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クラシック音楽好きな茂グリさん、コメントをありがとうございます。
ここでは源氏が琴の琴(きんのこと)を、権中納言が和琴(わごん)を、
帥の宮が筝の琴(そうのこと)、少将の命婦(女性)が琵琶を弾いていますから、
カルテットになりましょうか。
辞書を引くと琴の琴と筝の琴は同じ七弦楽器のようですので、
第一、第二ヴァイオリンといったところかもしれません。
ご存知のように、このころの貴族階級にとって「管弦の遊び」は優雅な知識人としての
ステータス・シンボルでしたから、漢詩の他に楽器の修得は必須でした。
それは天皇でも同じだったようで
「○○天皇は琵琶の名手で、何某はその筋を弾く演奏......」というような表現が、
鎌倉時代の日記文学にも出て来ます。
幼少のころから手とり足とり「名手」といわれる人から伝授されたのでしょう。
そのころは誰もが共有できる楽譜というものも多分なかったため、
いろいろな演奏方法による流派が生まれたのではないかと想像しています。
ピアノとクラシックギター、尺八を習ったことのある人に聞いた話ですが、
日本の音楽はそれぞれの楽器がそれぞれ全く違った旋律を奏でるのだそうです。
一番顕著なのは津軽地方の民謡だそうで、同じ曲でも歌い手、弾き手によって
別物に聞こえるほど、その唄い方、演奏が自由なのだとか。
同じように琴、三味線、尺八、歌がそれぞれみんな別々の旋律を演奏しているのに、
それが不思議な調和を生むのだと。
そういった各パートの独立性を加味して考えると、
絵合わせの中で奏でられたこの演奏は非常に即興的で、
いわば各楽器がカデンツァを弾いているようなものではないかと想像します。
原文で「いみじうおもしろし(たいそうおもしろいのです)」と記されているのは、
この息の合った四人によって即興的に演奏される音楽
(いわばジャズのような)への「おもしろし」ではないかと思っています。
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