真理探究と歴史探訪

真理探究と歴史探訪

2005年06月26日
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今から約9500年前の縄文早期の定住跡が発見されたという鹿児島の国分市にある上野原縄文遺跡に行った。今まで国内の縄文遺跡を10箇所以上巡り歩いてきたなかで、最も古い遺跡だった。

定住跡には住居が復元されているところもあり、歴史の現場をゆっくりと歩き、そのたたずまいを味わうことができた。

ありがたいことに、その年にできた展示館も見ることができた。そこで縄文時代の文化財を代表する土器を見たときに、私は度肝を抜かれた思いをした。(やはり、ドキだけにドギモである・・・)

いままで各地で様々な縄文土器を見てきたが、私が訪れてきたなかで最も古い遺跡から出土した土器に、なぜか洗練された「新しさ」を強く感じたのである。

南九州の縄文土器は、縄の紋ではなく貝殻を用いたデザインが主流のようで、貝紋土器とされている。土器の口は、丸型・四角・レモン型(菱形に丸みがついた感じ)の3種類が基本とされていて、その口の大きさは両方の手の平で囲めるくらいだった。

まるで熱伝導の効率を考えたような薄手のつくりと長さ、そして全体的な大きさなのである。今まで出会った縄文土器の中で、その「美しさ」は際立っていた。

特に「形」にこだわりのある私にとっては、3種類の土器の口の中で、レモン型に魅かれた。(丸と四角は、男性原理と女性原理をそれぞれ象徴的にあらわした形とされていることが多い。男性が丸で女性が四角など、その反対の解釈もある)

その丸と四角の中庸のかたちとも受け止められ、菱形をアレンジしたような「レモン型」の口を持つ土器に感動、大満足のなか帰途についた。



かような強い感動と喜びがあった旅の場合、あとから相応の形が生まれてくる場合がある。その時の感動を形にした造形が「菱形30面体」であった。(写真の造形


ここで、私の造形の手法を簡単に説明すると、生活用品の「綿棒(同じ長さの軸線)」をもちい、たくさんの綿棒の両端に接着剤(ペーパーセメントなど)を染み込ませて、それぞれの両端を結び合わせつつ立体を構成していくやり方である。
その際、その立体の外枠だけの構成では不安定なので、内部の構造の安定化も考えて、ひとつながりの全体構造を織り成していくわけである。

実は数年前から、この「菱型30面体」の構造安定化に取り組み、何度かの試案の作成を経て、その全体構成は自分なりには完成していたと思っていた。しかし、この期におよんで、その年の大晦日に真実の立体構成にたどり着けたのであった。

その構成本数は、試案の過程で次第に少なくなっていき、これしかないという骨組みしか残らない造形で、手前味噌ではあるが、それは「美しき構造」となった。


菱形30面体は、黄金率の菱形の面が、全部で30面で構成されているとするのが、従来の基本的なとらえかたとなる。立体を何「面体」というように、「面」を主体に立体をとらえる発想が主流であったために、その全体を支えているはずの内部構造がどうなっているかというところまでは、一般的には考えが及ばなかったのではないか・・・。立体とは、内側の構造の安定が確実となってはじめて、外面を含む全体構成が可能となる。これが、立体構成を楽しむ者の醍醐味でもある。このことは、人間は外面よりも内面の方が重要だということと関連する気がしてくる。

その内部構造を含む「菱形30面体」の立体構成は、面の構成単位である黄金率の菱形が、外側の面だけではなく、内側にもあらゆる角度から、連綿と平行移動していく感じの構成で、内外はともに同じ規格の菱形だけでできていた。

縄文早期の土器にあった菱形(レモン型)の造形が、結果的に「菱形30面体」の
本質的な構造を導き出してくれた。偶然がないとすれば、そう考えてみたい。

日本人とは、日本文化とは何なのか・・・日本各地の歴史の現場を訪ね歩くなかで、全国一宮巡りを約9割達成した後に、日本文化の柱は縄文にあると直観した。それから、数々の縄文遺跡巡りを経て、縄文時代の最古期にあたる住居跡に立つ。自分のルーツを訪ねる旅でもあり、そのなかで立体構成の手法を授かってきた。


自分探しの歴史の探訪は、究極は「宇宙の始まり」まで行き着くのであり、また真理を探究する際の手がかりとなる立体構成は、自分の手の内にありながらも、その究極は「宇宙の始まりと終わり」を含む、「宇宙の秩序」に関係するからである。

そんな実感をいだきつつ、2004年の元旦を迎えたことを覚えている。







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最終更新日  2005年09月26日 22時17分43秒


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