私訳・源氏物語

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August 19, 2018
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カテゴリ: 源氏物語
そのころ、按察使大納言と申し上げるおん方は、故・致仕の大臣の二郎君、
つまり亡くなられた衛門督の弟君でいらっしゃいます。

幼いころから利発で明るい性格でいらっしゃいましたが、
順調にご昇進なさる理想的な御出世のなさりようで、
帝からのご信任もこの上なく厚いのでした。

北の方は御二方おいででしたが、もとの北の方は亡くなられまして、
今おいでになりますのは髭黒の太政大臣のおん娘で、
真木の柱から離れ難いとお歌を詠んだ真木柱の君でいらっしゃいます。

この君を、外祖父でいらっしゃる式部卿宮の御一存で、
故・蛍兵部卿宮に嫁がせなさったのですが、
宮がお亡くなりあそばしてからは、按察使大納言が忍んでお通いになり、
年月が経ちますと公然としたご夫婦におなりなさいました。

御子は、故・北の方の御腹に姫君がお二方いらっしゃるだけでしたので、
男御子がいないのは物足りなくお感じになり神・仏に祈願なさいますと、
真木柱の御方に男君が一人お生まれになりました。

故・蛍兵部卿の宮との間にはすでに女君が御一方おいでになりまして、
按察使大納言は実子も継子も分け隔てなさらず、
同じように可愛がっておいででしたが、
それぞれにお仕えする女房たちには
意地悪な気持ちや捻くれた邪推も生じることがありました。

されど、北の方・真木柱の君はたいそう明るく、今風な人ですので、
何事も穏便に取り計らい、
たとえご自分にとって迷惑なことでも上手に受け流し、
思いなおしていらっしゃいますので、世間での評判も悪くはないのでした。

この三人の姫君たちは同じような年齢で、次々にお年頃になられますので、
おん裳を着せたてまつります。

そして寝殿を七間四面に広く大きく造築なすって、
南面に大納言の大姫君、西に中姫君、
東に宮の姫君を住まわせていらっしゃいます。

宮の姫君にとって父宮が亡くなられたのはお気の毒なことですが、
父・蛍兵部卿の宮や母方の式部卿の宮から譲り受けた
おん宝物が多くありますので、
内々の儀式や日常の生活では奥ゆかしく上品に好ましく
暮らしていらっしゃいます。





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最終更新日  August 19, 2018 05:18:33 PM
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