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北の方となられた雲居の雁は、たくさんのお子たちに囲まれてお過ごしになります。
夜中にお乳を戻すお子がいれば、長い髪を耳にはさんで介抱なさり、出ないお乳をふくませて宥め、一晩中あやしておやりになります。
夜が明けると男の子たちが活発に飛び跳ねて遊び、女の子たちは雛人形でおままごとをする、「小さき稚児、這ひかかり」ハイハイして寄ってきては袿などを引っ張ったり、大きい子には「書読み、手習ひなどなど、さまざまに、いとあわただし」く暮らしていらっしゃる様子がとても微笑ましく、楽しく伝わってきます。
好き者の世界にふわふわと生きている夕霧にくらべると、あの「お人形のように華奢で可憐」だったお姫様が、頼もしい母君におなりで、かいがいしく子育てをなさり、現実を逞しく生きているところに、私は時代を超えて痛快なものを感じるのです。