私訳・源氏物語

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May 30, 2008
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カテゴリ: 源氏物語つれづれ


 すると意外にも「めっそうもないこと」と、きっぱりと断わられてしまいます。
 原文では「げに人は、もり聞かぬやうありとも、心の問はんこそ、恥づかしけれ」つまり、他人に漏れ聞かれることよりも、自分自身にとって恥ずかしいこと…と、もっともなことを言います。
 しかし源氏が「昔のようなあるまじき心など、40歳となった今ではございませんのに」と、平静を装って強く対面を所望なさると「いたく嘆く嘆く、ゐざり出で給」ふのです。

 ここで作者は「さればよ。猶、けぢかさは(昔のままなり)と、かつ思さる」と短く書いています。「けぢかさ」には、親しみやすさ、気軽さといった意味があり「なんだかんだ(上記のようなことを)言ってもやっぱり出てくるのだから、あの性格は昔と変わらないなぁ」と、一方ではお思いになるのです・・・といったところでしょうか。

この部分の現代語訳では、
谷崎源氏:「さればこそ、やはり人なつっこさは変わりがないのだと、一方ではお思いになります。」
瀬戸内源氏:「『やはりこうだ。靡きやすさは昔のままなのだから』と源氏の院は逢いたいと思う一方で考えていらっしゃいます。」
与謝野源氏:「だからこの人は軽率なのであると、満足を感じながらも院は批評をしておいでになった。」

 私は与謝野源氏をあまり好きにはなれなかったのですが、この短い文章の中で「満足を感じながらも」一方では「批評をして」と、男の自信に満ちた支配欲と身勝手さを充分に表現しているところなど、私は「すごいなぁ!」と感嘆してしまうのです。





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最終更新日  March 9, 2017 07:40:05 PM
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