田中およよNo2の「なんだかなー」日記

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2007年04月09日
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カテゴリ: ほどよく
僕はずっと、小説家になりたいと思ってた。

10歳からサナトリウムで読書漬けになっていたわけではないのだ。

主な理由としては、小説家は朝に眠れそうだから(苦笑)
馬鹿げた理由かもしれないけど、きっと、朝に寝れるってことは僕には自由の象徴だったんだろう。

真面目?な理由というのもある。
振り返ると僕は、自分の中にある世間との違和感っていうのを解消したかったんだろう。
その違和感っていうのは、マスコミで報道されてたり、大人がくくるような「若者」ってのと僕は違うんだってことを叫びたっかったんだろう。
マスコミがくぐるような典型的な人間なんていないのだけどね。


驚くことなかれ。
僕が小説を本格的に読み始めたのも大学に入ってからだった。
書くために読んでたのかって言われると、ムカツクけど、そんな一面もある。

それで、同じように小説を志している人達の部活に僕は入った。

同級生で一人、図抜けた小説を書く奴がいた。
買いたいって思わせるぐらい、上手かった。

正直、僕は参った。
おいおい。
天才じゃないか。

もう、随分と差がついているじゃないか。
こんなんで、俺はいいのか。


彼に出会ってから、僕は読書量は格段に増えたと思う。
というか、増えざるを得なかった。

ただ、彼は文学者然とはしてなかった。
マトモというか世間ってものの乗り切り方を知っていた。
第一、彼は将来を考えて経済学部だった。


どちらも、文学ってだけに染まりきれない部分があった。
僕は「見た目は変だけど意外とマトモね」っていわれるし、彼は「見た目はマトモだけど、意外とマニアックね」って言われる。
互いに飲みながら、俺達は文学部にいったら抜群の成績が取れるし、そうすべきだったなんて愚痴を言い合ってた。
きっと、どこか同じなのだろう。

そういうことで、彼とは友達である。
あまりに連絡を取り合ってるので、両親や姉からは「つきあってるんか」って言われたりする。
勿論、そんな事実は無根ではあるが、まあ、言われても仕方ないだろう。

彼とであって、一〇年くらいが経った。
話を聞くと、あの頃の仲間でいまだに小説を書いているのは私だけになってしまったみたいだった。
彼も書いていない。

ただ、彼は相変わらず読書家であった。
ランボーとか、マラルメとか読んでいた学生の頃に比べておとなしくなったと、彼は自分では言っている。
でも、金子光晴を愛読している人間をおとなしくなったとは僕は思わない。

途中だったけど、 草稿 を軽く読んでもらった。

ざっと目を通して彼は言った。
「これ、大分書き直しただろ?」って。
僕は答えた。
「書いて、不満だったから、壊してやり直している」
「この文体はそうじゃないと、むつかしいやろうな。でも、俺の評価なんてあてにするな」
そう、彼は言いながら、僕の草稿を眺めていた。
煙草は吸っていなかったけど、随分と濃度の濃い煙草をすっているような表情をしていた。

BLOGとか、小説もちょこちょこ書いて、それでも、僕は文章を作るのが上手くなったとはあんまり思えない。
考えて文章を書くということが、あんまりできていない。
というか、どうやったら考えて文章が書けるのか、わからない。
僕は文章を削るときに考えるしかないのだと、思っている。
あるいは、僕にとって文章は適等に書いて、考えて削るものなのだ。

こないだ、ひょいと電話をした。

かなり長い時間になったから、僕は切ろうとした。
「そうそう」彼は一言喋りたさそうだった。「俺ももう一回小説を書いてるねん。やっぱ、難しいなあ」
「そうか、お前やったらすぐにいいものかけるよ」
僕はそう言った。
そして、電話を切った。

切ってから考えた。

僕が小説を書いているってことが、影響しているのかなと。
そして、草稿を読んでいるときの彼の顔を思い出した。
すぐに思い出せた。
そういう顔をする奴じゃなかったから。

もしかして、ちょっとは僕は文章が上手くなったんだろうって、感じた。
あの言葉はホンネなんだろうと。
少なくとも、彼と出会った時よりは。

そのことが、彼の才能に再び火をつけたのであれば、こんなに嬉しいことはない。
自分の好きなことをしてることが、人にいい影響を及ぼすなんて。

※もっと、「なんだかなー」なら『 目次・◎こんなん書いてました。 』まで





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最終更新日  2007年04月09日 01時53分59秒
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