、。
反面、ハンナの苦しみは、わたしはすごく理解できる。バレれるくらいなら、裁判で無期懲役を言い渡されたほうがまし―――そう判断するほど、ひたすら隠し通した秘密。
彼女の過去も合わせて、同情してしまう、ハンナという人物像に惹かれる。
結局、彼女は悲しい最後を迎えてしまうけれど、それは 孤独
ゆえのものだった。その孤独を生んだのは、紛れもない文盲であることと、戦争なのだ。彼女に非はない。
ハンナはマイケルのことを、きっと愛していたに違いない。はじめは、孤独を埋めるだけの存在だったかもしれないが、いつしか弟のように、友のように、家族のように慕って頼りたい、唯一の存在になっていったんだろう。
けれど、ハンナの過去を知ったマイケルは、一緒に背負い切れずに逃げ出してしまう。その 重さ
に慄いてしまう。
悲しい 卑怯
が、この物語の大事な核をなしている。

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