真理探究と歴史探訪

真理探究と歴史探訪

2008年07月11日
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しかし、私は前々から・・・これはどうも解せない、背景に何かあるぞ・・・と感じていた。


さて先日、図書館で「日本庭園」のビデオを見ていた。その作庭の歴史から、全国の有名庭園が紹介されたものだ。そのビデオを関連書籍を参考にしながら鑑賞していると、とても気になる文言に出会った。


・・・日本の庭は「空間に小宇宙である心の風景を具現化した造形」であり、その心の風景を

形づくる素材の中心は石と岩であった。これに比べて植栽は副次的なものである。・・・


・・・神が宿る処が石・岩でなければならない理由として、石が有する保温性が挙げられる。

すなわち東から昇る太陽が西に没するまでの間、岩石は太陽エネルギーにより暖められる。

太陽が沈んだ後も岩石は温もりを保ち続ける。原始・古代の人々は、太陽の霊力は夜に

岩石に宿り、翌日再び東より昇ると考えた。・・・




ちなみに、この「ひもろぎ・いわさか」は、祭祀の時に周囲に常盤木を立てて神座としたものを「神籬(ひもろぎ)」、岩石でつくった神座を「磐境(いわさか)」と古来から称しており、縄文以来の祭祀形式の伝統だということができよう。

上述した作庭の順序を知ったことで、姉の「イワナガヒメ」は「岩長姫」の表記から「聖なる岩石(いわさか)」を示し、そして妹の「コノハナサクヤヒメ」は「木花咲耶姫」の表記から「聖なる樹木(ひもろぎ)」を示す象徴言語だとするなら、この姉と妹という姉妹の順序は、作庭における「岩」と「木」の順序に重なるという見方もできると感じたのである。



ここで改めて、日本神話におけるニニギとコノハナサクヤヒメの出会いのところを、フリー百科事典のウィキペディアから参照すると、

以下

コノハナサクヤヒメは、天孫降臨で日向国に降臨したニニギと笠沙の岬で出逢い求婚される。父のオオヤマツミはそれを喜んで、姉のイワナガヒメと共に差し出したが、ニニギは醜いイワナガヒメを送り返してコノハナノサクヤヒメとだけ結婚した。

オオヤマツミは、『私が娘二人を一緒に差し上げたのは、イワナガヒメを妻にすれば天津神の御子(ニニギ)の命は岩のように永遠のものとなり、コノハナノサクヤヒメを妻にすれば木の花が咲くように繁栄するだろうと誓約を立てたからである。コノハナノサクヤヒメだけと結婚したので、天津神の御子の命は木の花のようにはかなくなるだろう。』と言った。

それでその子孫の天皇の寿命も神々ほどは長くないのである。

以上


繰り返しとなるが、縄文系譜の日本古来の祭祀のあり方は、「聖なる岩石」と「聖なる樹木」という言わば陰陽の呪物が順序よろしく和合するかたちで成り立つと考えられ、私自身もその法則に適う縄文祭祀の佇まいや、枯山水などを含む庭園を津々浦々で観てきた経緯がある。

上の神話物語によれば、渡来系弥生人の大王たる「ニニギ」は、祭祀対象の本来の主役である「いわさか(イワナガヒメ)」を排除して、副次的な脇役の「ひもろぎ(コノハナサクヤヒメ)」を主役として立てたことになるわけだ。それゆえ国津神(縄文系)のオオヤマツミに、ニニギの寿命は長くないと言わしめたのであろう。

これを別の角度から見れば、縄文時代の「自然と共存」する社会から、弥生時代以降の「自然と対立」する社会への転換を意味しており、おそらくニニギの治世あたりから、権力志向の強い殺戮闘争型の社会となって治世も短くなり、それが現代社会まで続いているという見方もできるだろう・・・。




そして今更ながら思い出されるのが、そのニニギ役の知人が私にそっと耳打ちしてくれた内容で、それは「かつてのことがあったので、この度はイワナガヒメを返さずにコノハナサクヤヒメと三人で行動を共にしている。」という、かような文言であった。

もう今から20年以上も前の話だが、もしかすると神話の内容は現実に反映することもあるかもしれず、その内容に「間違い」があったなら、人間の姿を借りてその修正が求められるのかも・・・などという妄想が脳裏をかすめたこともあった。

その御三方は私よりも年齢が二回りも上の方々だったが、神話の世界からそのまま抜け出てきたような雰囲気だったので、上述の言葉を聞いて実に微笑ましく感じられたことを思い出す。



ところで、この神話物語の背景には、中国伝来の「陰陽五行説」が巧みに織り込まれたかたちでのシナリオ作りだったという見方もできる。

かつて、過去のブログで取り上げたこともあるが、ニニギは「中央」の『土』、イワナガヒメは「西」にして『金(岩=金)』、そしてコノハナサクヤヒメは「東」にして『木』と、それぞれ配当することができるとすると、そこに興味深い構造が観えてくるのだ。



つまり、ニニギはイワナガヒメの介添えなくしては、コノハナサクヤヒメと仲良くやっていけないのに、イワナガヒメの働きを無視したので、ニニギは短命となったということである。

「木火土金水」という五行循環の法則を、神話の登場人物に投影させて物語を編むという手法だと思われるが、どうやらここら辺に、この部分の神話内容を普遍的に読み解く鍵がありそうである。



今日の画像は、話題にして「ひもろぎ(聖なる樹木)」と「いわさか(聖なる岩石)」が抱き合わされたような、まさに「岩」と「木」の陰陽和合のたたずまいを映した写真である。

撮影場所は住まいの近くの山腹にあって、おそらく古代祭祀の跡と思われるのだが、写真下方の「岩石」に手前中央の「樹木(ナギ)」がピッタリと寄り添い、ほどよく光が降り注ぐ風情も加味されて、ほのぼのとした雰囲気が伝わってくる。





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最終更新日  2008年07月11日 17時44分03秒


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