読書の部屋からこんにちは!

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2008.03.20
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カテゴリ: 小説
裏表紙にあるあらすじは、こういうことです。

かつて、忽然と消息を絶った報和航空402便YS-11機が、突如、羽田空港に帰還した。
しかし68名の乗員乗客にとって、時計の針は10年前を指したまま・・・・・。
戸惑いながらも再会を喜ぶ彼らと、その家族を待ち受けていた運命とは―
歳月を超えて実現した愛と奇蹟の物語。



おもしろい本を探している人に、強くアピールする書き方で、まんまと乗せられましたが、内容はそれほどおもしろくありません。
「歳月を超えて実現した愛と奇蹟」って、どう考えても言いすぎです。


あらすじをもっと分かりやすく言うと・・・・・・

10年前失踪したまま、機体のかけらも遺体も発見されなかった飛行機が、突然羽田空港に着陸した。
それを予言していた東大の学者もいたのだが、彼はきちがい教授として大学を追放されていた。彼の計算によると、その飛行機も乗員乗客も、帰還の3日後には10年前に戻され、今度こそ死亡することは間違いないらしい。
家族を亡くしてから10年、それぞれの変遷をたどった遺族たちに比べ、乗員乗客は、さっき乗った飛行機が目的地に到着しただけのこと。その温度差が、さまざまなドラマを生む。


って感じかな。
私がいちばん不満を感じたのは、東大の先生が10年後の帰還を科学的に予言した、その根拠です。
地球を横ぎったマイクロブラックホールが、時間軸のねじれを引き起こし、吸い込まれ、10年後の未来に吐き出された。この現象は3日後にもう一度起こるはず。
そういうふうに説明されているんだけど、SFマンガじゃあるまいし、私はこんな説明じゃ納得できません。非常に難しい理論で、日本にこれを理解できる人がほとんどいないってお茶を濁してあったけれど、理論は難しくても読者を筆力で満足させてくれるのが小説家でしょ?

もう一つ、不満なのは、登場人物の名前や設定です。

興梠賢(こうろぎけん)甲斐航星(かいこうせい)神降竜蔵(かみふりりゅうぞう)祝迫守雄(いわいさこもりお)などなど、名前のインパクトが強すぎて、行動が印象に残りにくいのです。登場人物の名前って、大切ですね。

おまけに、乗り合わせた乗客の職業がまたすごい。
新進気鋭の物理学者、アイドルタレント、航空自衛隊パイロット、美貌のチェリスト、お笑い芸人、天才テニスプレーヤー、自治省の官僚、父親を殺すために上京する高校生・・・・こんなにすごい人たちを乗せてたのか。宮崎から東京に向かうYS-11機。
そして、3日後には死ぬと宣言されたこの人たち、いやに冷静で家族に冷淡で、これも不自然です。いまどきのマンガだって、もうちょっと現実味あるよ。

ということで、この本、ハズレ。
文庫本の裏表紙のあらすじにだまされちゃいけません、という見本みたいな本でした。



ほー!今、検索してみたら、この本、ドラマにもなってたんですね。
ちっとも知りませんでした。ってことは、けっこう人気あったんでしょうね。
ちょっと驚きです。







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Last updated  2008.03.20 13:52:30
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