PR
カレンダー
キーワードサーチ
タイトルから、隠微な犯罪者をイメージしていたのだが、
殺伐とした夢の中のようなSF映画だった。
ストーカーは stalk に er をつけた名詞。動詞の stalk は、
獲物に忍び寄る、歩き回るという意味を持つ(岩波新英和辞典1981年)。
映画の内容では「歩き回る者」といったところだろうか。
あるところに「ゾーン」と呼ばれる不思議な場所がある。
そこに入ったものは誰もー警察や軍隊さえもー出て来る事の出来ない危険な場所で、
立ち入り禁止区域になっている。
しかし「ゾーン」には、入った者の願いが叶うという建物があるので、
危険を冒しても足を踏み入れる人が絶えない。
主人公はそこへの案内人だ。つまり幸福への案内人というわけだが、
皮肉な事に彼自身はその部屋に入ることができない。
そのせいか暮らしは貧しく、
障害のある娘にも妻にも愛情をかけているようには見えない。
実際にその部屋に入った者がいるのだが、「弟の助命」を願ったにもかかわらず
「大金持ち」になって、二日目に自殺してしまったという。
「願い」は、良くも悪くも本懐だけが遂げられるということらしい。
その主人公のところへ男が二人、「ゾーン」への案内を求めてやってくる。
一人は物理学者で、ひそかに「ゾーン」を爆破しようと企んでいる。
もう一人は書く事に意味を感じない作家だ。
彼は「女性にもてる流行作家」らしいのだが
「自分が何を望んでいるのか、何を望んでいないのかが明確でないんです。
私はいったい何を欲しているのか......」と言う。
私はこの言葉に、人間の持つ底なしの不満・満たされる事のない欲望を感じるのだ。
大河ドラマ October 5, 2024
PLAN75 June 28, 2022
バベットの晩餐会・静かな宗教者批判 April 20, 2022